高齢者におすすめのストレッチ法。座りながらできるメニューも大公開
高齢者がストレッチをするメリット|どんな効果が得られるの?
高齢者がいつまでも健康を維持するために勧められるのがストレッチ。ストレッチは膝や腰が痛い人や激しい運動ができない人に人気の運動です。
しかしゆっくり体を伸ばすだけで本当に効果があるのでしょうか。
そこでまずは、高齢者がストレッチをするメリットを説明します。
ストレッチがメンタルの健康にも効果がある点も解説するのでご覧ください。
高齢者がストレッチをするメリット1. 血行がよくなり代謝が上がる
高齢者は運動不足になりがちなので筋肉が固くなったり、血の流れが悪くなったりしやすいです。血行不良になると体に栄養素が行き届かなくなって疲労の原因に。
しかしストレッチで筋肉をほぐすことにより血液の流れが良くなっていきます。
血行が促進されると体の機能が正常に働き、代謝も改善されるので老廃物が排出され、疲れにくい体に。代謝が上がっていくにつれ、基礎体温が徐々に上がる効果も期待できます。
高齢者がストレッチをするメリット2. 腰痛や肩こりを解消できる
腰痛や肩こりの原因は悪い姿勢。約5キロの重い頭は高齢者の肩や腰へ負担をかけ、筋肉を固くしていきます。筋肉が固くなると、いつの間にか悪い姿勢になり痛みやコリを発症させてしまうのです。
そこで必要なのがストレッチによる姿勢改善。
簡単なストレッチ体操を毎日続けていくことで、筋力が増えて正しい姿勢を保てるようになります。ストレッチで硬直している筋肉に柔軟性を取り戻し、コリや痛みを徐々に解消していけます。
高齢者がストレッチをするメリット3. 関節や筋肉が柔らかくなり、怪我を防ぐ
関節や筋肉が固いと怪我をしやすくなるので気をつけなければいけません。シニア世代は体の老化とともに、どうしても股関節や足の筋肉、そして関節が硬直しがち。筋肉が落ちて関節の可動域が狭くなるので、つまずいたり転んだりするリスクが高くなってしまいます。
ケガを防ぐためにも大切なのがストレッチ。
ストレッチをして筋肉と関節の柔軟性を高めていくと運動能力がアップ。ケガをするリスクが減って、安心して運動したり歩いたりできるようになります。
高齢者がストレッチをするメリット4. 脳に刺激を与え、認知証予防になる
認知症にかかりやすい高齢者は脳に刺激が少ない生活を送っている傾向があります。脳に刺激を与える方法の一つは体操や運動をすること。
簡単なストレッチをするだけで脳に刺激が行き、記憶を司る海馬が活性化。さらに認知症のきっかけになる脳内物質を減少させ、健康な神経細胞を成長させていくのです。
日中にストレッチをすると夜ぐっすり眠れるのもメリット。夜の睡眠は脳を正常に機能させるのに欠かせないため認知症予防に繋がります。
高齢者がストレッチをするメリット5. 副交感神経が優位になり、ストレス発散になる
高齢者は健康や生活の不安が原因でストレスを感じやすいもの。上手にストレスを発散してあげなければいけません。
ストレスを感じているときは、交感神経が優位になっている状態。ストレッチをすると副交感神経が優位になって心と体がリラックスし、ストレスを発散できます。
就寝前におすすめなのが寝たままで簡単にできるストレッチ。呼吸を意識しながら行うことで血圧が適度に下がり、心身がくつろいだ状態で眠ることができます。
高齢者におすすめのストレッチ法|椅子に座りながらできる柔軟体操もご紹介!
ケガや認知症を防ぐために役立つストレッチ。ストレッチをすることで体の健康やメンタルの状態を良くしていきたいと思われることでしょう。
しかし、いざストレッチをしようと思っても、何から始めたら良いか分からないかもしれません。
これから体に負担のかからないストレッチ法、椅子に座りながらでもできる柔軟体操の方法を紹介します。どれも簡単な方法なので今日から始められますよ。
高齢者におすすめのストレッチ法1. 首の筋肉をほぐすストレッチ
首の筋肉をほぐすストレッチは、首や肩周りの筋肉をほぐす体操で、肩こりや嚥下(えんげ)障害を改善したい人におすすめ。
短時間で簡単にできるストレッチです。
ストレッチの正しいやり方
- 背中をまっすぐにして顔は正面を見る
- 左手を左の頬に添え、顔を右へ向ける
- そのまま20秒キープ
- ゆっくり正面を向く
- 同じ動作で反対側も行う
左右を何セット行うかは体調に合わせてください。
ストレッチのコツ
- 体操前に深呼吸してリラックス
- 少ない回数からスタート
- 動作はゆっくり
- 食事前にするのがおすすめ
首のストレッチを食事前にすると、嚥下障害を防ぎながら安全に料理が食べられるようになりますよ。
高齢者におすすめのストレッチ法2. 肩甲骨を柔らかくするストレッチ
肩甲骨周りの筋肉がこわばると、肩こりや眼精疲労が悪化します。
肩甲骨を柔らかくするストレッチは、肩こりや目の疲れに悩んでいる人におすすめの体操。
また、姿勢改善効果もあるので、ぜひ取り組んでみて。
ストレッチの正しいやり方
- 両手を後ろで組んで肘をまっすぐ伸ばす
- 背筋を伸ばしながら、両手を上げていく
- 同じ姿勢を5秒キープ
- 腕を下げていく
毎日1セットを週3回ほど行いましょう。
ストレッチのコツ
- 腕をまっすぐ伸ばす
- 動作はゆっくり行う
- 胸はできるだけ広げる
- 肩甲骨を背中の中央に寄せる
肩甲骨を中央に寄せることを意識するなら、周りの筋肉の血流を活発化させられます。
高齢者におすすめのストレッチ法3. お腹周りを伸ばすストレッチ
このストレッチでは腹筋を伸ばしていきます。
つい背中を丸めた悪い姿勢になりがちな人、腰痛持ちの人に最適なストレッチです。
ストレッチの正しいやり方
- 四つん這いになる
- 腰を落とし海老反りの体勢にする
- 左足の爪に力を入れ、左側の腹筋を伸ばす
- 30秒キープ
左右の腹筋を2回から3回ずつ交互に伸ばしてみましょう。
ストレッチのコツ
- 四つん這いの際、手を肩幅に広げる
- 足の爪で地面を押す感覚
- 30秒がきついなら10秒
- 海老反りポーズの時、腹筋に力を入れる
腹筋に力を入れることで、腰を痛めずにストレッチができます。
高齢者におすすめのストレッチ法4. 座ったままできる腕のストレッチ
簡単な動作で上腕や前腕筋を伸ばせるのが特徴。腕が上がりにくい、物を掴むとしびれる人に向いているストレッチです。
また、椅子に座ったままできるので、ぜひお家で取り組んでみてくださいね。
ストレッチの正しいやり方
- 両手を胸の前で組む
- 指を手前にしながら手のひらを体から離していく
- 5秒キープ
- ゆっくり胸の前に手を戻す
5秒キープを3セット試してみてください。
ストレッチのコツ
- 床に足を付け、体を安定させておく
- 腕を伸ばすときはできるだけ離す
- 各動作はゆっくり行う
- 5秒キープの間は呼吸を安定させる
腕を伸ばすことだけに集中するのではなく、深呼吸を意識しながら行いましょう。
高齢者におすすめのストレッチ法5. 座ったままできる脇下を伸ばすストレッチ
座ったままできる脇下を伸ばすストレッチには、脇腹の筋肉を柔らかくし、脇下のリンパを流れやすくする効果があります。
最近だるさを感じている高齢者にイチオシのストレッチ。ぜひ取り組んでみましょう。
ストレッチの正しいやり方
- 椅子に座り足は肩幅に広げる
- 棒の端を持って上に伸ばす
- 棒を左右へ動かし脇を伸ばす
初めは3セットを週に3回ほど続けてみましょう。
ストレッチのコツ
- 棒を上げる時に背筋をピンと張る
- 慣れてきたら後ろにも反る
- 足を広げるほど脇を大きく伸ばせる
- 脇を無理に伸ばしすぎない
気持ちが良いところまで脇を伸ばすようにすると筋肉を痛めずに済みます。体に負担がかかり過ぎないよう意識して取り組みましょう。
高齢者におすすめのストレッチ法6. 座ったままできる背中を伸ばすストレッチ
背筋の柔軟性を高めて肩こり予防に良いのが背中を伸ばすストレッチ。
同時に縮こまった胸の筋肉を伸ばし、呼吸がしやすくなるので自律神経を整えたい人におすすめです。
ストレッチの正しいやり方
- 手を胸の前で組み、肘を横へ開く
- 手を前へ移動し、お腹をのぞき込むように肩甲骨を開く
- 8秒キープ
- 両手で椅子の脇を掴み胸を開く
- 8秒キープ
3回を1セットとして週に何回か行ってみましょう。
ストレッチのコツ
- 肩甲骨をゆっくり開く
- 手の移動は大きなボールを抱えている感じ
- 胸は大きく開く
- 動作中は呼吸を止めない
呼吸を止めないことで自律神経が整っていきます。ゆっくり深く呼吸をして行いましょう。
高齢者におすすめのストレッチ法7. 座ったままできるお尻のストレッチ
座っている時間が長いとお尻の筋肉が硬直して腰痛の原因に。お尻のストレッチをすることで腰痛の改善や予防をしていけます。
腰痛がひどい人や、座っている時間が長い人にぴったりのストレッチです。下肢を鍛えられるので転倒防止にもなりますよ。
ストレッチの正しいやり方
- 椅子に浅めに座る
- 左足の足首を右足の太ももへ乗せる
- 上半身を前へ倒す
- 20秒キープ
片方ずつ2セット取り組みましょう。
ストレッチのコツ
- 床に足が付く椅子を使用
- 背中を丸めない
- 動かす足の膝が上がらないよう押さえる
- 胸を膝に近づけるようにする
胸を膝に近づけていくと、自然とお尻の筋肉を伸ばせます。
高齢者におすすめのストレッチ法8. 座ったままできる股関節を柔らかくするストレッチ体操
座ったままできる股関節を柔らかくするストレッチは、骨盤周辺の筋肉をほぐしていきます。
股関節の硬さが原因で足がむくんだり腰痛に悩んだりしている高齢者におすすめです。
ストレッチの正しいやり方
- 椅子に座って片方ずつももをあげる
- 右の足を外側へ広げ元に戻す
- 左足も同じようにする
3つのステップを10回ずつ試してみましょう。
ストレッチのコツ
- 姿勢は背筋を伸ばして胸を張る
- ももを上げる時は腹筋に力を入れる
- 足の付け根を意識して足を広げる
- 徐々に足を開く角度を広げる
いきなり足を大きく開くかず、徐々に広げていくと怪我を防げます。
高齢者におすすめのストレッチ法9. 座ったままできるもも裏を伸ばすストレッチ
もも裏を伸ばすストレッチで柔らかくできる部位「ハムストリング」。
ハムストリングの強化は転倒予防に繋がるので、外出が少なくて足腰が弱っている高齢者におすすめ。
ちょっとした隙間時間にできるストレッチなので、ぜひ行ってみてくださいね。
ストレッチの正しいやり方
- 左足を前へ伸ばし、かかとを上に向ける
- 体を前に倒す
- 20秒キープ
- 体を元の位置に戻す
最初は両足1セットずつから試していきましょう。
ストレッチのコツ
- 体を倒すときは背筋を伸ばした状態
- ゆっくり動作を意識する
- 20秒キープがきついときは10秒
- キープ中は呼吸を止めない
キープ中に呼吸を止めないことで、血行をより促進していけます。ゆっくりと深く呼吸するようにしましょう。
高齢者におすすめのストレッチ法10. 寝たままできる股関節や骨盤をほぐすストレッチ
寝たままできる股関節や骨盤をほぐすストレッチ。
朝起きる時に腰が痛む、寝る前にリラックスしたいといった高齢者に最適なストレッチです。テレビや動画を見ながらでも実践できますよ。
ストレッチの正しいやり方
- 仰向けに寝る
- 膝を立てて股を広げる
- 片足ずつ膝を内側に倒す
左右の足を交互に10回ほど上下させましょう。
ストレッチのコツ
- 最初の動作は小さく
- ゆっくり膝を上下させる
- 膝を床に近づける意識
- 深呼吸をしながら動かす
深呼吸をすることで、副交感神経が優位になってリラックスできます。
高齢者がストレッチをする時のポイント|注意点をしっかり意識しよう!
毎日気軽にできるのがストレッチの良いところ。ストレッチを続けていくことで筋肉や関節の柔らかさを維持できます。
しかし方法を間違えると関節を痛めたり、怪我をしたりするリスクもあるので要注意。
ここでは、安全にストレッチをするために覚えておきたいポイントを解説します。ストレッチの効果を最大限に活かすコツもあるので、参考にしてください。
高齢者ストレッチのポイント1. 反動をつけず、筋肉をゆっくり伸ばす
筋肉は急に伸ばすと筋断裂を防ぐために収縮して固くなる特徴があります。
反動を付けると筋肉の柔軟性が低くなるリスクがあるので気をつけてください。また、勢いを付けて運動すると筋断裂といった怪我の原因にもなります。
ストレッチ中は筋肉をゆっくり伸ばすことを意識しましょう。同じ動作を丁寧に繰り返していくことで、筋肉の血流が良くなり関節がほぐされていきますよ。
高齢者ストレッチのポイント2. 呼吸を意識しながら行う
運動の最中は集中しているので呼吸を止めてしまいがち。ストレッチ中に呼吸を止めると、体は緊張状態になって筋肉や関節が硬くなってしまいます。
呼吸が止まっているのに運動を続けると、血圧が上がって心臓や血管に負担がかかり危険。
呼吸は深く確実に行うようにしましょう。
高齢者ストレッチのポイント3. 痛みを感じたら直ちに中止する
高齢者の筋肉や関節は硬いのでストレッチ中に体を痛めるリスクがあります。痛みを感じても体操を続けると筋を痛めてしまうことがあるので要注意。
もしストレッチの際に痛みを感じたらすぐに中止して体を休めてください。
ストレッチを取り組んで、心と体が健康的なシニアを目指しましょう。
高齢者におすすめのストレッチは、座ったままや寝たままでも気軽に始められるものがあります。
血行や筋肉、そしてメンタルに良い影響があるので、この記事を参考に、ぜひできるものから取り組んでみてくださいね。
【参考記事】高齢者の方は筋トレも取り組んでみてくださいね▽
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