高齢者向け筋トレメニュー。自宅でできる簡単なトレーニング方法を解説!
高齢者が筋トレするメリット|トレーニングにはどんな効果があるの?
加齢によって体力や記憶力は衰え、生活面で不便を感じることが増えてきます。
そんな悩みも、筋トレに取り組むことで解決、軽減することができますよ。
ここでは、高齢者が筋トレで得られるメリットについて、特に注目したい5つの要素をご紹介します。
1. 筋肉が強化されて、疲れにくい身体になる
元気な方でも60歳を超えたあたりから急に体力の衰えを感じ始めるようになります。
体力低下の原因は加齢による基礎代謝の低下。基礎代謝が下がることで、血行が不良となり、老廃物が溜まりやすくなり疲労回復が遅れます。また、体温が下がることでだるさや体調不良になりやすくなることも。
基礎代謝は筋肉の量と比例しているので、筋トレをして鍛えていくことで基礎代謝をあげることができます。基礎代謝が上げれば疲れにくい身体になるので、体力の衰えを感じ疲れてきたなと思ってきたら筋トレを始めてみましょう。
2. 筋力が上がるので寝たきりの予防になる
筋肉量は加齢とともに落ちていき、何もしないでいると1人で立ち上がることも難しい状態になってしまいます。
筋肉の衰えを抑えるには、筋トレを継続的に行うこと。年齢に関係なく、高齢者でも鍛えることで筋肉が発達して、ベッドから起き上がる動作などの日常生活の動きをスムーズに行えます。
負荷の高い激しい筋トレは必要ないので、簡単なトレーニングから始めていきましょう。
3. 脳に良い刺激が伝わり、認知症の予防になる
歳をとるごとに、「記憶力が落ちてきた」「認知症になってしまったら困るな」と心配する方もいらっしゃると思います。
認知症の原因の多くは運度不足によるもの。筋トレをすることで運動不足が解消されるだけではなく、筋トレをしたときに発生する"イリシン"というホルモンも認知症予防に効果があります。
筋トレによって発生したイリシンが血液に流れ脳に運ばれることで、神経細胞を活性化。神経細胞が活性化することで、細胞の再生を促すことができるので認知症予防が期待できます。
将来、認知症になることを防ぐためにも筋トレをして細胞を活性化させていきましょう。
4. 日常生活で体の痛みを感じにくくなる
加齢によって筋肉が弱ってくると体が自由に動かなくなってきます。筋肉が体の重みをしっかり受け止められなくなり、その影響で関節に負担がかかることも。歩くときなどに関節同士が擦れてしまい、膝関節に痛みが出てしまいます。
筋トレをして、筋力をつけることで関節にかかる負担は減るので痛みを感じにくくなりますよ。
また、歩くときにしっかり足を踏み出せるようになるので、転倒などの心配も減ることに。日常生活を快適に過ごすためにも筋トレに励みましょう。
5. 体だけでなく心も健康になり、人生が楽しくなる
「仕事をリタイヤしたら悠々自適な生活を」と考えていたものの、いざ退職したらやることがなくて気持ちが落ち込んでしまう方も少なくありません。
張り合いのある生活を取り戻したいなら目標を作ること。筋トレは取り組んだ結果が実感できるので、「難しかったことができるようになった」「もっと回数をこなせるようになろう」と、前向きな気持ちになることができます。
また、ジムへ通えば仲間も見つかるので、楽しい毎日を送れるようになること間違いなしですよ。
高齢者向けの効果的な筋トレメニュー|シニアでも簡単にできるトレーニングとは?
高齢者にとって筋トレが良いことは分かりましたが、どんなトレーニングをすればよいか具体的に知りたい方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、高齢者におすすめしたい筋トレメニューを7つご紹介します。 いずれも無理なく取り組めるトレーニングなのでぜひ試してみて。
難易度:★★☆|片足立ちトレーニング
歳をとり、まず衰えを感じてくるのは足腰ではないでしょうか。
「片足立ちトレーニング」は、足腰を強くする運動立ったり歩いたりするときに使う筋肉を鍛え、日常生活に必要な動きを楽にできるようにします。
片足立ちが必要になることから不安に感じる方もいらっしゃると思いますが、イスを補助に使うので安全に取り組めますよ。
トレーニングの正しいやり方
- イスの前で両足を軽く開き、真っ直ぐの姿勢で立つ。
- イスの背もたれに手を添え、身体を支える。
- 片方の膝を上げる。
- 膝を上げた状態で1分ほど姿勢をキープ。
- 足を下ろす。
- 足を入れ替えて(3)〜(5)の動作を行う。
「片足立ちトレーニング」の目安は、片足1分ずつ×1セット。 太ももに負荷がかかっていることを意識しながら取り組みましょう。
トレーニングのコツ
- 膝を上げるときは、足裏と床の間が5~10cmくらい離れるようにする。
- 足を上げて動作を止めている間はゆっくり呼吸する。
膝を上げるときの高さは5~10cmくらいがベスト。それ以上に上げたり、逆に上げが足らなかったりすると、筋肉へしっかり負荷をかけることができません。
慣れないうちはどこまで上げれば5~10cmになるか感覚がつかみにくいと思います。
他の人に見てもらったり、鏡に姿を写したりしながら、丁度いい高さをキープできるようにしてみましょう。
難易度:★☆☆|つま先立ちトレーニング
ふくらはぎの筋肉が弱くなってくると、足を前に出しづらくなり、上手く歩けなくなってきます。
また、ふくらはぎの筋肉には血液を全身に循環させるポンプのような役割もあり、弱ると足に下がってきた血液を上半身に戻しにくくなる悪影響も。血流の悪さが冷えの症状や足をつりやすくなる原因となって現れます。
「最近歩きにくくなってきた」「足が冷える」と感じるようになってきた方は、「つま先立ちトレーニング」でふくらはぎを鍛えましょう。
かかとを5回ほど上下運動させるだけなので隙間時間を使って取り組め、壁に手をついて体を支えるから安全にできますよ。
トレーニングの正しいやり方
- 壁に向かって真っ直ぐの姿勢で立つ。
- 壁に両手をつく。
- 大きくかかとを上げ、つま先立ちする。
- つま先立ちしたまま3秒ほど姿勢をキープ。
- かかとを下ろす。
- 5回くらいを目安にして(3)〜(5)を繰り返す。
「つま先立ちトレーニング」の目安は、5回×1セット。 慣れてきたら10回くらいを限度にして回数を増やしてみましょう。
トレーニングのコツ
- つま先立ちするときは、指先だけで体を支えるつもりでかかとをしっかり上げる。
- つま先で立っている状態のとき、ふくらはぎの下辺りの筋肉が刺激されていることを意識する。
このトレーニングはヒラメ筋にしっかり負荷をかけられるかが効果を左右します。
ヒラメ筋とはふくらはぎの下辺りにある筋肉。つま先を上げているときにふくらはぎへ力がかかっているか意識するようにしましょう。
もし足りていないようであれば、つま先に力を込めながらかかとを上げます。ふくらはぎを刺激しやすくなりますよ。
難易度:★★☆|タオルギャザー
「タオルギャザー」は、足底の筋肉に刺激を与えることで、足の指の運動機能向上が期待できるトレーニングです。
床に敷いたバスタオルを、足の指でつかむようにするだけなので簡単。単純なトレーニングなのにしっかりと足指を動かせるようになり、歩行や体重移動など日常の動きがスムーズにできるようになりますよ。
力が必要だったり、激しく動いたりすることもありません。日頃あまり体を動かさない方でも無理なくできるので、ぜひ習慣にしてみてください。
トレーニングの正しいやり方
- 床にバスタオルを敷く。
- バスタオルに片足を乗せる。
- バスタオルに乗せた足の指を、じゃんけんでグーとパーをするように開いたり閉じたりする。
- (3)の動作を5回ほどしたら、もう片方の足も同じように行う。
「タオルギャザー」の目安は、片足5回ずつ×1セット。 慣れてきたら10回くらいを限度にして回数を増やしてみましょう。
トレーニングのコツ
- 足の指を動かすときは、タオルをつかんで手繰り寄せるイメージで行う。
このトレーニングを効果的にするには、いかに足の指をしっかり動かせるかが重要なポイント。
ただ指を動かしているだけでは足底の筋肉を十分に刺激できず、足指の運動機能向上も期待できなくなってしまいます。
足の指を大きく開いたり閉じたりし、1セット終了時には床に敷いたバスタオルがクシャクシャになっているよう意識しながら取り組んでみましょう。
難易度:★★☆|椅子に座ってもも上げ運動
このトレーニングは年齢的に筋トレが厳しい方でも取り組める優しい運動です。病気などで体力が落ちてしまい、軽めの運動ですらつらい方は、「椅子に座ってもも上げ運動」を試してみて。
椅子に腰掛け、歩くように両足のももを上げ下げするだけ。体に負担をかけず、ウォーキングのような効果を得ることができますよ。
体力をつけたいけれど体の自由がきかない方には特におすすめ。リハビリのつもりで取り組んでみてください。
トレーニングの正しいやり方
- イスに浅く腰掛け、足を腰幅と同じくらいに開く。
- 背筋を伸ばし、両手をイスに添える。。
- 右足の太ももをゆっくり上げて下げる。
- 左足の太ももをゆっくり上げて下げる。
- (3)〜(4)を繰り返す。
「椅子に座ってもも上げ運動」の目安は、両足を交互に16回ずつ×1セット。 交互ではなく、両足を同時に上げるやり方にすると腹筋を鍛えられるので、こちらもぜひお試しください。
トレーニングのコツ
- トレーニング中はお腹に力が入るように意識する。
- 安定したイスを使い、脚がグラグラするイスや折りたたみイスは危険なので避ける。
- なるべく平らな座面の椅子を使い、腰が沈み込むようなクッションは避ける。
ウォーキングのような効果をしっかり得るには、太ももをできるだけ持ち上げ、足全体の動きが大きくなるようにすることが大切です。
背中が丸まった状態で取り組んでしまうと足の動きが小さくなってしまうので、運動量が減ってしまいます。
そのためトレーニング中は必ず背筋を伸ばし、高い位置まで太ももが上がるようにしましょう。
難易度:★☆☆|グーパー運動
指の関節が硬くなり握力も落ちてくると、日常生活で不便に感じることが多くなっていきます。「グーパー運動」で指や腕を鍛えて機能向上を目指しましょう。
やり方は、両腕を前に習えするように伸ばし、手のひらをグーパーさせるだけ。指の関節可動域が広がり、握力が向上してきます。腕をあげるときに使う筋肉も一緒に鍛えられますよ。
食事や着替えなど、日常生活に必要な手の動きを維持できるようになるので、毎日頑張ってトレーニングしましょう。
トレーニングの正しいやり方
- 両腕を真っ直ぐ前に伸ばす。
- 両手のひらを開いてパーの形にする。
- 両手のひらを閉じてグーの形にする。
- (2)〜(3)を繰り返す。
「グーパー運動」の目安は、10回×1セット。 入浴して指先が温まっている状態で行えば、さらに効果的になります。
トレーニングのコツ
- 指先だけの運動にならないよう、腕全体をしっかり水平に持ち上げる。
- 慣れてきたら、上や左右など、さまざまな方向に腕を上げて取り組む。
筋肉は部位ごとに単独で動いてるわけではありません。隣り合った筋肉同士がしっかり連動することで自由に動かすことができるようになっています。
そのため、グーパー運動だからといって、指先だけを動かすトレーニングにならないようにしましょう。
腕を必ず上げた状態で取り組み、二の腕などにもしっかりきいているか意識するようにしてみてくださいね。
【参考記事】グーパートレーニングに効果的なやり方を詳しく解説▽
難易度:★★★|スクワット
体力に自信のある方は「スクワット」に挑戦してみてはいかがでしょうか。 屈伸運動のスクワットは、太ももやお尻にある大きな筋肉を強くし、基礎代謝の向上が期待できるトレーニングです。
負荷が高いトレーニングなので、少ない回数から徐々に行うこと。正しいやり方を心がけ、無理をしない範囲で頑張ってみましょう。
トレーニングの正しいやり方
- つま先をやや外側に開き、足を肩幅くらいに広げて立つ。
- 膝の位置がつま先よりも前に出ないよう気をつけ、ゆっくり腰を落としていく。
- 太ももが床面と平行になったら動作を止める。
- ゆっくり立ち上がる。
- 膝が伸びきらない位置まで戻したら動作を止める。
- (2)〜(5)を繰り返す。
「スクワット」の目安は、10回×3セット。 セット間はインターバルを30秒ほどはさみます。 慣れてきたら最大30回ほどを目安にして回数を少しずつ増やしていきます。
トレーニングのコツ
- 正しいフォームができるようになるまでは、回数を少なめにして取り組む。
- 回数は最大でも30回ほどに留める。
- 負荷が足りないときは、バーベルやダンベルなどで調節する。
- 腰を落とすときに息を吸い、上げるときには吐き出す。
スクワットは体に大きな負荷がかかる筋トレなので、正しいフォームを確認しながら行うこと。
フォームが乱れていては回数を多くしたところで効果が出にくく、負荷が膝や腰にかかりすぎてしまい怪我に繋がるリスクも高くなってしまいます。
慣れないうちは他の人に見てもらったり、鏡に姿を写したりしてフォームをチェックしながら取り組みましょう。
【参考記事】正しいスクワットのやり方をもっと詳しく解説▽
難易度:★★★|レッグランジ
最近つまずきそうになることが増えてきたと感じたら、ぜひ「ランジ」に取り組んでみてください。
このトレーニングは足腰を強化し、踏ん張る力を高めることができます。歩くときにバランスを取りやすくなるので、転倒防止に役立ちますよ。
高齢になると転んだだけでも寝たきりに繋がってしまうことも。ランジで鍛え、つまずきにくい足腰を手に入れましょう。
トレーニングの正しいやり方
- 背筋を伸ばして立つ。
- 腰に手を当てる。
- 右足を前方に大きく踏み出す。
- 膝を曲げながら腰を落としていく。
- 床面と右足の太ももが平行になったら動作を止める。
- ゆっくりと(3)の体勢に戻していく。
- (4)〜(6)の動作を繰り返す。
- 左足も同様にしてトレーニングする。
「ランジ」の目安は、10回×3セット。 慣れないうちは5回くらいから始め、少しずつ回数を増やしていきましょう。
トレーニングのコツ
- 慣れないうちは無理をせず、浅く腰を落とすところから始めて体を慣らしていく。
- 膝とつま先は同じ方向に揃える。
- 腰は後方へ落とすように心がけ、膝の位置がつま先の前にいかないよう注意する。
腰を落とすときは、前に出した足の太ももが床面と水平になるように意識しましょう。
慣れないうちは、難しいので腰を浅く落とす方法で行って、正確なフォームを身につけながら取り組むのがおすすめ。
少しずつ体力をつけながら、最終的には水平まで落とせるように頑張りましょう。
【参考記事】レッグランジの効果を高める方法をもっと詳しく解説▽
高齢者が筋トレを行う際の注意点|どこに気をつければいいの?
若い人と比較して身体機能が低下している高齢者は事故を起こすリスクが高く、より注意深くトレーニングに取り組まなければなりません。
ここでは、高齢者が筋トレに取り組む際に、どのような点に注意するべきか解説していきます。
1. 高血圧などの持病がある方は、医師に相談してから運動に取り組む
筋トレ中は血圧が上昇します。高齢者は血管の壁が弱くなっているので、高血圧の方が筋トレに取り組むと心臓や大動脈、脳の血管が破れてしまい、命に関わることも。
高血圧などの持病がある方がいきなりトレーニングを始めるのは厳禁。かかりつけの医師に筋トレをしても問題ないか相談し、必ず指導に従うようにしましょう。
2. 無理はせず軽めの負荷のトレーニングをする
歳を取るとさすがに若い時のようには体を動かせません。いくら鍛えたいからといって、体力のキャパシティを超えるトレーニングをするのは禁物です。
頑張ればなんとかなるトレーニングであっても避けるようにし、できるだけ楽にこなせる内容のものを選んで取り組みましょう。 また、筋トレ前はストレッチで準備を整え、ケガをしにくい状態にすることも心がけてください。
決して無理はせず、軽めの筋トレでゆっくりと鍛えていきましょう。
3. しっかりと水分補給をする
高齢者は若い人と比較して喉の乾きを感じにくく、トレーニング中は水分不足になりがち。
水分が体に足りていないと血液が濃くなり、血の巡りが悪くなってしまいます。 血の巡りが悪い状態で頑張っても、筋肉へ十分な量の酸素や栄養が供給されず、トレーニング効果が低下する結果に。
筋トレ中は1回につき3~4口程度でいいので、喉が渇いていなくてもこまめに水分補給するように心がけましょう。
4. 安全のために、呼吸は止めずに安定させる
筋トレ中に力んだとき、つい呼吸を止めてしまいがちですが、健康面でリスクに繋がる行為なので絶対に避けましょう。
息を止めた状態でトレーニングしてしまうと酸欠状態になり、血圧の上昇を招くことに。血管がもろくなっている高齢者にとって命取りになりかねません。理想的な呼吸法は、力を入れるときに息を吐き、抜くときに吸うやり方です。
安全のためにも、筋トレするときはこの呼吸を必ず心がけてくださいね。
筋トレをして健康的な生活を送りましょう。
放っておくとどんどん体が弱っていく高齢者だからこそ、毎日無理なく取り組んでいただきたい筋トレ。
筋肉を鍛えることで心身ともに健康となり、生活の質を高められることにも繋がっていきます。
今回の記事でご紹介した筋トレは高齢でも取り組みやすいものばかり。自分に合うものを見つけて、若々しく毎日を過ごしてください。
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