"ご教授ください"の意味/使い方とは?例文&類語付き|ビジネス敬語ガイド
「ご教授ください」の意味とは?
「ご教授ください」とは、専門的な知識や技術を持っている人に教えてくださいとお願いを意味する敬語表現です。
「教授する」というのは、自分の知識や技術を教え与えるという意味。それに「ご」という丁寧語をつけているので、目上の人に対しても使用可能です。
例えば、新人が新しい職場に移ってきたとき、業務内容がわからず教わるシチュエーションなどで「ご教授ください」と丁寧な敬語表現として使用できます。
単に「教えてください」よりも「ご教授ください」の方が、相手から特別に専門知識を教わるという気持ちが強く表現できます。また、ビジネスメールなどの文書よりも、直接相手に使用する話し言葉で用いるの方が多いのも特徴です。
ただし、誤用すると相手に失礼になってしまうので、くれぐれも使い方をマスターしておきましょう。
「ご教授ください」の正しい使い方とは?
「ご教授ください」には「ご」と「ください」という敬語表現が使われているので、目上や上司にも問題なく使用可能です。
使い方のタイミングとしては、相手から専門的な特別な知識なり技術なりを教わる時が基本です。そのため、ちょっとした漢字や英単語を教えてもらうといった自分で調べればわかるようなことで使うと誤用になります。
「ご教授ください」はビジネスシーンで多く使われる表現ですが、新しい部署に移動したとき、新しいプロジェクトを任されたときなどのタイミングで使うのが一般的。
あくまでも、その人の得意分野や他の人では分からないようなことを尋ねる際に、「ご教授ください」は使うことを意識するようにしましょう。
「ご教授ください」を使用した例文
- 本日より当部署で働くことになりましたので、色々とご教授ください。
- 新規プロジェクトの管理を仰せつかりましたので、どうかご教授ください。
- このたび御社の営業担当になりましたので、不明な点などご教授ください。
- 開発部から異動してきました。企画に関しては未熟ですのでどうかご教授ください。
- 関西支社から派遣されてきたばかりですので、色々ご教授ください。
多く見受けられるのが、新しい部署に異動した場合、すべてのことが未知な場合に上司に「ご教授ください」を使います。
その際、本当に教わる場合もありますが、新任の挨拶として「ご教授ください」を使う例文も上げています。
新しい部署や新規プロジェクトに参加するタイミングで「ご教授ください」を使うと、例え教えてもらうことがなくても相手に好印象を与える効果が得られるため、シーンに応じて上手に使いこなしてみましょう。
「ご教授ください」と「ご教示ください」との違い
「ご教授ください」と「ご教示ください」は似たような使い方ができますが、どちらも目上の人に教わるという意味は同じです。
決定的な違いは教えてもらうニュアンスです。「ご教授ください」は「ご教示ください」よりも広い意味合いが含まれます。例えば、知識や技術だけでなく、生き方全般にかかわる事柄を教えていただきたいという意味合いです。
「ご教示ください」の方は、単に知識や技術をおしえてくださいという狭い意味での使い方になります。「ご教授ください」は挨拶言葉としても使えますが、「ご教示ください」は単に教えてくださいという意味しかありません。
ビジネスメールでは「ご教示ください」の方がよく使われるようです。
【参考記事】「ご教示ください」の正しい使い方を分かりやすく解説▽
「ご教授ください」の丁寧な敬語表現
丁寧な敬語① ご教授くださいますよう
「ご教授くださいますよう」の「ますよう」には、「していただけるように」という意味があります。使い方としては「ご教授くださいますようお願い申し上げます」のように「お願いする」言葉がつきます。
単に「ご教授ください」よりも丁寧な物言いになり、相手の専門知識をどうしても教えていただきたいという強い願望が表現可能に。
「お願い申し上げます」をつけることで、より丁寧な言い回しになりますね。ビジネスシーンで地位の高い上役に使う場合におすすめです。
「ご教授くださいますよう」を使った例文
- 今回の抜擢には感謝いたします。つきましては運営上の要点をご教授くださいますようお願い申し上げます。
- 来年度の方針につきまして、早めにご教授くださいますようお願いいたします。
- 過去の取り引き状況についてご教授くださいますよう、伏してお願い申し上げます。
- なにとぞ部長のアイデアをご教授くださいますよう、お願いいたします。
丁寧な敬語② ご教授くださいませ
「ご教授ください」より丁寧な敬語表現になるのが「ご教授くださいませ」です。「ませ」をつけることで、「ください」という強い口調を柔らかく表現できます。
商店やデパートでは「いらっしゃいませ」が定番ですが、ビジネスシーンでは女性が使う言葉として認知されています。女性社員が上司にお願いするときに「ご教授くださいませ」と使いますね。男性が使っても誤用とはいえません。
誤用で注意すべき点は、やたらと使うと軽々しく聞こえてしまうこと。また、親しい上司なら問題なくても、滅多に顔を合わせない地位の高い上司に使うのは誤用の恐れ有り。失礼になる場合もあるため、注意しましょう。
「ご教授くださいませ」を使った例文
- 新しい書式は初めてですので、どうかご教授くださいませ。
- 今回の書類提出は私一人では不安なので、ご教授くださいませんか。
- 部長ならよくご存じの案件だと思いますので、ご教授くださいませ。
- このまま営業を進めても大丈夫か不安です。私にご教授くださいませ。
丁寧な敬語③ ご教授いただく
「ご教授いただく」は丁寧な敬語で目上の人に使います。「教えていただく」という意味の敬語で、相手を敬う気持ちを込めて使いますね。
「ご教授いただく」だけでは使われないので、「ご教授いただきますよう」といった言い回しに変化させます。使うシチュエーションとしては、相手に教えてくださいとお願いする場合がほとんど。
「ご教授ください」よりも「ご教授いただく」の方がより丁寧な言い方で、上司や取引先などに使えば間違いありません。「ご教授ください」を使っても誤用とはいえませんね。
「ご教授いただく」を使った例文
- 受験日が迫っておりますので、息子にご教授いただくことができれば親としても安心です。
- 先生にご教授いただくことができれば、これほどの幸せはございません。
- 私のようなものが先輩にご教授いただくのは厚かましいと思いますが、そこを何とかお願いします。
- 部長にご教授いただくには、どのようにスケジュール調整したらよいでしょうか。
丁寧な敬語④ ご教授のほど
「ご教授のほど」は丁寧な敬語なので目上の人や取引先などに使えます。「のほど」には深い意味はありませんが、物事の限定を避けるニュアンスを含む言葉です。
限定を避けるので「ご教授ください」よりも「ご教授のほど」の言い回しの方がソフトな印象が強まりますね。「ご教授のほど」のあとには「お願いいたします」のような丁寧な言葉が繋がるので、ソフトで低姿勢な感じが表現可能に。
「ご教授ください」より親密さと丁寧さを出したいときには、「ご教授のほどお願いします」といった例文のような使い方がおすすめです。
「ご教授のほど」を使った例文
- いつも先輩にはお世話になってますが、今回もご教授のほどよろしくお願いします。
- 企画書を提出したいのですが書式が不安です。何卒ご教授のほどお願いいたします。
- こんなことお願いするのは心苦しいのですが、どうかご教授のほどお願いいたします。
- 英語の翻訳で迷っているのですが、先生にご教授のほどよろしくお願いします。
丁寧な敬語⑤ ご教授願います
「ご教授ください」はわりとストレートは言い方ですが、もう少し丁寧に言い換えるなら「ご教授願います」の方が適しているでしょう。
「ご教授願います」は少し丁寧な印象になりますが、もっと思いを込めてより丁寧にお願いするなら「ご教授していただければ」や「ご教授くださいますよう」などに言い換えるのがベスト。
「ご教授願います」も敬語表現なので上司や目上の人に使えます。直属の上司などに使うのが適していますが、「ご教授願います」でも誤用とはいえません。
もっと地位の高い上司の場合は「ご教授くださいますようお願いいたします」という例文の使い方が無難でしょう。
「ご教授願います」を使った例文
- 新組織へ移ってきたばかりなので、会議の段取りについてご教授願います。
- 来月からのスケジュールの立て方についてご教授願います。
- 明日から出張なんですが、取引先の情報についてご教授願います。
- この文書のどこが不備なのかわかりませんので、ご教授願います。
「ご教授ください」と言い換えできる類語一覧
ご教授くださいの類語① ご指導ご鞭撻
「ご指導ご鞭撻」はビジネスで頻繁に使用される言葉です。「ご教授ください」と意味は同じ類語ですが、「ご指導ご鞭撻」は挨拶するときの定番フレーズですね。
「ご鞭撻」というのは「激励」という意味があり、「ご指導ご鞭撻」は「今後もよろしくお願いいたします」のような挨拶言葉としても使います。主にスピーチやメールの定型文として使われることが多いです。
「ご教授ください」はストレートに教えを乞うのに対し、「ご指導ご鞭撻」は類語ながら具体的に何かを教えてもらうということではなく挨拶的な意味合いが強くなります。
「ご指導ご鞭撻」の使い方
- まだまだ若輩者でありますから、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
- 部長のご指導ご鞭撻のおかげで、今日の私があると感謝しております。
- プロジェクト担当に選ばれましたが、さらなるご指導ご鞭撻をたまわりたくお願い申し上げます。
ご教授くださいの類語② お教えください
「お教えください」は知識や技術を知りたい時に、わりとストレートにお願いする言葉。「ご教授ください」の類語にあたり、意味は同じなので言い換えが可能です。
ただし「お教えください」はビジネスシーンの会話やメールでもっぱら使われます。目上の人に使う敬語表現という点では同じですが、「お教えください」は緊張感の必要ないよく知っている上司などに使うのがよいでしょう。
同じ意味の類語でも「ご教授ください」が堅苦しい敬語表現なのとは対照的です。
「お教えください」の使い方
- 今回主任に抜擢されたのですが、注意点などがあればお教えください。
- このたび部署が変わりましたので、新しいメールアドレスをお教えください。
- 電話で失礼しますが、先月の取引高と純益についてお教えください。
ご教授くださいの類語③ ご指導ください
「ご指導ください」は「ご教授ください」の類語ですが、使うシチュエーションはかなり異なり誤用しやすい類語です。
「ご教授ください」は知識や技術などを教えてくださいとお願いする敬語ですが、「ご指導ください」は教えてもらうだけでなく指導してほしいという意味です。意味を取り違えると誤用になるので要注意。
「ご指導ください」を使うシチュエーションは、何か教えてもらうというよりは自分を指導してくださいという上司への挨拶言葉の意味合いが強くなります。
新しい職場に移った場合などに、挨拶として使いますね。
「ご指導ください」の使い方
- このたび配属になった〇〇と申しますが、どうか末永くご指導ください。
- 営業部門は初めての体験ですので分からないことが多いと思います。どうかご指導ください。
- ご指導してくださいました先輩のおかげで、無事に難関を突破することができました。
ご教授くださいの類語④ ご助力ください
「ご助力ください」の「助力」というのは、助けがほしいという意味があります。例えば、ビジネスで新規の分野で働くことになった時など先輩社員に「ご助力ください」とお願いします。
「ご助力ください」は「ご教授ください」の類語ですが、意味合いは違うので誤用しやすいので、使い方には注意が必要です。
「ご教授ください」は知識や知恵を必要としているのに対し、「ご助力ください」はサポートをお願いすること。そのため、「ご助力ください」を使うシチュエーションは、立場的に助けやサポートが必要な場合に限定されます。
このような場合に「ご教授ください」を使うと誤用になるので、くれぐれも注意しましょう。
「ご助力ください」の使い方
- 配管のミスらしいのですが、専門知識がありませんのでどうかご助力ください。
- 彼がこのたび配属された新人です。何もわからないと思いますので、どうかご助力ください。
- 先生がご助力くださいますれば、難関といわれる大学もきっと合格いたします。
【参考記事】「ご助力」の使い方を例文付きで解説▽
ご教授くださいの類語⑤ ご指南ください
「ご指南ください」の「指南」には「教え導く」という意味があります。「ご指南ください」というのは「ご教授ください」の類語ですが、武術などを教えてもらう場合によく使われます。
「ご指南ください」は「ご教授ください」の類語なので敬語表現になり、目上の人に使う点では同じです。違うのは「ご教授」がただ教えてもらうのに対し、「ご指南」は指導して導いてくださいという意味が含まれます。
また、「ご指南ください」を使うシチュエーションは、剣道や柔道など武術に関する指導を求める場合がほとんどなため、上手に使い分けましょう。
「ご指南ください」の使い方
- 今回は敗退しましたが次の大会にはよい成績を残したいと思いますので、ぜひご指南ください。
- 息子は剣道が初めてですので、基礎からご指南ください。
- 柔道で相手と組む時のタイミングが納得できないので、徹底的にご指南ください。
「ご教授ください」の英語表現
- Please give me a lecture(どうか教えてください)
- Would you let me know(ご教授いただけませんか)
- Please tell me(教えてください)
- Thank you for your instruction(教えてくれてありがとう)
- Could you please teach me how to use(使い方をご教授くださいませんか)
- Please let us know(どうか教えてください)
英語では「ご教授」のような敬語表現はありません。教えてくださいという意味では、「Please give me a lecture」という英語表現が一般的です。
気軽に日常の英語会話で使うのなら、「Please let us know」の例文が適していますね。親しい間柄では、「Please tell me」といった簡単な例文でも大丈夫です。
英語では目上に使う言葉が決まっていませんので、これらの英語の例文を覚えておけば安心でしょう。
教えてもらう時は、「ご教授ください」を上手に使おう!
「ご教授ください」の意味、使うシチュエーションやタイミングについて例文を交えて説明しました。目上の人に使うことを知っておけば、ビジネスシーンでも使いこなせます。
目上にも親しい人から地位の高い人までいるので、ご紹介した例文を参考にしてください。相手によって言い換えれば上手に使えるでしょう。「ご教授ください」はビジネスで覚えておきたい言葉ですね。
英語では比較的わかりやすい例文を上げてあるので、覚えやすいでしょう。
【参考記事】「ご教授」の正しい使い方から類語まで解説▽
【参考記事】「大変恐縮ですが」の意味から言い換えできる類語をご紹介▽
【参考記事】「存じます」の使い方から類語までを解説▽
大切な人にシェアしよう。Enjoy Men’s Life!