"ご教示ください"の意味/使い方とは?類語&例文付き|ビジネス敬語ガイド
「ご教示ください」の意味とは?
「ご教示ください」とは、ビジネスシーンで年代や性別を問わずさまざまな仕事の場面でよく使われる言葉で、「教えてください」という意味の敬語表現です。
「教示」とは、当てられた漢字のとおり、方法や状況などについて教え示すという意味を持ちます。つまり、現時点で自分が知らない方法や把握できていない状況について教えてほしいという気持ちを含んだ言葉です。
「教示」という言葉に丁寧な表現である「ご」を前に、敬語である「ください」を後ろに付け加えることで、相手に対して尊敬の念を持っていることも同時に伝えられる言葉と言えるでしょう。
ビジネスシーンでの「ご教示ください」の正しい使い方
「ご教示ください」は、ある方法や状況などについて、自分よりもその方法や状況をよく知っている相手に対して使う敬語です。
その方法や状況について教えてほしいという気持ちを伝える時、単に「教えてください」と直接的に言うよりも丁寧な印象を与えられる敬語表現だから。
ビジネスシーンではその場に合わせた丁寧な表現が好まれますから、「教えてください」よりも敬語表現である「ご教示ください」を使用するのが一般的でしょう。
会話などの話し言葉で使うことはほとんどなく、主にメールでの文章や書類に書く文章の中で書き言葉として使う敬語だと覚えておきましょう。
「ご教示ください」を使った丁寧な例文
- 来月から変更になる発注方法について不明点があります。向上スタッフ内で共有したいのでご教示ください。
- 私が資料を持参します。〇〇様のご都合をご教示ください。
- 先日納品しました商品について開発課の皆様のご意見を伺いたいです。ぜひご教示くださいませ。
- 明日の打ち合わせ場所についてご教示ください。
- 使用するサンプルを準備しますので、必要な品番をご教示くださいませ。
- 土日と祝祭日の貴店の開店時間をご教示ください。
「ご教示ください」という言葉を使うタイミングは、自分が持っていない、知らない情報をもらいたい場合です。
たとえば契約前や打ち合わせ前などに相手の状況や考えを把握しておきたい、自分よりも知識や経験がある相手によりよい方法を教えてほしいなど、ビジネスシーンにおいてスムーズに話を進めることを目的としたやりとりの中で使うことが多いでしょう。
「教えてください」という言葉と意味は同じですが、こちらがお願いする立場なため、例文のように丁寧な敬語表現となる「ご教示ください」を使うのがおすすめです。
「ご教示ください。」は、目上には使わないほうが無難。
相手に何かを教えてほしい際、「ご教示ください」という言葉は用いるのは何ら問題ありません。丁寧さを示す接頭語「ご」や「~する」の丁寧語である「ください」が加わっていることから、目上の人に対して使っても問題ないと思いがちです。
しかし、「ください」は「~する」の命令形である「~しなさい」を言い換えた言葉でもあります。したがって、いくら丁寧とはいえ命令なため、敬語であってもビジネスシーンでは一般的には使わないほうが無難と言われています。
仮に目上の方に使用する場合は、「ご教示ください」よりもさらに丁寧な言い回しである「ご教示くださいますよう~、」「ご教示のほど、」「ご教示いただけますか」などを使うのが理想的です。
「ご教示ください。」をより丁寧に伝えられる敬語表現
丁寧な敬語① ご教示くださいますよう
「ご教示ください」に似た言い回しである「ご教示くださいますよう」は、より丁寧な表現として使います。主に、ビジネスメールの最後に締めくくりの文章の一部に使われる敬語です。
「ご教示ください」だけで終わらせず、後ろに「お願いいたします」などの依頼の言葉を続ける使い方が一般的で、その2つの言葉をつなげるために「~ますよう」を間に入れます。
「ご教示ください」が単なる依頼の意味なのに対して、「ご教示くださいますよう」は教えてくださいという依頼の気持ちを丁寧に表しているため、上司や取引先など目上の人に使うことが多い敬語表現と言えます。
「ご教示くださいますよう」の使い方
- 今回の研修の目的をご教示くださいますようお願いいたします。
- 開催期間中に展示会へ伺う予定です。会場への入場時間につきましてご教示くださいますようお願いいたします。
- 報告書の体裁について修正点がありましたらご教示くださいますようお願い申し上げます。
【「例文」で使われている敬語】
・「お願い申し上げます」の正しい使い方を例文付きで解説します
丁寧な敬語② ご教示のほど
「ご教示のほど」は、「~のほど」を入れて断定的な表現を避けることで、「ご教示ください」よりも丁寧な依頼の表現としてビジネスシーンでよく使われる言葉です。
読み方は「ごきょうじのほど」で、例文のように「宜しくお願いいたします」を続けるなど、主に依頼を意味する敬語表現を後ろに付けて使います。
上司や取引先、顧客など目上の人とメールでやり取りをする場合に、締めくくりの言葉として最後に加える使い方が多いです。「~のほど」を使うことでやわらかい表現となり、教えを乞う表現として丁寧な印象を与えられる言葉と言えるでしょう。
「ご教示のほど」の使い方
- お客様より問い合わせがきておりますので、××の仕様につきましてご教示のほどよろしくお願いいたします。
- 先日提示いただいた見積書につきまして、3~5番の詳細をご教示のほどお願いいたします。
- カタログをいただきたいので、ご担当者様のお名前をご教示のほどよろしくお願いいたします。
丁寧な敬語③ ご教示いただき
「ご教示いただき」という言葉も、「ご教示ください」よりは丁寧に教えを乞う言葉としてよく使われています。
「ご教示ください」は命令形を丁寧にした表現ですが、「ご教示いただき」は「~してもらう」という言葉を敬語の一種である謙譲語にした形なので、さらに丁寧な印象を与えます。
後ろに「お願いいたします」などの依頼の表現を加えて「ご教示くださいますようお願いいたします」といった敬語表現をするのが一般的と言えるでしょう。
自分より相手を一段上の立場に置いて使う言葉なので、上司や取引先、顧客など目上の人に対して使います。一般的にはビジネスメールでの文章で書き言葉として用いるのが一般的使い方です。
「ご教示いただき」の使い方
- 先日メールいただいた販促資料のデータ分析方法について、詳しくご教示いただけますか。
- 〇〇部長の受賞記念パーティーの開催予定時期をご教示いただきたく存じます。
- この商品の輸入ルートをご教示いただけますか。
【「例文」で使われている敬語】
・「存じます」の意味/使い方。例文&言い換えできる類語|ビジネス敬語ガイド
「ご教示ください」と「ご教授ください」の違いとは?
ビジネスシーンにおいて、「ご教示ください」と同じような使い方をする敬語に「ご教授ください」があります。読み方は「ごきょうじゅください」です。どちらも基本は「教える」という意味を持ちますが、相手に教えてもらいたい内容が異なります。
「教示」は状況や知識などを教え示すことを意味するのに対して、「教授」は専門的な内容を教え与える、授けることを意味します。つまり、教えてほしいことが一般的なことであれば「教示」、学問など専門的なことであれば「教授」を使えばいいでしょう。
ビジネス上のメールのやりとりで一般的に使うのは「ご教示ください」です。
「ご教授ください」を使った例文一覧
- 先生がご担当されている物理学科の講義内容についてご教授ください。
- 新しく開発された施工技術の詳細をご教授のほどよろしくお願いいたします。
- 応接室に飾ってあったあの絵はいつごろの時代の作品でしょうか、ご教授ください。
- 商法の改正部分についてご教授くださいませ。
- 来週の会議では、システム解析の種類についてご教授くださいますようお願いいたします。
「ご教授ください」は、例文からもわかるように、学問や芸術、専門的な技能、法律など専門分野の知識や経験を教えてもらいたい場合に使う表現です。
「教え授ける」という漢字を当ててあることから、その道の専門家に知識や技術を教え授けてもらいたい時に使います。ビジネスシーンでは業務的なやりとりが主なので、「ご教授ください」という言葉を使う機会はあまりありません。
しかし、工業系や芸術系など、業種によっては専門的なやりとりをする機会がありますから、その場合は例文を参考に「ご教授ください」を上手に使いこなしてくださいね。
「ご教示ください」と言い換えできる類語一覧
ご教示くださいの類語① ご指導ください
「ご教示ください」の類語として「ご指導ください」も数多く使用される言い回しです。「指導」とは、一般的なこと、専門的なこと、どちらかに関わらず、目的に沿って教え導くという意味を指します。
「教える」という意味を持つ言葉として使い方はどちらも似ていますが、「ご教示ください」が教えてもらいたいことを単に示してもらうだけなのに対して、「ご指導ください」は例文のように目的を達成するまで導いてもらう意図を含んでおり、上司や取引先等に対して中長期的に教えを乞う意味合いで使う言葉です。
「ご指導ください」の使い方
- 設計CADの操作についてご指導ください。
- いつもお気遣いいただきありがとうございます。今後とも引き続きご指導ください。
- 来月の会議に20名集まりますので、保留になっている行政機関への申請方法をご指導ください。
ご教示くださいの類語② ご指南ください
「ご指南ください」とは「ごしなんください」と読みます。「ご教示ください」と使い方が似ているようにとらえがちですが、使い方はかなり限定的で、教えてもらいたい内容が芸事関係や武術関係の場合にのみ「ご指南ください」を使います。
古代中国では、最初に設定した方向にだけ進み続ける“指南車”という名のからくり式の車が使われていました。その様子から転じて、目標に向かってまっすぐ進み続けるために練習を欠かせない芸事や武術の教えを乞う場合に使われる表現です。
意味合いは同じですが、シチュエーションがだいぶ特殊なため、ビジネスシーンでほとんど使用しない表現と言えるでしょう。
「ご指南ください」の使い方
- 今度ご自宅へ伺った際に、将棋を一局ご指南ください。
- 〇〇係長の祝賀パーティーで演奏されていたピアノ協奏曲、私も演奏してみたいのでぜひご指南ください。
- 先生、営業部は忘年会で■■音頭を踊る予定なのでよろしくご指南ください。
ご教示くださいの類語③ お教えいただく
「お教えいただく」という言葉は、例文のように丁寧に教えを乞う意味があり、「ご教示ください」の類語として例文のように使われます。
「教える」という動詞に丁寧さを表す接頭語「お」と、「~してもらう」の丁寧語である「~いただく」を付け足した言葉で、相手に対する敬意を表しながら教えを乞う表現です。
「ご教示ください」の「~ください」は、丁寧な表現ですが「~しなさい」という命令形が変化したものなので、相手が目上の人の場合は使いません。
教えてもらう立場として使う場合は、基本的に相手が自分よりも立場が上のことが多いため、「お教えいただく」を使う方がより自然と言えるでしょう。
「お教えいただく」の使い方
- 今後の工程についてお教えいただくことは可能でしょうか。
- 貴社の基本理念について詳しくお教えいただくと幸いです。
- 先日依頼しました資料送付の件、発送はいつごろになるのかお教えいただくようお願いいたします。
ご教示くださいの類語④ ご指導ご鞭撻
ビジネスシーンでよく使う「ご指導ご鞭撻」という言葉は、広い意味で教えるという意味を持ちます。
「ご教示ください」の類語で、「ご鞭撻」という言葉はもともと「鞭で打って厳しく懲らしめる」という意味だったのが、現代では努力するよう激励するニュアンスを含んで使います。
単独で使うことはなく、「指導」と組み合わせた上で相手へ教えや励ましを求める気持ちを伝えるために「ご指導ご鞭撻」とする定型表現です。意味合いは似ていますが、「ご指導ご鞭撻」は主に挨拶状やお礼状などの文章内で書き言葉として多用します。
「ご指導ご鞭撻」の使い方
- その節は大変お世話になりました。今後もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
- 〇〇社長様のお力添え感謝いたします。引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
- 今季目標を達成できました。今後も何卒ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
「ご教示ください」の英語表現
- I would appreciate it very much if you could advise me anything. (どのような内容でもいいのでご教示お願いいたします)
- Thank you for your instruction.(ご教示いただきありがとうございました)
- Could you show me some concrete usage cases? (具体的な導入事例をいくつかご教示いただけますか)
- Could you tell me how to do it? (どのようにしたらいいかご教示いただけますでしょうか)
- Thank you for sending us the inventory information.(在庫状況をご教示いただき助かりました)
- Please instruct me if there is an error in my understanding of it. (私の認識が間違っていたらご教示ください)
「ご教示ください」という言葉を英語で表現する場合、もっともよく使われるのは例文にもある「Could you give(tell) me」という言い回しです。
状況や内容など知りたいことを教えてもらう際に、相手に対してそれを教えてもらえるかどうかを確認するニュアンスがありますから負担を感じさせず、自然な表現と言えるでしょう。
何かをお願いする時、英語では「Please」を使いたくなりますが、強制的に教えるよう求めるニュアンスがあるので避けたほうがいいです。
目上の方に使う「ご教示ください」は、きちんと使いこなしましょう!
ビジネスシーンでは頻繁に使われている「ご教示ください」という言葉は、覚えておくと非常に便利です。
上司や取引先、顧客など目上の立場の人が相手の場合は、より丁寧な表現が求められる場合もありますから、他の言い回しとして「ご教示のほどお願いいたします」などもあわせて使いこなせるようにしておくといいでしょう。
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