"おこがましい"の意味/使い方とは?類語&使える例文【ビジネス敬語ガイド】
「おこがましい」の意味とは?
「おこがましい」とは、「出過ぎたこと」「分不相応だ」「生意気である」などを意味する敬語表現です。
ビジネスシーンなどで目上の人や取引先に対して自分の言動・行動をへりくだる場合によく使われます。例えば意見を述べるときに「おこがましいようですが」と前置きすることで「生意気なようですが~」という意味での前置きが可能です。
また、上司が目下の人をいさめる場合にも使われる場合も。例えば相手の言動をいさめるとき、「そのような言動はおこがましい」という使い方で、「そのような言動は生意気だ」という意味になります。
ただし、後者は強い表現なので使い方には注意が必要です。
「おこがましい」の語源について
「おこがましい」とは、元々は「をこがまし」といわれていた言葉で、「烏滸がましい」「痴がましい」「尾籠がましい」の3種類の漢字があります。
「尾籠がましい」は「馬鹿馬鹿しい」、「痴がましい」は「愚かな」、「尾籠がましい」は「汚いもの、わいせつな」が元々の意味です。
したがって、現在使われている「おこがましい」は「烏滸がましい」「痴がましい」を語源とする言葉が主に使われているといえるでしょう。
「おこがましい」の使い方/タイミングとは?
「おこがましい」は、上司や取引先など目上の人に意見する場合に「生意気なようですが」「失礼ながら」の意味で使われることがあります。
「おこがましいようですが」と一言入れてから意見を述べることで、相手に柔らかい印象を与えられるからです。
また、「分不相応」という意味もあるため、謙遜の意味で使われることも。どちらも非常に重宝する言い回しなため、しっかりと使い方はマスターしておきましょう!
「おこがましい」は、相手に対して使わないのがベスト。
「おこがましい」は、ビジネスシーンで目上の人が目下の人をいさめるような場合に使うこともあります。
ただし、かなりきつい使い方になるので相手に対しては滅多なことでは使わず、別の言い回しをする方がいいでしょう。
例えば、相手の発言をいさめる場合に「そのようなおこがましい発言は控えてください」という使い方もありますが、やんわり注意するだけであれば「おこがましい」を除いても相手に伝わる場合も多いです。
強く注意を促す意図がなければ、できるだけ相手に対しての使用は控えるのがいいでしょう。
「おこがましい」を使った丁寧な例文
おこがましいの使い方① みっともないという意味の場合
- (上司から部下に)そのようなおこがましい発言は控えてください。
- あなたがそのような発言をするのはおこがましいことです。
- 〇〇さんのおこがましさにはあきれて言葉もありません。
- このようなことも知らずに専門家を名乗るとはおこがましい限りです。
- あのような行動をするとはなんとおこがましいことでしょうか。
「みっともない」「馬鹿げている」という意味での「おこがましい」は、例文のように相手をいさめる場合や非難するシーンで使われます。
例えば取引先も含めた会議などで立場が低い人が出過ぎた言動をしてしまった場合に、上司などが「おこがましい」を使った例文のような言い回しでいさめることが。
また、みっともない行動をしてしまった人や奢ったことをしてしまった人や行動などに対して非難する場合にも「おこがましい」は使用されます。
少し強めの言い方なのでビジネスシーンで使用頻度が高いとはいえず、使い方には注意が必要です。
おこがましいの使い方② 立場をわきまえない、失礼という謙遜の意味の場合
- 私のようなものが申し上げるのもおこがましいのですが、~
- このようなおこがましいお願いをしてしまい申し訳ありません。
- 先輩方を差し置いておこがましいのですが、
- おこがましいかとは存じますが、私の意見を申し上げてもよろしいでしょうか。
- このような晴れやかなお席にお招きいただきおこがましく感じるばかりです。
「立場をわきまえない」「失礼な」とは、一見ネガティブな意味のようでもありますが、例文のように自分自身に対して使うことで謙譲を意味する敬語表現になります。
かみ砕いた言い方に直すと、「自分のようなものが~するのは生意気(失礼)かもしれませんが」という意味合いに。
「おこがましい」と一言で表すことで、スマートな表現が可能です。ビジネスシーンで上司や取引先などの目上の人に対してよく使われる敬語表現として覚えておきましょう。
「おこがましい」と「差し出がましい」との違い
「おこがましい」の類語である「差し出がましい」とは、「余計なことをするような感じがする」「でしゃばるような感じを与える」などの意味を持ちます。
「おこがましい」と同じように「立場をわきまえない」という意味で、目上の人に対してへりくだった言い方をしたいときに使える敬語表現で、メールでも使われます。特に目上の人に対して進言をする場合や、お願いしたい場合などに使われます。
また、「余計なことをするな」という意味で上司が部下を叱責するときに使われる場合も。ただし、差し出がましいは「みっともない」という意味では使われません。
ビジネスで使われる「差し出がましい」の丁寧な例文
- このような差し出がましいことを申してしまい、申し訳ございませんでした。
- 差し出がましいことを申しますが、別のルートを使われた方が混雑が少なく早く到着するのではないでしょうか。
- 差し出がましいようですが、今回の議題について私の意見を述べさせていただきます。
- 差し出がましいこととは存じますが、A案よりはB案の方がわかりやすいのではないでしょうか。
- そのような差し出がましいことをしないでください。
「差し出がましい」が一番よく使われるタイミングは、立場が下の人が立場が上の人に対して何らかの進言をするときです。
例文からもわかるように「私のような者が~をするのは生意気化もわかりませんが」という意味が含まれています。ただ意見を述べるよりも「差し出がましい」を挟む言い方をすることで、目上の人が意見を聞いてくれやすくなるといえるでしょう。
また、目上の人が目下の人に対して「差し出がましい」を使うときは、諭すというよりも叱責するようなシーンが多いです。きつい言い方になるため、部下などに使う際は注意して使うようにしましょう。
「おこがましい」と「図々しい」との違い
「図々しい」とは、「他人の迷惑をかえりみない、自分勝手で無遠慮である様」を表します。語源は「企み」などの意味も持つ「図」を重ねて形容詞化した「づうづうしい」です。
「おこがましい」の持つ「立場をわきまえない」「失礼」という意味と同じような意味といえるでしょう。ただし、「図々しい」自体は敬語的な表現とはいえず、立場が上の人の行動を表す言葉としては使われることが少ないです。
上下関係があるのであれば、「おこがましい」「差し出がましい」などの敬語表現を使う方がいいでしょう。
ビジネスシーンで使える「図々しい」の丁寧な例文
- 図々しいお願いかとは存じますが、再度資料をお送りいただけないでしょうか。
- 図々しいことは百も承知ではございますが、一度御社に訪問し、詳しく説明させていただけないでしょうか。
- 図々しいお願いをしてしまい申し訳ございませんが、この商品のサンプルをいただけないでしょうか。
- 先日は図々しくもお言葉に甘えてお邪魔させていただき、誠にありがとうございました。
- 図々しいお願いということは承知しておりますが、あと1日お時間をいただけないでしょうか。
「図々しい」は敬語ではありませんが、例文のように自分の行動をへりくだる言い回しとして使用されます。
自分の言動について「図々しい」とすることで、「迷惑をかえりみずに無理なことを言って(して)しまい」という意味が含まれていて、敬語ではないもののへりくだる表現として使われます。
ビジネスシーンでは、相手に何かお願いするときやお礼を述べる場合などに使われることが多く、メールでも使用される言い回しです。同じ意味を持つ少し丁寧な他の言い方には「厚かましい」などがあります。
「おこがましい」と「厚かましい」との違い
「厚かましい」とは、「恥じる気持ちがなく遠慮がない」ことを表す言葉です。語源は「面の皮が厚いこと」の「厚皮(あつかわ)」に、接尾語「かまし」を付けたもの。
「おこがましい」の持つ「立場をわきまえない」という意味が「厚かましい」と似ています。敬語ではありませんが、前述の「図々しい」と同じように自分の言動をへりくだる表現として使われる言い回しです。
「図々しい」に比べると少し改まったシーンで使われる傾向にあります。
日常生活でも使える「厚かましい」の丁寧な例文
- 厚かましいこととは存じますが、ご助言いただきました内容で進めさせていただきます。
- 厚かましいお願いで恐縮でございますが、なにとぞご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
- いつも厚かましいお願いばかりしてしまい申し訳ございません。今後ともどうぞよろしくお願いします。
- 当方の厚かましい希望をお聞き入れくださり、心より感謝申し上げます。
- 誠に厚かましいお願いで恐縮ですが、なにとぞご検討のほどよろしくお願いいたします。
「厚かましい」は、「図々しい」と同じように自分の言動をへりくだる表現として使われる言い回しです。
「厚かましい」を取り入れることで、敬語ではないもののへりくだって相手に対する敬意を表す役割があり、メールでも使われます。
例文のように、一番使われるシーンは相手に対して何らかのお願いをする場面です。「当方の希望をお聞き入れくださり~」よりは、「当方の厚かましい希望をお聞き入れくださり~」と表現する方が丁寧で取引先などに与える印象もよくなります。
【参考記事】「厚かましい」の意味から使い方を解説します▽
「おこがましい」と言い換えできる類語一覧
おこがましいの類語① 恐縮
「おこがましい」の類語である「恐縮」は、ビジネスシーンで使用頻度が高い言葉で、メールの締め言葉などでもよく使われています。
相手の厚意や相手に迷惑をかけてしまったことなどに対して、恐れ多く申し訳なく思うことを表しています。「おこがましい」の「立場をわきまえない」という意味において類語ですが、「恐縮」の方が幅広く使われています。
また、「おこがましい」が相手をたしなめる場合にも使われますが、「恐縮」はそのような使い方はされない点は大きな違いといえるでしょう。
【参考記事】「恐縮ですが」の使い方を解説します▽
おこがましいの類語② 僭越
「おこがましい」の類語である「僭越」は、ビジネスでは大規模な集まりやパーティーで使われることが多い言葉です。
「僭」は「おごり高ぶる」が語源で、「越」は「身分や立場を超えてふさわしくないことをする」ことを表していて、「おこがましい」の持つ「立場をわきまえない」が共通しています。
他の言い方をすると「身分を超えておこがましいことですが」に。「僭越ながら~させていただきます」のように、他の言動の前に付けて使うのが適切です。
【参考記事】「僭越ながら」の使い方を例文付きで解説▽
おこがましいの類語③ 分不相応
「おこがましい」の類語である「分不相応」は、「言動などがその人の身分や能力などに対してふさわしいとはいえないこと」を意味する言葉です。
「立場をわきまえない」という意味を持つ「おこがましい」とは類語といえるでしょう。ビジネスシーンで自分に対して「分不相応」と表現する場合には、「私にはもったいなさすぎるので」というような意味を含めることが多い傾向にあります。
どちらかというとネガティブな表現なので、何かを断るようなシーンで比較的よく使われます。
おこがましいの類語④ 生意気
「おこがましい」の類語である「生意気」は、「一人前ともいえないのに偉そうにすること」を表す言葉です。「立場をわきまえない」という意味では「おこがましい」と共通しています。
例文を挙げると、「生意気を申し上げてしまい申し訳ございません」のような使い方をされ、自分の言動に対して使用する言い回しといえるでしょう。
どちらかというとくだけた表現なので、「おこがましい」と比べるとビジネスメールなどで使われる頻度は少ない傾向にあります。ビジネスでは「おこがましい」など他の言い方に変える方がいいでしょう。
おこがましいの類語⑤ 身の程知らず
「おこがましい」の類語である「身の程知らず」は、「自分の分際をわきまえないことやそういう人」のことを表します。「立場をわきまえない」という意味似ているのが「おこがましい」との共通点です。
相手に対して使うと失礼極まりない言葉なので、使う対象は自分である場合がほとんどです。まれに上司が部下を叱責する場合にも使われますが、強い表現になるので使い方には注意しておきましょう。
ビジネスシーンでは使用頻度は少なく、「おこがましい」など他の言い方が使われる場合が多いです。
おこがましいの類語⑥ 厚顔
「おこがましい」の類語である「厚顔」は、「厚かましく、恥知らずなこと。図々しいこと」を表す名詞で、使い方は「厚かましい」と似ています。
ビジネスシーンだけでなく日常会話においても使用頻度はそう高くはありません。また、口語よりはメールや手紙など文書にて多用される言い回しです。
おこがましいの類語⑦ 洒落臭い
「おこがましい」の類語である「洒落臭い(しゃらくさい)」は、「分相応でなく生意気」という意味があります。「立場をわきまえない」という意味を持つ「おこがましい」とは類語です。
ただし、演劇などで使われることはありますが、ビジネスや日常会話で使われることは少ない言い回しといえるでしょう。例文として「あいつは洒落臭いやつだ」と表現すると「あいつは小生意気なやつだ」と同義に。
相手に対していい意味で使われることは少ない言葉なので、使い方には気を付けておきましょう。
おこがましいの類語⑧ 不躾
「おこがましい」の類語である「不躾(ぶしつけ)」は、「失礼なこと、無作法なこと」などを表す言い回しです。「失礼」という意味を持つ「おこがましい」とは類語であり、ビジネスシーンでもよく使われます。
例文として「大変不躾なお願いで恐縮ですが」などがありますが、「大変おこがましいお願いで恐縮ですが」とも言い換え可能です。
お願いなど自分の言動をへりくだる言い回しとしてビジネスシーンでよく使われる敬語表現です。スムーズに使えるようにしておくといいでしょう。
【参考記事】「不躾」の使い方を詳しく解説します▽
「おこがましい」の英語表現
- presumptuous(「でしゃばりな」の形式ばった表現)
- impudent(厚かましい)
- take the liberty of doing(おこがましくも~する)
- have the cheek to do(生意気にも~する)
- uncalled for(差し出がましい)
- cheeky(生意気な)
「おこがましい」を表す英語表現には、上記の例文以外にも様々なものがあります。
使用するシーンごとに適した表現は異なりますが、比較的形式ばった表現である「presumptuous」を使うと軽くなりすぎないため、ビジネスシーンに適しているといえるでしょう。
「おこがましい」が意味する内容をかみ砕いたうえで、どのような英語表現が適しているのか選ぶといいでしょう。
「おこがましい」の正しい使い方をマスターしましょう!
「おこがましい」をはじめとするビジネス敬語は、仕事をスムーズに進めていくうえでとても大切な言葉です。
スマートに使いこなせると、周りの同僚から一歩リードできることでしょう。Smartlogでは「おこがましい」以外の敬語表現も紹介しています。
通勤中などの隙間時間にチェックして、ビジネス敬語の使い方を少しずつマスターしていきましょう!
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