"ご教授"の意味/使い方とは?例文&類語"ご教示"の違い|ビジネス敬語ガイド

長谷川大輔 2018.10.01
専門的な技術や知識を教え伝える敬語、ご教授。自分よりも高い身分の方に使うのが一般的な敬語ですが、正しい使い方について知らない人も多いはず。今回は、ご教授の意味から正しい使い方、ご教示との違い、丁寧な例文、言い換えできる類語まで解説。ビジネス敬語を勉強しよう!

「ご教授」の意味とは?

「ご教授」の意味とは?

「ご教授」とは、「教え伝える・授ける」を意味する「教授」に、丁寧語の「御(ご)」を付けた敬語表現です

学問や専門的な技術、知識などを教えてもらいたい時に、「ご教授ください」などのフレーズで使われます

元々は、大学教授のような専門分野に精通した人に学問の教えを乞う際、「ご教授」が使われていましたが、現在では、ビジネスシーンをはじめとする色々な場面で使われるようになりました。

ビジネスシーンにおいては、専門的な技術やノウハウを教えてもらいたい時や、目上の人や取引先の相手に敬意を込めて質問をする時などが、「ご教授」の適した使い方となります


「ご教授」と「ご教示」との違いとは?

「ご教授」と「ご教示」との違いとは?

「ご教授」と似たような言葉に「ご教示」があります。「ご教示」とは、教え示す意味を持つ「教示」に、丁寧語の「御(ご)」を付けた敬語表現。ある事柄について、方法や知識を教えて欲しい時に用いられる言葉です。

「ご教授」と「ご教示」は似たような意味を持ちますが、「ご教授」の方が仰々しいニュアンスをもつ言葉となります

ビジネスシーンにおいては、専門的な知識や技術を長い期間にわたって教えてもらう場合や、格式あるビジネスマナーの教えを乞う場合などには「ご教授」が使われ、業務内容の説明やちょっとした仕事のやり方などを教えてもらう場合には「ご教示」が使われます。

「ご教示」は比較的簡単な事柄や軽い教えを乞う場合に用いられるため、「ご教授」と比べると幅広く使い易い言葉となります


ビジネス上での「ご教授」の正しい使い方

ご教授の正しい使い方

「ご教授」の使い方として多いのが、「ご教授ください」というフレーズを用いた敬語表現です。「ご教授ください」は、「専門的な技術や知識を教えてください」という意味を表し、相手に対して深い敬意を示す効果があります。

ビジネスシーンにおいては、目上の人から長期にわたり知識を学ぶ場合や、取引先の相手に専門的な技術を教えてもらう場合などで用いられます。また、「ご教授ください」というフレーズは堅い印象を与えるため、話し言葉としてはあまり用いられません。

メールや手紙などの書き言葉として用いられるのが一般的となっています。また、「ご教授くださいますよう~」「ご教示賜りますよう~」などの定型文を覚えておくといいでしょう。


ビジネスシーンで使える「ご教授」を使った例文一覧

「ご教授ください。」を使った丁寧な例文

「ご教授ください。」を使った例文
  • メールに実験データを添付しております。お気付きになった点がございましたらご教授ください。
  • この分野の専門的な知識を学びたいと思っておりますので、ご教授ください。
  • 貴社で培われた技術のノウハウを、ぜひ弊社にもご教授ください。
  • 〇〇様の手厚いご指導のおかげで、このような実績をあげることができました。今後とも引き続きご教授くださいませ。
  • 大変恐れ入りますが、文献の解釈についてご教授くださいませ。

ビジネスシーンで「ご教授ください」が多く使われるタイミングとしては、専門的な技術や知識を持つ目上の人に教えを乞う場合が挙げられます。

また、社外の専門的な機関や、その道の先生と呼ばれるような人にデータを解析してもらったり意見をもらったりする場合にも「ご教授ください」が用いられます

例文4つ目に挙げた「引き続きご教授くださいませ」は、お礼を述べるとともに今後も教えを乞う場合によく用いられるフレーズなので、覚えておくと役立ちます。


「ご教授くださいますよう」を使った丁寧な例文

「ご教授くださいますよう」を使った例文
  • 今後ともご教授くださいますようお願い申し上げます。
  • 引き続きご教授くださいますよう、よろしくお願いいたします。
  • お忙しいところ恐縮ですが、ご教授くださいますようお願い申し上げます。
  • お手すきの際で結構ですので、ご教授くださいますよう何卒よろしくお願いいたします。
  • 不躾なお願いで申し訳ございませんが、ご教授くださいますようお願い申し上げます。

「ご教授くださいますよう」という言葉には、尊敬語と丁寧語が含まれており、とても丁寧な敬語表現となっています。

「ご教授くださいますよう」の使い方としては、「お願い申し上げます」「よろしくお願いいたします」などが後に続き、メールや手紙の結び・締めの言葉として用いるケースが多いです

例文1つ目と2つ目の「今後とも」「引き続き」という言葉を付け足した「ご教授くださいますよう」のフレーズは、定型文として覚えておくとフォーマルさと丁寧さが求められるビジネスシーンで重宝しますよ。


「ご教授いただく」を使った丁寧な例文

「ご教授いただく」を使った例文
  • ご教授いただきまして、誠にありがとうございます。
  • この分野の技術的なマニュアルについて、ご教授いただきたく存じます。
  • ご多忙のところ大変恐れ入りますが、ご教授いただければ幸いです。
  • お手すきの際で構いませんので、ご教授いただくことは可能でしょうか。
  • データ解析の詳細について、ご教授いただくことはできますでしょうか。

「ご教授いただく」に含まれる「いただく」という言葉は、へりくだる意味を持つ謙譲語であり、相手に深い敬意を示す敬語表現です。

よって、「ご教授いただく」を元にした、「ご教授いただきたく」「ご教授いただければ」などの言葉は、非常に謙虚で丁寧な印象を与えます。「ご教授いただく」の使い方としては、目上の人や取引先の相手、専門的知識を持つ先生と呼ばれる人などに教えを乞う場合が一般的です


「ご教授のほど」を使った丁寧な例文

「ご教授のほど」を使った例文
  • 不躾な質問とは存じますが、ご教授のほどよろしくお願い申し上げます。
  • お手すきの際で構いませんので、ご教授のほどよろしくお願い申し上げます。
  • 恐れ入りますが、ご指導ご教授のほど何卒よろしくお願いいたします。
  • 大変お手数ではございますが、ご指導ご教授のほどよろしくお願いいたします。
  • お忙しいところ大変恐縮ではございますが、ご指導ご教授のほどよろしくお願い申し上げます。

「ご教授のほど」に含まれる「のほど」という言葉は、限定を避ける言い方であり、文章全体の表現をやわらげる効果があります。

「ご教授」自体が堅いニュアンスを持つ言葉なので、教えを乞う気持ちをやわらかく伝えたい時は「のほど」という言葉を付け加えるといいでしょう

「ご教授のほど」の使い方としては、後に続く言葉として「お願い申し上げます」「お願いいたします」などの敬語表現が挙げられるほか、「ご指導ご教授のほど」というフレーズで使用されることもあるようです。

また、「ご教授のほど」という言葉は、「ご教授の程」と書き換えて用いられることもあります。


「ご教授願います」を使った丁寧な例文

「ご教授願います」を使った例文
  • お手すきの際で結構ですので、ご教授願います。
  • お忙しいところ大変恐縮ですが、ご教授願います。
  • メールに実験データを添付しております。問題発生の技術的要因をご教授願います。
  • おかげさまで成果を上げることができました。どうか今後とも末永くご教授願います。
  • 不躾なお願いで申し訳ございませんが、ご教授願います。

「ご教授願います」は、尊敬語の「ご教授」と、「願う」に丁寧語の「ます」をつけた「願います」で構成された敬語です。敬語としては正しく問題のない表現ですが、やや丁寧さが足りない印象を与えてしまうことがあります。

そのため、「ご教授願います」をさらに丁寧な使い方にするためには、「ご教授お願い申し上げます」「ご教授お願いいたします」などと言い換えるといいでしょう


「ご教授」と言い換えできる類語一覧

ご教授の類語① ご指導ご鞭撻

ご教授の類語①ご指導ご鞭撻の意味とは

「ご教授」の類語には、「ご指導ご鞭撻」という言い回しがあります。「ご指導ご鞭撻」の読み方は「ごしどうごべんたつ」で、目上の相手からの自分に対する指導・教育を敬って言う敬語表現です。

相手に教えを乞うという意味では「ご教授」と同じですが、「ご指導ご鞭撻」には「厳しく指導する・怠らないよう強く励ます」という意味が含まれています。

「ご指導ご鞭撻」の使い方としては、「ご指導ご鞭撻のほど」「ご指導ご鞭撻くださいますよう」が、よく用いられるフレーズです。

この2つの表現は、ビジネスシーンや結婚式の場面などにおいて、挨拶やスピーチの結び・締めの言葉としてよく使われます。

「ご指導ご鞭撻」の使い方

  • 何卒、今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
  • 引き続き皆様方には、ご指導ご鞭撻のほど心よりお願い申し上げます。
  • これからも変わらぬご愛顧とご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

【「例文」で使われる敬語】
「お願い申し上げます」の使い方を例文付きで分かりやすく解説!

「ご愛顧」の意味とは?|ビジネスシーンで使える例文まで解説します


ご教授の類語② ご指南

ご教授の類語②ご指南の意味とは

「ご教授」の類語である「ご指南」には、「教え導くこと・手引き」という意味があります。

色々な種類の専門技術や知識の教えを乞う際に「ご教授」が用いられるのに対し、「ご指南」は基本的に、武術や芸事についての教えを乞う際に用いられる言葉です

ビジネスシーンにおいてはあまり使われない表現ですが、目上の人や取引先の相手との会話の中で、武術や芸事の話題になった時に「機会がありましたらご指南ください」「ご指南いただけると幸いです」などと使用できるため、合わせて覚えておいて損のないフレーズと言えます。

「ご指南」の使い方

  • 以前から茶道に興味を持っておりました。機会がありましたらご指南いただけたらと存じます。
  • 丁寧にご指南いただきまして、心から感謝申し上げます。
  • 囲碁の基本について、ご指南いただきありがとうございました。

【「例文」で使われる敬語】
「存じます」は目上の人に使える?言い換えできる類語もご紹介


ご教授の類語③ ご指導

ご教授の類語③ご指導の意味とは

「ご指導」も「ご教授」の類語となる言葉です。「ご指導」には、「ある意図された方向に教え導くこと」という意味があります。

「ご指導」と「ご教授」は似たような意味を持っていますが、フォーマルで堅い印象を与える「ご教授」に対し、「ご指導」はそこまで堅苦しい表現ではないため幅広く使える言葉となります。

ビジネスシーンにおいて、新しい業務を教えてもらう時や、ちょっとした内容について説明を受けたい時には、「ご教授」ではなく「ご指導」を使うのが適切です。

「ご指導」の使い方

  • 〇〇さんのおかげで英語例文付きのビジネス研修用資料の原案が完成しました。引き続きご指導いただけますと幸いです。
  • お手すきの際で構いませんので、新システムの使い方をご指導いただけますでしょうか。
  • 今後ともご指導ご教授のほど、よろしくお願い申し上げます。

【「例文」で使われる敬語】
「幸いです」の使い方ガイド。例文から類語まで分かりやすく解説します


ご教授の類語④ ご指示

ご教授の類語④ご指示の意味とは

「ご教授」の類語に、「ご指示」という言葉もあります。

「ご指示」には、「指し示す・指図する」という意味があり、「ご指示を仰ぐ」「ご指示いただく」などの言い回しでよく用いられる表現です。

目上の人や先生と呼ばれる人に対し、教えを乞う意味を持つ「ご教授」に対し、「ご指示」は何らかの指示を受ける・指導を求める場合に用いられる言葉となります

ビジネスシーンにおいて、次の作業の指示を受けたい時や手順を指し示して欲しい時に、「ご指示」という言葉を使います。

「ご指示」の使い方

  • 修正作業が終わりましたので、次のご指示を仰ぎたく存じます。
  • 英語例文付きの研修資料が完成いたしました。配布先をご指示くださいますようお願い申し上げます。
  • 〇〇の件につきまして、ご指示いただければ幸いです。

ご教授の類語⑤ お教えいただく

ご教授の類語⑤お教えいただくの意味とは

「お教えいただく」も、ご教授の類語となる言葉です。フォーマルでかしこまった印象の強い「ご教授」と比べて、「お教えいただく」はとてもやわらかい印象を与える敬語表現です

「教えてもらう」という意味を持つ「お教えいただく」は、ビジネスシーンにおいて気軽に使える丁寧な表現であり、「お教えいただいでもよろしいでしょうか」「お教えいただけると幸いです」などの使い方をします。

メールや手紙などの書き言葉として使用することもできますが、やわらかい印象を与える言い回しであるため、基本的には話し言葉として使用されることが多いです

「お教えいただく」の使い方

  • お手すきの際で構いませんので、お教えいただいてもよろしいでしょうか。
  • ロシア語例文の作り方を、お教えいただくことは可能でしょうか。
  • お忙しいところ恐れ入りますが、新しく搬入された機器の使い方をお教えいただると幸いです。

「ご教授」の英語表現

「ありがとうございます」の英語表現
  • Please give me a lecture.(ご教授ください)
  • Please instruct it.(ご教示ください)
  • Please advise. (ご教示ください- ご意見をお願いいたします)
  • Thank you for your instruction.(ご教示ありがとうございます)
  • It would be greatly appreciated if you could explain the details.(詳細をご教授いただけると幸いです)
  • Is it possible to have your advice on that matter?(その件に関してご教授いただく- アドバイスをいただくことは可能でしょうか?)

例文1つ目の「Please give me a lecture.」はビジネスシーンでよく用いられる英語表現です。

とても丁寧な英語表現なので、目上の人や取引先、専門的な知識を持つ相手に教えを乞う際に使用できます。

また、例文3つ目の「Thank you for your instruction.」はお礼を述べる際に役立つ英語表現なので、覚えておくといいでしょう。


「ご教授」の意味や正しい使い方をマスターしましょう!

「ご教授」の正しい使い方や類語表現、様々な例文や英語表現についてご説明しました。

「ご教授」はフォーマルで堅い印象を与える言葉であるため、使う場面を見極める必要があります。

ビジネスシーンで幅広く用いられる「ご教示」との違いを頭に入れておくと、使い分けがしやすくなります。

もし、「ご教授」の使い方に迷うことがあれば、今回取り上げた様々な例文をぜひ参考にしてみてくださいね。

【参考記事】「生憎」の使い方を例文付きで分かりやすく解説!

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【参考記事】「承知」の使い方ガイド。例文から類語まで分かりやすく解説します

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