"承知"の意味/使い方とは?例文&類語"了解"との違い|ビジネス敬語ガイド
「承知」の意味とは?
「承知」とは、「事情などを知っていること・承諾すること」を意味する敬語表現です。
詳しい意味としては、「事情などを知ること・分かっていること」「依頼・要求などを聞き入れること」「相手の事情などを理解して許すこと」の3つがあります。
「承知」に含まれる「承」には、「前のものを受け継ぐ」「相手の意向を受け入れる」という意味合いがあるため、「承知」は謙譲語ではないものの、相手に敬意を払う丁寧な敬語表現として使用可能です。
事情を既に知っているという意味での「承知しております」、承諾の返事としての「承知しました」は、よく使用される言い回しです。
ビジネスシーンでの「承知」の使い方
「承知」には3種類の使い方があります。
1つ目は、依頼を受けた際や、話の内容を理解した際の返事としての使い方。「承知しました」はビジネスシーンで多く使用される敬語表現です。
2つ目は、話や事情を既に知っている・分かっているという意味としての使い方で、「承知しております」「承知の上で」などが挙げられます。
3つ目は、相手の事情を理解して許す意味としての使い方。「次は承知しないぞ」と、「承知」の後に打消しの語が入る形として使用されます。
ビジネスシーンでは、「承知しました」「重々承知しております」「ご承知おきください」などがよく用いられるフレーズです。「承知」を用いた丁寧な敬語表現は、「承知しないぞ」という表現を除き、上司や目上の人への使用に適した言葉となります。
- 承知しました
- 承知いたしました
- 重々承知
- 承知の上
- ご承知おきください
ビジネスで使える!「承知」の丁寧な例文
承知の使い方① 承知しました
「承知しました」は、ビジネスシーンにおいて、相手から依頼を受けた際や、話の内容を理解した際の返事として使用される言葉です。
具体的な使い方としては、上司や目上の人に書類の準備を頼まれた場合や、会議の時間変更を告げられた場合の返事などが挙げられます。
「承知しました」は、「承知」に「しました」という言葉が付いていることで、敬語の分類としては丁寧語となります。
目上に使える「承知しました」の例文
- A:夕方の会議で使う会計資料を14時までに準備してくれないか?
- B:承知しました。すぐに取りかかります。
- A:打ち合わせの開始時刻が16時から15時に変更になったので遅れないように。念の為、部署の者全員に伝えておいてくれ。
- B:承知しました。全員に伝えておきます。
- A:この書類を総務に提出してきてもらえる?それが終わったら、営業報告書の作成と出張で使う資料のコピーを10部頼む。
- B:ご指示の内容、承知しました。
「承知しました」は、上司や目上の人からの依頼や指示に対する返事として、ビジネスシーンでよく用いられる言葉です。丁寧な敬語表現であるため、上司や目上の人、取引先、顧客にも使用できる言葉となります。
同じような場面において、「承知しました」の代わりに「分かりました」と返事をする人もいますが、敬意に欠ける表現となるため、相手に不快感や失礼を与えてしまうことがあります。
敬意を払うべき相手には、「分かりました」ではなく「承知しました」を使用することを覚えておきましょう。
【参考記事】「承知しました」の使い方を例文付きで分かりやすく解説!▽
承知の使い方② 承知いたしました
「承知いたしました」も「承知しました」と同じく、ビジネスシーンで相手から依頼を受けた際や、話の内容を理解した際の返事として使用される言葉です。
「承知いたしました」に含まれる「いたしました」は、自分をへりくだる時に使用する言葉で、謙譲語となります。丁寧語の「承知しました」より謙譲語の「承知いたしました」の方が、相手に敬意を示す度合いの高い敬語表現となります。
かしこまった表現をするべき相手には「承知いたしました」を使用するなど、相手との関係性やシチュエーションによって、使い分けるといいでしょう。
目上に使える「承知いたしました」の例文
- A:来週の出張の件だけど、時間に余裕を持って交渉に臨みたいから、飛行機の時間を1時間ほど早めて手配し直してもらえる?
B:承知いたしました。別の便を手配いたします。
A:明日会議の予定が急に早まって今日の午後になった。急ぎで会議資料をまとめてくれないか?
B:承知いたしました。必ず午前中までに準備いたします。
A:納品日を出来るだけ早い日にちに変更してもらえませんか?
B:承知いたしました。準備が出来次第、すぐに発送いたします。
ビジネスシーンにおいて、上司や目上の人からの依頼や指示に対する返事としてよく用いられる「承知いたしました」という言葉。
謙譲語の「いたしました」が含まれることにより、強い敬意を示す敬語表現となります。稀に、「承知いたしました」が二重敬語だという意見がありますが、実際は二重敬語ではないので使用して問題ありません。
「承知いたしました」と「承知しました」の使い分け方としては、相手との関係性やその事柄の重要度で判断するといいでしょう。「承知いたしました」は、強い敬意を示すべき目上の人や、かしこまった対応が求められる事柄に対して用いるのが適切です。
承知の使い方③ 重々承知
「承知」の使い方に、「重々承知」というものがあります。「重々承知」の読み方は「じゅうじゅうしょうち」。
「重々」には、「かさねがさね・十分・よくよく」という意味があり、「重々承知」とは、「十分に理解しています」「よくよく分かっています」というような意味になります。
ビジネスシーンにおいては、相手に配慮しながら依頼やお願いをする時に使用されることが多く、また、謝罪やお詫びをする時にも使用される言葉です。
目上に使える「重々承知」の例文
- 無理を言っているのは、重々承知しております。
- ご事情は重々承知しておりますので、ご無理なさらずお過ごしくださいませ。
- お忙しいのは重々承知ではありますが、先日メールでお伝えした件について、ご検討いただけますと幸いです。
- 不躾なお願いであることは重々承知しておりますが、ぜひ〇〇様にお願いしたいと考えております。
- こちらの不手際により多大なるご迷惑をおかけしましたこと、重々承知しております。
「十分に理解しています」「よくよく分かっています」という意味を持つ「重々承知」は、相手の忙しさや状況などを配慮しながら依頼する時によく用いられます。
「お忙しいのは重々承知しておりますが、〜」「不躾なお願いであることはは重々承知しておりますが、〜」はビジネスシーンでよく用いられるフレーズで、相手に対して丁寧で謙虚な印象を与えます。
また、謝罪やお詫びの言葉として用いられる「重々承知」は、「(迷惑をかけたことを)十分理解しています」という意味となり、「重々承知しております。誠に申し訳ございません」というような使い方をします。
【参考記事】「重々承知」の意味とは?|ビジネスシーンで使える例文まで解説します▽
承知の使い方④ 承知の上
「承知の上」は、「事情や背景などを把握しており、それでも敢えて行う」という意味を表す言い回しです。
ビジネスシーンにおいては、頼みにくい内容の依頼や、多忙な相手へのお願いの際によく使用されます。
目上に使える「承知の上」の例文
- 勝手なお願いであることは承知の上ですが、ぜひ〇〇様にご依頼できませんでしょうか。
- ご迷惑を承知の上で、お願いに参りました。
- ご事情は承知の上ですが、お引き受けいただくことは可能でしょうか。
- お忙しいのは承知の上ですが、何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。
- 無理を言っているのは承知の上で、お願いしております。
「承知の上」の使い方としては、多忙な相手へ急ぎの依頼をしたい場合や、頼みにくい案件をお願いしたい場合などが挙げられます。
「承知の上」という言葉を入れることにより、謙虚で低姿勢な様子を表すことができるので、上司や目上の人などに何かお願いしたい場合にも使用できます。
「承知の上」を使用した敬語表現は、相手に対して非常に丁寧な印象を与えます。「恐縮ですが」というニュアンスを含む言葉なので、使い方を覚えておくとビジネスシーンの随所で役に立ちます。
承知の使い方⑤ ご承知おきください
「承知」は、「事情などを知っていること・承諾すること」を表す言葉です。「ご承知おきください」に含まれる「おき」には、「~しておく」「前もって何かをする」という意味があります。
よって、「ご承知おきください」とは、「これから行うことについて予め知っておいてください、理解しておいてください、承諾しておいてください」という意味の言葉となります。
「ご承知おきください」は、上から目線な印象を与えてしまう恐れがあるため、ビジネスシーンにおいて上司や目上の人への使用は避けて使い分けることが必要です。
「ご承知おきください」の例文
- 来月は海外出張で2週間ほど不在となりますのでご承知おきください。
- ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご承知おきくださいますようお願いいたします。
- 明日より5日間臨時休業いたしますので、ご承知おきください。
- チケットはお一人様3枚までとなっていることをご承知おきください。
- ご不便をおかけして申し訳ございませんが、何卒ご承知おきくださいますようお願い申し上げます。
「ご承知おきください」とは、これから行う事柄について、「前もって知っておいてください」「予め理解しておいてください」という意味を持ちます。ビジネスシーンにおいては、出張で不在にする際や店舗の休業連絡の際などで使用されることがあります。
しかし、「ご承知おきください」をそのまま使用すると、上から目線な印象や強気なニュアンスで伝わってしまうことがあるため、「ご承知おきくださいますようお願いいたします」などと丁寧な表現にするといいでしょう。
また、上司や目上の人に「ご承知おきください」と言うのは失礼にあたるので、「お含みおきください」などの敬語表現に言い換えて使い分けることが必要です。
【「ご承知おきください」の参考記事一覧】
・「ご承知おきください」の意味から正しい使い方までをまとめました
「承知」と「了解」の違いとは?
「承知」の類語にあたる「了解」には、「相手の事情や考えていることを思いやって納得すること」という意味があります。
「了解」と「承知」は意味がよく似た言葉ですが、「了解」は尊敬語でも謙譲語でもないため、自分と同等もしくは目下の人に使用する言葉となります。
「了解しました」という言い方であっても、上司や目上の人に対して使用するのは失礼にあたるので気をつけましょう。
ビジネスシーンででは、親しい同僚や部下とのやり取りの中で「分かった」という意味を込めて、「了解」「了解です」などと使用されます。「了解」という言葉は、自分と同等もしくは目下の人に使用する言葉であることを頭に入れて使い分けましょう。
「了解」の丁寧な例文
- A:今から外に営業に出るので、会議の結果が分かったら、すぐにメールで教えてもらえませんか?
- B:了解しました。分かり次第連絡します。
- A:私の代わりにその資料を総務部へ届けてもらってもいいですか?
- B:了解しました。今から届けてきます。
【「了解」の参考記事一覧】
・「了解」の使い方とは。意味から類語まで大公開!
「承知」と「了承」の違いとは?
「了承」も「承知」の類語にあたる言葉です。類語である「了承」には、「事情をくんで納得する・承知する」という意味があります。
「了承」を説明する言葉の中に「承知」が出てくるように、「了承」と「承知」はよく似た意味を持っていますが、「了承」には「許す・許可する」という意味が含まれているため、やや上から目線のニュアンスが含まれています。
よって、ビジネスシーンで「了承」を使用する場合は、自分と対等の立場もしくは目下の相手からの依頼を承諾・許可する時などになります。また、上司や目上の人に「了承していただけないでしょうか」などと、何かを願い出る時に用いられる言葉でもあります。
「了承」の丁寧な例文
- A:不具合の原因が分かったので一覧を資料にまとめました。急ぎませんのでお手すきの際に確認をお願いできますでしょうか。
- B:了承しました。今日か明日中に見ておきます。
- A:申し訳ございません。風邪で体調が悪いので午後から早退させていただけないでしょうか。
- B:了承しました。お大事に。
【参考記事】「了承」は目上の人に使える?言い換えできる類語もご紹介!▽
「承知」と言い換えできる類語一覧
承知の類語① 承る
「承知」の類語に「承る」という言葉があります。「承る」の読み方は「うけたまわる」。
「受ける・聞く・伝え聞く・引き受ける」の謙譲語で、上司や目上の人への使用にふさわしい表現です。謙譲語の「承る」は「承知」と比べると、より丁寧な敬語表現となります。
ビジネスシーンでは、会長・社長・常務など役員クラスの相手から電話を受けた場合や、取引先など社外の人へ対応する場合に、「承りました」と使用することが多い言葉です。
「承る」が謙譲語で丁寧な敬語表現であることと、引き受けるニュアンスが強い言葉であるということを覚えておくと、「承知」との使い分けがしやすくなるでしょう。
「承る」の使い方
- メールでご依頼いただきました件について、確かに承りました。納品日が分かった段階でまたご連絡いたします。
- あいにく〇〇はただ今外出しております。私でよろしければご用件を承ります。
- 明日15時からの打ち合わせは7階会議室に変更ということですね。確かに〇〇が承りました。
【参考記事】「承る」の使い方を詳しく解説します▽
承知の類語② かしこまる
「かしこまる」には、「つつしんだ態度をとる」「つつしんで承る・承諾する」などの意味があり、ビジネスシーンでは「分かりました」の丁寧な敬語表現として、「かしこまりました」という言葉がよく使用されます。
「事情などを理解していること・察した上で承諾すること」を意味する「承知」に対し、「かしこまる」は「依頼や願いを認め引き受ける・承る」という意味合いを持ちます。
どちらも上司や目上の人に使用できる敬語表現で、同じような使われ方をする言葉ですが、「かしこまりました」の方がより丁寧な表現となります。そのため、使用する相手や状況によって使い分けるといいでしょう。
「かしこまる」の使い方
- かしこまりました。商品到着日が分かった段階で、またお知らせいたします。
- かしこまりました。メールが届き次第すぐに取りかかります。
- かしこまりました。木曜日までにお手元に届くよう手配させていただきます。
【参考記事】「かしこまりました」の使い方を解説▽
承知の類語③ 承諾
「承知」の類語の「承諾」には、「相手の意見・希望・要求などを聞き、受け入れる」という意味があります。「受け入れる」という意味合いは「承諾」「承知」ともに共通していますが、「承諾」には「依頼・要求を引き受ける」という強いニュアンスが含まれています。
「承諾」はビジネスシーンにおいて、依頼を引き受ける際や、取引や契約を結ぶ際によく用いられます。
また、「責任者の承諾を得る」というように、個人の行為に対して用いられることも多いです。「承諾」には、責任をとることや保証する意味も含まれているので、その点を意識すると「承知」との使い分けがしやすくなるでしょう。
「承諾」の使い方
- 上司の承諾を得て、新しいプロジェクトが始まった。
- メールにてご連絡いただきました納品遅延の件、確かに承諾いたしました。
- ご承諾くださり、誠にありがとうございます。今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
承知の類語④ 拝受
「承知」の類語に「拝受」という言葉もあります。「拝受」とは、「受けることをへりくだっていう言葉・つつしんで受けること」という意味を持ち、「受け取る」の謙譲表現です。
「承知」も類語である「拝受」も「承諾する」意味合いを含む言葉ですが、「拝受」は受領のニュアンスが強い言葉です。ビジネスシーンにおいては、取引先から書類やメールを受け取った際によく使用される言葉になります。
また、謙譲語である「拝受」は、目上の人や取引先の相手に対して強い敬意を示す敬語表現でもあります。「拝受」が使用される場面は限られているので、「承知」との使い分けは難しくないといえるでしょう。
「拝受」の使い方
- 先ほどメールを拝受いたしました。
- 新製品のパンフレットを拝受しました。迅速にご対応いただきまして、誠にありがとうございました。
- 合同セミナーの資料、確かに拝受いたしました。お忙しい中届けてくださり、誠にありがとうございました。
【参考記事】「拝受」の使い方ガイド。例文から類語まで分かりやすく解説します▽
承知の類語⑤ 快諾
「承知」の類語である「快諾」には、「依頼や申し入れを快く承諾する」という意味があります。
ビジネスシーンでは、依頼や申し入れを快く受け入れてもらった場合や、気持ちよく許諾してもらった場合に「ご快諾いただきありがとうございます」などと用いられます。
「ご快諾」は尊敬語であり、感謝の気持ちをこめて丁寧にお礼を述べる際に使用します。「快諾」「承知」ともに、「受け入れる・承諾する」という意味を持ちますが、「快諾」は「快く」の意味合いが強く、基本的に「ご快諾」などと人に対して使用する言葉となります。
「快諾」の類語に「承諾」がありますが、依頼や申し入れをした際の相手の反応を見て使い分けるといいでしょう。
「快諾」の使い方
- セミナー講師の件、ご快諾いただきありがとうございます。
- 急なお願いにもかかわらずご快諾くださり、誠にありがとうございました。
- 新プロジェクトの件ですが、〇〇様にご快諾いただきまして皆喜んでおります。
「承知」の英語表現
- Certainly.(承知しました- かしこまりました)
- It is understood.(承知しました- かしこまりました)
- I agree(承知しました- 了解しました)
- Absolutely.(承知しました- 了解しました)
- receive(承りました)
- You got it.(了解しました- 承諾しました)
「Certainly.」はビジネスシーンでよく使用される英語。
「承知しました・かしこまりました」などの意味を持つ、少しかしこまった敬語的表現です。フォーマルなニュアンスが含まれるため、上司や目上の人、取引先の相手によく用いられます。
また、同じような意味を持つ「It is understood.」も、ビジネスシーンでよく用いられる英語です。
「承知」はよく使う表現なため、きちんと使い分けましょう!
「承知」の意味や使い方、類語、英語表現について、詳しくお伝えしました。
「承知」には多くの類語があるため、使い慣れない間は使い分けに苦労するかもしれません。
まずは、「承知」という言葉の意味や使い方をしっかり理解し、そこから徐々に類語へと理解を広げていきましょう。今回取り上げた「承知」の使い方や例文を参考に、ぜひビジネスシーンで活かしてみてくださいね。
【参考記事】「わかりました」は目上の人に使える?言い換えできる類語もご紹介!▽
【参考記事】「お待ちしております」の使い方|言い換えできる類語から例文まで解説します▽
【参考記事】「申し訳ありませんでした」の意味から正しい使い方までをまとめました▽
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