"ご覧ください"の意味/使い方。類語&上司への例文集|ビジネス敬語ガイド
「ご覧ください」の意味とは?
「ご覧ください」とは、「見てください」を意味する尊敬語表現です。「見ること」の尊敬語である「ご覧」と、「くれる」の尊敬語である「くださる」の命令形である「ください」から成り立っています。
相手に何かを見て欲しい場合に、見ることを促す言葉として用いられ、ビジネスシーンではよく使われる敬語表現です。
頭に「どうぞ」「どうか」や語尾に「ませ」「ますようお願い申し上げます」などを組み合わせて使うことでより丁寧でやわらかい印象に。
ただし、二重敬語になりやすい敬語表現でもあり、失礼にならないよう使い方には注意が必要です。
「ご覧ください」は目上や上司にも使えるのか?
「ご覧ください」は一見二重敬語のように見えますが「名詞+動詞」の適切な尊敬語表現なので、本来は上司や目上の人に対してもビジネスシーンなどで問題なく使える言葉です。
ただし、人によっては「ご覧ください」は失礼だと考える人もいます。そんな時は、相手やシチュエーションに応じて「ご覧」の代わりにさらに丁寧な「ご高覧」「ご賢覧」などを用いる方が賢明です。
相手の社会的地位や関係性を考慮して、適切な敬語表現を使用するようにしましょう。
【参考記事】目上の方に使用できる「ご高覧」の意味や使い方とは▽
「ご覧ください」の正しい使い方
「ご覧ください」は、ビジネスシーンでこちらから資料や書類を提示するとき、プレゼンテーションの場などでよく使われる敬語表現です。
例えば、プレゼンテーションで資料やムービーなどを見て欲しい場合、「ご覧ください」ということで、相手に見ることを促す効果が見込めます。
また、営業先で時間がない相手に資料を渡すようなシチュエーションでは、「どうか資料だけでもご覧ください」と渡すことで、「受け取る」ことでなく「見る」ことをお願いできます。
このように、「ご覧ください」は、具体的に相手に「見る」ことを促す、ビジネスシーンでよく使われる敬語表現です。
「ご覧になってください」は二重敬語。
「ご覧ください」と似た使い方である「ご覧になってください」は、とても丁寧なように見えますが、二重敬語であり間違った使い方です。
「ご覧になってください」には、動詞「見る」の尊敬語である「ご覧になる」と補助動詞「くれる」の尊敬語である「ください」の組み合わせで、動詞で2回尊敬語が使われていることから二重敬語になります。
「ご覧になってください」という言い回しはしばしば使われることもありますが、二重敬語でありスマートな表現とは言い難いです。
「ご覧ください」を丁寧に表現したければ、「ご覧になってください」よりも、「ご高覧ください」「ご賢覧ください」などを使うといいでしょう。
ビジネスシーンで使える「ご覧ください」の丁寧な例文
- みなさまお手元に資料は届きましたでしょうか。どうぞご覧ください。
- (映画館などで)最後までごゆっくりご覧ください。
- こちら弊社のパンフレットでございます。是非ご覧ください。
- 詳細は弊社公式サイトにて掲載しております。よろしければご覧ください。
- 議事録は添付ファイルでお送りしました。お時間あるときにご覧ください。
- 提案内容を添付ファイルでお送りしました。どうかご覧ください。
「ご覧ください」の例文には、取引先や上司などに何かを見て欲しいシチュエーションで使われることが多いです。
特に上司や目上の人に対して、「見てください」では敬意を表す言葉としては不十分な使い方である場合が多いため、「ご覧ください」がよく使われます。
また、映画館や美術館・博物館などでスタッフから見に来た人に対しても「ご覧ください」はよく使われる丁寧な言い回しといえるでしょう。
目上に使える「ご覧ください。」より丁寧な敬語表現
丁寧な敬語① ご覧くださいませ
「ご覧ください」の丁寧な言い回しである「ご覧くださいませ」は、「ご覧ください」に丁寧の助動詞「ます」の命令形「ませ」が付いた言い回しです。
「ませ」は元々女性のみが使っていた女性的な敬語表現ですが、現代ではやわらかい言い回しをしたいときや接客業を中心などで男女問わず使われています。
資料を提示し見てもらいたいときには、社外の目上の人であれば「ませ」を付けた、より丁寧な言い回しが適切といえるでしょう。
「ご覧くださいませ」の使い方
- 先ほど配布しましたお手元の資料をご覧くださいませ。
- 詳細は添付ファイルにてお送りしました。お手すきの際にご覧くださいませ。
- 詳しくは、下記リンク先に掲載の詳細情報をご覧くださいませ。
- みなさま右側の景色をご覧くださいませ。
- (展示会- 美術館などで)どうぞ最後までごゆっくりご覧くださいませ。
【「例文」で使われている敬語】
・「お手すきの際に」を使った例文集|使い方のマナーまで詳しく解説します!
丁寧な敬語② ご覧くださいますよう、
「ご覧ください」の丁寧な言い回しである「ご覧くださいますよう、」は、「お願いします」「お願い申し上げます」などと組み合わせて使われる言い回しです。
「見てください」の尊敬語である「ご覧ください」と「お願いする」の丁寧語や謙譲語を組み合わせた敬語の使い方。
「どうか見て欲しい」という意味を伝えたいときの言い回しで、直属の上司よりは社会的地位の高い人や目上の人に対してよく使われます。
「ご覧くださいますよう、」の使い方
- 詳細は添付ファイルでお送りしました。お時間ございますときにご覧くださいますようお願いいたします。
- 本日の打ち合わせの内容は資料にまとめております。どうかご覧くださいますようお願いいたします。
- 会議の議事録については後程メールにてお送りします。ご覧くださいますようお願いします。
- 企画書をお持ちしましたので、どうかご覧くださいますようお願い申し上げます。
- 詳細は添付ファイルにてお送りしました。どうかご覧くださいますようお願い申し上げます。
丁寧な敬語③ ご覧いただく、
「ご覧ください」の丁寧な言い回しである「ご覧いただく」は、「見てもらう」の謙譲語表現です。
「見ること」の尊敬語である「ご覧」と、「もらう」の謙譲語である「いただく」を組み合わせることで、相手を持ち上げつつへりくだる言い回しになっています。名詞+動詞であるため二重敬語にはならず、正しい使い方といえるでしょう。
ビジネスシーンでは、自分がへりくだる言い回しをしたい場合に適した使い方です。
「ご覧いただく、」の使い方
- 来週の打ち合わせ内容をメールでお送りしました。お手数ですがご覧いただけますでしょうか。
- 提案内容をこちらの書類にまとめてまいりました。ご覧いただけましたら幸いです。
- 事前にお送りしました資料はご覧いただけましたか?
- 先日お渡ししました資料をご覧いただけましたでしょうか。
- (展示会などで)ごゆっくりご覧いただけましたか?
【「例文」で使われている敬語】
・「お手数ですが」の正しい使い方|目上に使える例文までまとめました
・「幸いです」の意味とは?言い換えできる類語から例文まで解説!
「ご覧ください」と言い換えできる類語一覧
ご覧くださいの類語① ご査収ください
「ご覧ください」の類語である「ご査収ください」は、「内容をよく確認したうえでお受け取りください」を意味する敬語の使い方です。尊敬語を作る接頭辞である「ご」、よく見る・よく調べるを意味する「査」、収めるを意味する「収」から成り立っています。
ビジネスシーンではよく使われる言葉で、「見てください」を意味する類語「ご覧ください」に比べて「よく見て確認して受け取ってください」という意味があるため、書類を細部まで確認して欲しいときなどによく使われています。
「ご査収ください」の使い方
- ただいま領収書をお渡しします。ご査収ください。
- 提案内容の詳細は添付ファイルにまとめております。ご査収くださいますようお願い申し上げます。
- 明日の会議で使用する資料をお送りしましたので、どうかご査収ください。
【参考記事】「ご査収ください」の使い方|言い換えできる類語から例文まで解説します▽
ご覧くださいの類語② ご参照ください
「ご参照ください」も「ご覧ください」の類語の一つです。ビジネスシーンで使われる言い回しですが、「ご覧ください」とは少しだけ意味が異なります。
「参照」とは、「照らし合わせて参考にすること」を意味していて、単純に「見ること」を意味する「ご覧」とは類語であっても使い方が異なるからです。
「ご参照ください」は、例えば参考にして欲しい資料を渡すときなどに使用される頻度が高い言い回しといえるでしょう。
「ご参照ください」の使い方
- 提案内容の詳細については、添付ファイルにまとめております。どうかご参照ください。
- その件については、前回会議の議事録をご参照くださいますようお願い申し上げます。
- ご不明な点がございましたら、まずはマニュアルをご参照ください。
【参考記事】「ご参照ください」の使い方とは▽
ご覧くださいの類語③ ご確認ください
「ご確認ください」も「ご覧ください」の類語でビジネスシーンでもよく使われる言い回しですが、やはり少し意味が異なります。
「確認」とは、「はっきり認めること」を意味していて、「見る」を意味する「ご覧」よりも、しっかりと内容を見ておいて欲しい場合にも使われるからです。
敬語ではありますが、やや強めの表現であるため、「ますようお願い申し上げます」などを語尾に付けることで、少しやわらかい言い回しに変えられます。
「ご確認ください」は「ご覧ください」の類語であり使われるシーンも似ているため、上手に使い分けましょう。
「ご確認ください」の使い方
- お手数ですが手順についてはマニュアルにまとめております。一度ご確認ください。
- ご依頼いただきました資料の作成が完了しました。どうかご確認ください。
- お忙しいところ恐縮ですが、お送りしました資料をあらかじめご確認くださいますようお願い申し上げます。
【参考記事】「ご確認ください」は目上に使えるの?▽
ご覧くださいの類語④ ご一読ください
「ご覧ください」の類語の一つである「ご一読ください」も、ビジネスでよく使われる敬語表現です。
「一読」とは、「一通り読むこと」を表していて、「ご覧」が「見ること」「注目」「今見て欲しい」などのシチュエーションで使われるのに比べて、「ご一読ください」は、「(書類などを)全部読んで欲しい」ことを意味しています。
微妙に異なるシチュエーションでも使われることもある「ご覧ください」と「ご一読ください」。
「ご一読ください」の使い方
- 次回ミーティングの資料を添付しております。事前にあらかじめご一読ください。
- プレゼン案を作成いたしました。お手数ですがご一読ください。問題なければ進めさせていただきます。
- 提案資料をお送りしました。どうかご一読くださいますようお願い申し上げます。
ご覧くださいの類語⑤ ご高覧ください
「ご高覧ください」も「ご覧ください」の類語の一つです。日常会話で使われることは少ない言い回しですが、ビジネスシーンではしばしば使われる表現です。
「高覧」とは、「見ること」を敬う言い回し。目上の人に対する敬意を表す「高」と、広く見渡すことを意味する「覧」から成り立っています。
目上の人や上司など、相手の人となりや立場によっては「ご覧ください」を使うと失礼と感じる場合もあり、より丁寧な「ご高覧ください」を使う方が適している場合も考えられます。
「ご高覧ください」の使い方
- 本日の会議議事録を添付いたしました。よろしければご高覧ください。
- 提案資料をお送りしました。是非ご高覧くださいますようお願い申し上げます。
- これから弊社の新製品をご紹介します。みなさまご高覧くださいませ。
「ご覧ください」の英語表現
- Please see~(~をご覧ください)
- Please observe~(~をご覧ください)
- Please have a look~(~をご覧ください)
- Please look at~(~をご覧ください)
- Please leisurely watch~(~をゆっくりご覧ください)
- take a quick look at~(~を(ざっと)ご覧ください)
「ご覧ください」の英語表現には、さまざまな言い回しがあります。
何を見るのかやどんなシチュエーションで使うのかによって、適した英語表現が異なります。例えば「see」は「目に入ってくるものをとらえる」、「look」には注意して目を向けるの意味が。
さらに「watch」は「目を凝らしてみる」場合によく使われる英語表現です。
比較的よく使われる英語表現は「look」を使ったものですが、シチュエーションや何を見るのかを判断したうえで、どの英語表現を使うのかを選ぶといいでしょう。
使う頻度の高い「ご覧ください」は、しっかり使い方をマスターしましょう!
この記事では、「ご覧ください」の意味や成り立ち、正しい使い方や例文、類語や英語表現をご紹介してきました。
他の言葉と組み合わせて使うことも多いですが、二重敬語にならないよう気を付けて使うのがポイントです。
「ませ」などの言葉を加えたり、丁寧な言葉に言い換えたりするのが適している場合も。
使うのに適したシチュエーションや相手なのかどうかを考えながら、スマートに敬語の使い方をマスターしていきましょう。
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