"承知しました"の意味/使い方。"かしこまりました"との違いは?|ビジネス敬語ガイド
「承知しました」の意味とは?
「承知」とは、知っていること、わかっていることの意味で、「承知しました」は「わかった」の改まった表現になります。
「承知」は、"相手の言うことをわかった"という意味が転じて、"相手の依頼や要求を聞き入れる"という意味も持つようになりました。
使い方としては、顧客からの依頼を受けたり、こうして欲しいとの求めを受けて、それに応じる意思を伝えるときに使います。
口語のほか、文書やメールなどの書き言葉でも使えるビジネス用のかしこまった表現です。
接客業やサービス業など、人から依頼を受けることの多い職種の方は使う機会が多いかもしれません。
「承知しました」は、目上の人に使って良い敬語表現なのか?
ビジネス用語の「承知しました」は「しました」がついていることから、敬語のなかでも丁寧語の印象を持つ人がいるかもしれません。
しかし、謙譲語の「承知する」に由来する語になり、自社の顧客や社内の上司など、目上の人に使っても全く問題ありません。
仕事上の依頼を受けたり、上司から業務上の指示があったら、理解したとの意思を「承知しました」と答えましょう。
同僚や部下と仕事のやりとりをする際に、「わかった」や「OK」という意味で使いたい場合は「了解しました」の語を使用します。
「承知しました」の例文一覧
- A:急用ができましたので、明後日は不在となります。恐れ入りますが、明日中に持ってきていただけないでしょうか。
- B:承知しました。明日の夕方5時までにお持ちします。
- A:明日の営業会議は都合により、16時から15時開始に変更になりました。時間が早まりましたので、遅れぬようご出席ください。
- B:明日の会議時間の変更の件、承知しました。
- A:それでは御社に発注内定とさせていただき、発注書については来週水曜までにお送りします。
- B:来週水曜日までの発注書送信の件、確かに承知しました。
- A:メールにてお送りした設計変更についてはご覧いただけましたか。
- B:設計変更の詳細の件、承知しました。
「承知しました」は、ビジネス上で顧客の依頼や上司の指示に応じるときに使うほか、相手が述べたことを「わかった」、「理解した」という意味でも使います。
最初の例文は顧客の要望に応じる例で、「承知しました」と受けた後にどう対応するかもあわせて答えた例文です。
2文目は社内連絡のやりとりで、内容を簡単に復唱し「承知しました」と了承しています。
3文目は顧客との取引に関わる内容のため、「確かに」をつけて強調している例文です。
最後の使い方は業務連絡のやりとりになり、内容を「理解した」と答える際にも「了承しました」が使えます。
【「例文」で使われている敬語】
・「恐れ入りますが」の正しい使い方|意味から類語まで徹底解説
「承知しました」と「承知いたしました」との違い
「承知しました」の類語として「承知いたしました」があります。
「承知する」はもともと敬語に属する謙譲語ですが、「する」の語感から一般的な語と受け取ってしまい、「する」を謙譲語の「いたす」に換えて「承知いたしました」とする使い方が出てきました。
現在、「承知いたしました」は一般的な用法としてみなされ、「承知しました」の敬語として扱われています。
このような経緯から目上の人に使うのがよしとされていますが、なかには二重敬語として違和感を持つ人もいるので、ビジネスでの「承知いたしました」の使用には注意した方がよいでしょう。
「承知いたしました」を使った例文
- A:(顧客が依頼内容を述べる)
- B:ご依頼の件、承知いたしました。
- A:せっかくお越しいただきましたが、担当が不在ですので後日またいらしてください。
- B:承知いたしました。本日はお忙しいところ誠に失礼いたしました。
【「例文」で使われている敬語】
・「ご依頼」の意味&使い方|言い換えできる類語まで解説します
・「いらしてください」の正しい使い方|目上の人に使える丁寧な例文まで解説
・「お越しいただき」を使った丁寧な例文とは?正しい使い方を分かりやすく解説!
「承知しました」と「かしこまりました」との違い
"承知しました"は、「わかった」や「相手の依頼や要求を聞き入れる」という意味ですが、「かしこまりました」は目上の人の「言葉をつつしんで承る」、「依頼や指示を承諾する」意味の謙譲語です。
「かしこまりました」はサービス業でよく使われる言葉で、定型業務に属する顧客の依頼に対して応えるための使い方が主に見られます。
「かしこまりました」は、どちらかというと会社間のビジネス会話としてよりコンシューマー向けの語です。
そのため、「承知しました」を「かしこまりました」よりも改まった表現と受け取る人が多くなりつつあります。
「かしこまりました」を使った例文
- A:明日の7時にディナーの予約をしたいのですが。
- B:かしこまりました。
- A:営業部の佐藤様はいらっしゃいますか。
- B:営業部の佐藤でございますね。かしこまりました。少々お待ちくださいませ。
【参考記事】「かしこまりました」の意味から使い方まで解説▽
「承知しました」と「了解しました」との違い
「了解しました」は、少し前までは「了承する」の非常に丁寧な使い方として「承知しました」と同様に使われていました。
しかし、親しい間柄で頼まれごとをOKしたり、言われた内容を理解した、わかったと感じたときに、口語で「了解!」と言うことがあるため、最近では「承知しました」より軽い丁寧語としてとらえる人もいるようです。
現在では、「承知しました」は目上の人に対する丁寧なビジネス語として、「了解しました」は同僚や目下の者に使うのがよいと区分けする傾向が見られます。
「了解しました」を使った例文
- A:課長、明日のミーティングは10時から11時に変更になりましたので出席をお願いします。
- B:了解しました。
- A:例の件ですが、一部進捗遅れがありますがおおむね順調です。
- B:了解しました。そのまま進めてください。
【「了解」の参考記事一覧】
・「了解しました」の正しい使い方。例文&類語まで徹底解説
「承知しました」と「承りました」との違い
「承りました」は「承る」の丁寧語です。「承る」は上位者からの命令を「受け賜る」から来ており、「聞いた」「理解した」の謙譲表現になります。
「承知しました」をより丁寧にした言葉なので、顧客や上司など目上の人に使いましょう。また、「承知しました」と違い、「~と伝え聞いた」との意味も持ちます。
口語でもメールの文章でも使えますが、日常会話としては使われない純粋なビジネス用語の敬語なので、話し言葉としては言いにくいと感じるかもしれません。
無理に使用せずに、別の類語や敬語に置き換えて表現してもよいでしょう。
「承りました」を使った例文
- A:先日発注書をお送りしましたが、ご覧になりましたか。
- B:ご注文の件、承りました。後ほど御見積書をお送りさせていただきます。
- A:営業部長に一度ご挨拶にお伺いしたいのですが…。
- B:営業部員から営業部長は病気で療養していると承りました。ご伝言がありましたらお伝えします。
【「例文」で使われている敬語】
・「承る」の意味/使い方|"聞く""受ける"を伝えられる例文まで解説
その他の「承知しました」の類語一覧
「了解しました」や「かしこまりました」は、知っていてもその他の類語は知らない人も多いはず。ここから、承知しましたの類語として扱われる敬語表現を3つご紹介します。
- 了承しました
- 承諾しました
- 拝承しました
承知しましたの類語① 了承しました
「承知しました」は、「OK」や「わかった」、「依頼を引き受ける」ことをいう謙譲語ですが、「承知しました」は、「事情をくんで受け入れる」の意味の語です。
他の類語に見られるような謙譲語ではなく、丁寧語に属する敬語となります。そのため、使い方として目上の人が部下へ主に使用するビジネス用語です。
また、「承知しました」は依頼や命令の実行を約束することを内包しますが、「了承しました」は相手のいう状況を受容する意味の語になります。
「了承しました」を使った例文
- A:当社ではこのようにご提案しておりました。
B:おおむね了承しましたが、~については検討させていただきます。
A:部長、先だっての件についてはこのようになっております。
B:了承しました。引き続き業務にあたってください。
【「了承」の参考記事一覧】
・「了承」の正しい使い方ガイド。例文付きで分かりやすく解説します
・「了承しました」は、目上には使えない?正しい使い方をレクチャー!
・「ご了承」の例文一覧。類語"ご理解"との違いまで詳しく解説!
承知しましたの類語② 承諾しました
「承知しました」の類語の「承諾しました」の「承諾」は、「相手の意見や希望、要望を聞いて受け入れること」の意になります。
「承諾」は契約関係の用語として使われる強い意味を持つ語でもあり、軽々しく使わない方がよいでしょう。
契約に関わる語でもあり、使い方としては取引先のやりとりで使われることが多いです。
そのほか、法律関連の「許可」の意味合いも持っているため、社内の許可関係の説明にも使えます。例文には社内外のケースを取り扱っています。
「承諾しました」を使った例文
- A:それでは、1年間のメンテナンスのオプションをつけるということではいかがでしょうか。
B:承諾しました。次回、正式な契約書をお持ちください。
A:やっとクロージングできたようだね。
B:オプションについて難色を示しましたが、部長はしぶしぶ承諾しました。
承知しましたの類語③ 拝承しました
「承知しました」の類語の「拝承しました」は、「聞く」の謙譲語で「拝」の字がある通り、目上の人に使うのが適切になります。
しかし、一般的に用いられている例がほとんど見られず、ある企業グループの内部連絡によく使われる語のようです。
ほかにも、「拝承しました」には、「慎んで承ること」の語意があり、「承知しました」と同様に依頼や命令を引き受ける意味もあります。
「拝承しました」の例文をあげますが、日本語の多様性の1つとしてとらえるとよいでしょう。
「拝承しました」を使った例文
- A:いかがか。
B:東京を弔うの文を作れと言う仰せは正に拝承しました。
A:〇年〇月〇日をもって本社の営業部長に任ずる。
B:拝承しました。重責に身の引き締まる思いです。今後とも会社の発展のために尽くす所存です。
「承知しました」の英語表現
- All right.(わかった。/承知しました。)
- Certainly.(承知しました。)
- I understand.(承知しました。)
- All right. I'll accept your offer.(よろしい。お申し出は承知しました。)
- We have approved your request.(ご依頼を承りました。)
- I acknowledged the meeting on Monday 7 May.(5/7のミーティングの開催、承知しました。)
上記は、「承知しました」だけでなく、その類語も含めた英語表現の例文です。英語には敬語がないので、場面に応じて使い分ける使い方になります。
場面によっては、「OK」や「わかった」のようなカジュアルさがあってもビジネス向けとしても使える汎用的な語から、フォーマルな表現まで紹介しています。
おおむね下に行くに従い丁寧な言い方になるものと理解してください。
「承知しました」は、ビジネス敬語の基本。
今回はビジネスで使用される敬語表現の謙譲語、「承知しました」や類語について、使い方や具体的な例文、相応する英語まで紹介しました。「承知しました」と同様に使われる「了解しました」については、口語の「OK」や「わかった」と同義の「了解!」というカジュアルな言葉があるせいか、目上の人に使うのは控えるようにとの解釈が最近出てきています。他の類語でも、特定企業内でしか使われない言葉もあるので注意しましょう。
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