"ご確認ください"は目上に使える?例文&言い換え類語【ビジネス敬語ガイド】
「ご確認ください」は、正しい敬語表現なのか?
「ご確認ください」は、「確認」に尊敬語の「ご~ください」をつけた敬語で、文法的に正しい敬語になります。
詳しく説明するなら、「確認」に丁寧語の「ご」をつけ、目下の者に何かを及ぼす行為を依頼する「くださる」を使っているため、敬語としてふさわしい用法です。
「ご確認ください」は打ち合わせや契約など、ビジネスで確認が必要な場面において、会話やメール等の文書でよく使われています。
「ご確認ください」は尊敬語のため、顧客や上司などの目上の人に対して確認や承認を求めるときに使いましょう。確認作業はビジネスでよく発生する手順のため、類語も各種存在します。
「ご確認してください」は使っちゃいけないNG文
人に何かを頼むときに「~してください」といいますが、それに引きずられて、丁寧語の「ご」をつけて「ご確認してください」というのは間違いです。
「ご~してください」という敬語の用法はなく、「ご~ください」というのが正しい敬語になります。「~する」という動詞、例えば「利用する」という動詞も「ご利用ください」が正しく、「ご利用してください」は誤りです。
ビジネス用語の誤りは、慣れない新社会人が無意識に起こしやすい誤りで、子どもっぽく感じられることがあります。アルバイトや社会人経験の少ない方は気をつけましょう。
「ご確認ください」の使い方・例文とは
- 次の会議の議題について変更がありました。取り急ぎご確認ください。
- 詳細についてはメールの添付ファイルにてご確認ください。
- お客様各位 緊急避難経路については配布の小冊子で各自ご確認ください。
- 誤った手順による操作により、故障が発生する場合がありますので、手順については今一度ご確認ください。
- 報告書を提出しますので、ご確認ください。
- お配りした資料の21ページに詳細を載せておりますので、どうぞご確認ください。
「ご確認ください」は、上司など目上の人に対して個別に確認を依頼するほか、不特定多数の人々に対して確認してもらうようお願いするときにも使います。
この場合、社内の部下など目下の者が含まれていても、「ご確認ください」と使ってかまいません。「ご確認ください」は平易で誰にでもわかりやすい便利な語で、直接口頭で伝えたり、メール等の文書でも使えます。
「ご確認ください」は、目上には失礼な表現?
「ご確認ください」は尊敬語なので、上司など目上の人に対して使っても全く問題のない語です。
しかし、社会に出た経験がない人や、ビジネス経験の浅い若年者のなかには、丁寧語の「~してください」の印象を強く受ける人がいます。学校の集会やホームルーム等で「ご確認ください」と言われていた経験から、実質的に「確認しておきなさい」という命令の意味にとらえる人もいたでしょう。
そのため、社会経験の少ない人には「ご確認ください」が失礼な言い方だと感じられることもあります。特にサービス業では多様な顧客に応対する必要があり、個別に直接伝える場合は、別の敬語表現に置き換えるのも得策です。
目上にも使える「ご確認ください」の言い換え表現
「ご確認ください」は目上の人に使うのは、強制している印象を与えてしまうため、やや失礼に当たります。
ここからは、上司や取引先など目上の人に対して「ご確認ください」と伝えられる言い換え敬語を解説。
- ご確認くださいませ
- ご確認くださいますよう、〜お願い申し上げます
- ご確認のほど、〜お願いいたします
- ご確認なさってください
各言い換え表現の使い方、例文まで確認していきましょう。
言い換え敬語① ご確認くださいませ
「ご確認くださいませ」は、「ご確認ください」をもっと丁寧にした表現です。
「ませ」は「ください」などの尊敬語につけて、相手に何らかの行為を丁寧に要求するときに使用します。
「ませ」は敬語の一種の丁寧語にあたり、敬意を相手に表すかしこまった使い方です。しかし、「ませ」は一般的によく使われる助動詞の「ます」の活用形になるため、簡素な印象を持つ人もおり、ビジネスの場ではもっと改まった語を好ましいとする人もいます。
「ご確認くださいませ」の例文
- 詳細につきましては、お手元の資料にまとめておりますので、お手すきの際にご確認くださいませ。
- ご不明点がございましたら、何なりと私どもにご確認くださいませ。
- ご来店前には、電話にて在庫の有無を事前にご確認くださいませ。
- 商品が届きましたら、セット品の欠けがないかご確認くださいませ。
「ご確認くださいませ」は、語感から女性的な柔らかい印象を与えられますが、女性だけでなく男性が使っても問題ありません。
語感の柔らかさからサービス業など多くの顧客に対応する業務で使われる傾向が高く、顧客の確認後のサポートやフォローといった気づかいを伝えるのに最適な語といえるでしょう。もちろん、サービス業だけでなくビジネス一般で使えます。
【「例文」で使われている敬語】
・「お手すきの際に」の使い方のマナーって?例文付きで解説します!
言い換え敬語② ご確認くださいますよう、〜お願い申し上げます
「ご確認くださいますよう、〜お願い申し上げます」は「ご確認ください」を最上級に丁寧にした表現です。
「ご確認ください」に、さらに「お願い」「申し上げる」と丁寧な言葉をたたみかけています。しかし、場合によっては少し失礼だと感じる人もいるようです。
通常の確認をお願いするときに使うこともありますが、イレギュラー対応で特別にお願いするときに使うこともあるため、多用するのはあまりおすすめしません。メールや文書などの締めに使われることも多いです。
「ご確認くださいますよう、〜お願い申し上げます」の例文
- ご確認くださいますよう、お願い申し上げます。
- ご確認くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
- お手数おかけしますが、ご確認くださいますよう、何卒お願い申し上げます。
- 先日お伝えした件、再度ご確認くださいますよう、重ねてお願い申し上げます。
これらの例文は会話で直接相手に使うより、メールなどの文書で使われる場合が多く、相手に念を押すために締めの文面として用いられることもあります。
「お願い申し上げる」という通り、非常に丁寧に、確認の履行を相手に求める言い方です。こういった文面を使うのは、非常に改まった場面が多いということを覚えておくといいでしょう。
【「例文」で使われている敬語】
・「お願い申し上げます」を使った丁寧な例文とは?使い方から類語までご紹介!
・「お手数おかけしますが」の意味/使い方を分かりやすく解説します
言い換え敬語③ ご確認のほど、〜お願いいたします
「ご確認のほど、〜お願いいたします」は「ご確認ください」を丁寧にした表現で、洗練されたフレーズといえます。ここで使われている「ほど」は、断定を避け柔らかい印象にする役割を持った語です。
相手に確認を履行するよう要求しながらも、「ご確認ください」のように単刀直入に伝えるのではなく、「ほど」や「~お願いいたします」のようなクッション言葉をつけています。
そのため、耳障りがよく、幅広いシチュエーションで使える便利なフレーズです。メールなどの比較的短い文章で締めの言葉として使われることがあります。
「ご確認のほど、〜お願いいたします」の例文
- ご確認のほど、お願いいたします。
- 詳細については、メールにてお送りしています文書をご確認のほど、よろしくお願いいたします。
- お忙しいところ大変恐縮ですが、ご確認のほど、何卒お願いいたします。
- 先日の件につき、再度ご確認のほど、重ねてお願いいたします。
「ご確認のほど、〜お願いいたします」は上司など目上の人に、相手の確認を求める依頼文として最上級に丁寧な表現です。
改まった場で口頭で述べたり、メール等の文章としても使えます。相手に念を押すために、メール等の文書の最後の締めに使って印象づけるのもいいでしょう。
「お願いいたします」の前に置く語はたいてい決まっているので、例文を参考にしてください。
【「例文」で使われている敬語】
・「よろしくお願いいたします」の正しい使い方を例文付きで分かりやすく徹底解説!
・「恐縮ですが」の使い方|言い換えできる類語まで詳しく解説します
言い換え敬語④ ご確認なさってください
「確認してください」の尊敬語が「ご確認なさってください」です。
「~なさる」は相手の行為について敬意を表す敬語で、「~ください」という命令形で使われることはそれほど多くはありません。類語の「ご確認ください」の言い換えとして使い勝手はあまりよくないため、「ご確認のほど、〜お願いいたします」や別の表現を使ったほうがよいでしょう。
「~してください」の言い方によっては、ぶっきらぼうな印象を与えることもあるので、使う際は話し方にも気をつけましょう。
「ご確認なさってください」の例文
- ~については、添付データをご確認なさってください。
- 差し上げた商品サンプルは包装されておりますが、後で自由にご確認なさってください。
- 奥には地元の作家による素敵な作品もありますが、ご自身でご確認なさってください。
- 必要なアメニティは用意されていますので、お部屋についたらご確認なさってください。
「ご確認なさってください」は敬語表現といえど、「~ください」と相手に直接要求する表現のため、どうしても強い印象を持たれがちです。
使い方の例文として、確認するかどうかを相手の裁量にゆだねるかたちにしたり、話者がいる場では確認しにくいものを相手に確認してもらいたい場面を想定しました。会話だけなく文章語としても使える語ですが、いずれにせよ、相手に配慮しつつ使うのが適切です。
「ご確認ください」と言い換えできる類語とは?
「ご確認ください」の類語には、よりビジネスに適した表現も多数存在します。
ここからは、「ご確認ください」と言い換えできる類語を5つピックアップ。
- ご査収ください
- ご参照ください
- ご検収ください
- ご一読ください
- ご高覧ください
類語の使い方、意味まで把握してビジネス敬語のレベルを高めていきましょう。
ご確認くださいの類語① ご査収ください
「ご査収(ごさしゅう)ください」の「査収」とは、金品や書類など確認の必要な物をよく調べて受け取ることを意味する敬語になります。
「ご確認ください」は特に範囲を定めず、「見る」「確認する」という意味なのに対し、「ご査収ください」がよく使われるのは契約関係や代金支払い、物品などのやり取りなど、ビジネス上誤りが許されない場面においてです。
一般的な書類ではなく、契約書や見積書、納品書、請求書、領収書など、日時や明細、金額等の内容をしっかりチェックして間違いがないか確認してほしいときに使いましょう。
「ご査収ください」の例文
- 今月分のご請求書をお送りしますので、ご査収くださいますようお願いいたします。
- 先日お支払いいただきました商品代金の領収書を添付しましたのでご査収くださいませ。
- 先だってお問い合わせいただきました件につき、お見積書をお送りしますのでご査収ください。
【「例文」で使われている敬語】
・「ご査収」の使い方ガイド。例文から類語まで分かりやすく解説します
・「ご査収ください」は目上には使えない?より丁寧な言い換えまで解説!
・「ご査収くださいませ」の意味とは?使い方から類語まで詳しく説明します
ご確認くださいの類語② ご参照ください
「ご参照ください」は会議やミーティング、プレゼンなどで、理解の助けになる詳細事項やデータ、図表などを見るよう依頼するときに使います。
口頭では説明しにくかったり、時間の関係上全て説明できないとき、資料や添付ファイル、スライドなどの各種資料を別途用意し、参照してほしい箇所を伝えて「ご参照ください」とするのが正しいです。
「ご参照ください」の代わりに「ご確認ください」としてもよいのですが、参照の場合は必要性や興味があれば確認してほしいという意味が出てきます。
「ご参照ください」の例文
- ただいまご説明した内容のデータ詳細につきましては、資料の〇ページをご参照くださいますようお願いいたします。
- 先日の報告会の内容をまとめましたので、こちらのスライドをご参照くださいませ。
- 詳細な場所については資料にある地図をご参照ください。
ご確認くださいの類語③ ご検収ください
「検収」とは納入品が発注した通りの数量や品質かどうか、点検して受け取ることを意味した言葉になります。
「検収」に敬語表現の「ご~ください」をつけて丁寧な表現にしたのが「ご検収ください」という語です。
「ご確認ください」は一般的な事物を見て確認するようお願いするときに使うのに対し、「ご検収ください」は取引する製品や商品に間違いがないか、しかと確認してもらうよう依頼するときに使います。
なお、「検収」は物品以外のほか、データやソフトウェアなどの無機物にも使えることに留意しましょう。
「ご検収ください」の例文
- ご注文の商品をお届けいたしましたので、ご検収くださいませ。
- 本日〇時に製品を御社に納品いたしますので、ご検収くださいますようお願いいたします。
- 発注いただいた製品ですが、本日をもって全て納品しております。どうぞご検収ください。
【「例文」で使われている敬語】
・「弊社」と「当社」の使い分け方とは?シーン別に使う表現を解説します
ご確認くださいの類語④ ご一読ください
「一読」とは、「ひと通り読むこと」「一度読むこと」「ざっと目を通すこと」です。
「一読」といっても意味に濃淡があり、ひと通り読んでちゃんと内容を頭に入れる意味から、ちらっと内容の存在を確認することまで含みます。
「ご確認ください」のほうが物事をきちんと把握する意味合いが強く、「ご一読ください」は「確認」の意味としては軽めの印象で、相手がその分野や内容に知見があったり、自社製品のキャンペーン資料などを配布する際など、「参考までに確認を」といった意味合いもあります。
「ご一読ください」の例文
- 今月の定例会は来週の予定ですが、ご出席の前に添付資料を必ずご一読ください。
- 弊社商品に関する小冊子を差し上げておりますので、よろしければご一読くださいませ。
- お忙しいところ恐縮ですが、ご一読くださいますようお願いいたします。
ご確認くださいの類語⑤ ご高覧ください
「ご高覧ください」は、「ご覧ください」という語に相手への敬意を表す「高」をつけ、さらに丁寧な言い方にした敬語です。
「ご高覧ください」は文書で使われることがほとんどで、会話では「ご覧ください」がよく使われます。
「ご確認ください」は、目で見るだけではなく五感で確認する意味も内包しているのに対し、「ご高覧ください」は「目で見る」意味が強いうえ、「確認」までは必ずしも含まないことがあるのに注意しましょう。
「ご高覧ください」の例文
- メール添付にて資料をお送りしましたのでご高覧ください。
- 当社にて展示会を開催しております。ぜひご高覧くださいませ。
- お問い合わせいただきました弊社製品のカタログをお送りしますので、ご高覧くださいますようお願いいたします。
「ご確認ください」の英語表現
- Please see~(~を[見て]確認してください)
- Please read~(~を「読んで」確認してください)
- Please take a look at~(~をご一読ください)
- Please check~(~を確認してください)
- Please make sure (that)~(~をご確認ください)
- Please confirm.(ご確認ください。)
確認は五感を使って行うことから、”see”や”read”といった平易な語を使うことも多いです。「確認する」にあたる英単語の前に”please”をつけて丁寧な表現にし、「ご確認ください」の語感に近づけましょう。
おおむね、上から下の例文に行くにしたがって改まった表現になっていき、メールなどの文章や上司などの目上の人に対して使うこともできます。
「ご確認ください」の上手な返信方法
- 確認いたしました
- 拝見しました
- 拝読しました
- 拝受しました
- 受領いたしました
「ご確認ください」と言われて、確認を終えたことを相手に伝える際に使う代表的な決まり文句は上にあげた5つの言葉です。
一番上の「確認いたしました」以外は口頭で使う機会はほぼありません。ほとんどはメールや文書などで相手に返信する際に使います。返信の際はこの決まり文句をそのまま書くのではなく、確認した内容によって使い分けするようにしましょう。
文書等を読んで確認した場合は「拝読しました」、事物を見て確認した場合は「拝見しました」、物品を点検して確認した場合は「拝受しました」や「受領いたしました」と返信します。
【「返信」に使える敬語一覧】
・「拝受」の正しい使い方とは?取引先にそのまま遅れる例文付き
「ご確認ください」は、正しく丁寧に使おう!
「ご確認ください」は確認対象を定めず使える語で、見る以外にも五感を使って確かめる意味を内包します。
ほかの類語のように確認対象を限定したり、確認の度合いの軽重を定めていません。「ご確認ください」にはさらに改まった類語表現があり、相手への念押しや強調の意味でメールや文書などの締めとして使える語もあります。
【参考記事】「ご査収の程」の使い方を例文付きで解説します▽
【参考記事】「恐れ入りますが」の意味とは?言い換えできる類語まで徹底解説▽
【参考記事】「ご厚情」の使い方を詳しく解説します▽
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