"拝見する"の意味/使い方とは?類語&目上への例文集|ビジネス敬語ガイド
「拝見する」の意味とは?
「拝見する」とは、「見る」や「会う」をへりくだって表現する意味のある言葉です。
「拝」とは手を合わせてお辞儀などで敬意を表すという意味であり、「拝見」とは敬意を払って何かを見ることを表します。
また、「拝見する」は謙譲語なので目上の人やクライアント、神仏などをみる行為を丁寧に表現できます。ビジネスシーンでもよく使われますが、無意識に二重敬語で誤用もされやすい言葉でもあるため、使い方には注意したいところです。
そこで今回は「拝見する」の正しい使い方から英語表現まで詳しく解説していきます。
ビジネス敬語「拝見する」の正しい使い方
ビジネスシーンではクライアントや顧客から預かったものに対して「拝見いたします」と断りを入れてから、そのものを見るといった使い方をします。「拝見する」という言葉はものに限らず人にあった場合についても使えます。
例えば目上の人に会った時に「お顔を拝見しました」「お姿を拝見しました」という言い方ができます。
いずれの場合も謙譲表現として自分が相手に対してへりくだって用いられるので、同僚や目下の相手に使う言葉ではありません。
一方、「(自分が誰かから)拝見される」といった表現にはならないため、くれぐれも注意しましょう。
ビジネスシーンで「拝見する」を意味する丁寧な例文
- もしよろしければ、わたくしどもで詳しく仕様を拝見することは可能でしょうか。
- いつもお世話になっております。メールの件、拝見しました。
- 先生の作品展を楽しみにしておりました。早速拝見します。
- ただいま外出しております。会社に戻り次第拝見いたします。
- 会場でお姿を拝見しました。お忙しいところお出かけいただきありがとうございました。
- 貴社の求人情報を拝見し、興味をもったためご連絡させていただきました。
- ○○様のことはテレビや書籍などで拝見していました。
「拝見する」は自分が誰かに会ったり、物を見たりするという行為に対して使える表現です。
「よろしければ~を拝見するのは可能でしょうか」は、クライアントなどから情報提供を受けるためによく使われる便利な表現です。
また、「拝見する」の類語のひとつに「見せていただく」という表現があります。
誤用ではありませんが、人によっては少し上から目線のようにも感じられることもあります。
そこで、特に上下関係に注意したい場合は、例文のように「貴社の求人情報を拝見し」といった使い方をするのがおすすめです。
【「例文」で使われている敬語】
・「お忙しいところ」の正しい使い方|電話やメールに使える例文まで解説!
「拝見させていただく」は二重敬語だから目上に使えない?
「させていただく」は正しい言葉です。しかし、「拝見する」自体が謙譲語のため、「させていただく」と結びついて「拝見させていただく」という使い方をすると二重敬語になっているため誤用です。
とはいえ、ビジネスなどで「拝見させていただくようお願いします。」「拝見させていただきます。」という表現が使われること多く完全な間違いとは言い切れません。
二重敬語であっても使える表現と言えますが、丁寧すぎる印象を与えるため多用しすぎるのは禁物です。
「拝見いたします」は二重敬語でも基本的に使える敬語。
「拝見させていただく」と同様に、「拝見いたします」も「いたす」が「する」の謙譲語のため二重敬語になっています。
しかし、文法的に解釈すると間違いではあるものの、近年では「拝見いたします」と使われる機会が増えてきています。そのため、普段の会話などでは使っても問題ないでしょう。
本来は「拝見する」が正しい敬語であるものの、言葉がシンプルすぎるため、「拝見する」よりも「拝見いたします」の方が丁寧な表現だと最近では言われることもあります。
【参考記事】「拝見いたしました」についてより詳しく解説します▽
「拝見する」と言い換えできる類語一覧
拝見するの類語① お目にかかる
拝見するは自分が「見る」「会う」という状況を謙譲語で表現したい場合に使う言葉です。一方、「お目にかかる」も「会う」の謙譲語表現です。
ただし「拝見する」が人にも物にも使われるのに対して、「お目にかかる」は、例文のように人間に会う場合にしか使いません。
また、「拝見する」は「○○さんを拝見する」という「を」を助詞にするものの「お目にかかる」の場合は「○○さんをお目にかかる」とは言わず「○○さんにお目にかかる」と助詞には「に」を使います。
「お目にかかる」の使い方
- 今回お目にかかる時間が頂戴できたので、心から楽しみにしておりました。
- もし今後お目にかかる機会がありましたら、その節はどうぞよろしくお願いいたします。
- 初めてお目にかかるので、少し緊張しています。
拝見するの類語② ご覧になる
「拝見する」の類語には「ご覧になる」もあります。この言葉は目上の人が何かを「ご覧になる」と言った形で使われます。
「拝見する」は自分が何かを見るという自分の行為をへりくだって表現できますが、「ご覧になる」は「見る」の尊敬語表現です。
そのため「ご覧になる」は自分ではなく相手がする行為をさしているという点に注意しましょう。
ビジネスでもよく使われる言葉で、顧客やクライアント目上の人などに対して使うのにも最適な表現です。
「ご覧になる」の使い方
- 英語版の資料はこちらですので、ご覧になる方はどうぞお知らせください。
- 先日開催された新商品関連の展示会はご覧になりましたか?
- クライアントが工場をご覧になる予定なので、説明員を決めておいてください。
拝見するの類語③ お見かけする
「拝見する」の類語の一つに「お見かけする」があります。これは見かけるという言葉の尊敬語表現です。
単に見たということを伝えるための表現なので、ビジネスシーンでも目上の人に対しても使用できます。
「お見かけする」は尊敬語なので、相手の好意として「○○さんが自分のことをお見かけする」と使いたくなるかもしれませんが、これは誤りです。
例文にもあるとおり、この言葉の場合「見る」のはあくまでも自分であり、「見られる」のが相手であるという点に注意しましょう。
「お見かけする」の使い方
- お見かけする限りお加減が良くなさそうでしたので、ひそかに心配しておりました。
- 先日の祝賀会場にて、先生をお見かけすることがありました。
- 通勤途中でよくお見かけするので、この近くにお住まいになっているだろうと思っていました。
拝見するの類語④ 観覧する
「観」は観賞や観劇など何かを眺め見ることであり、「覧」には高い所から見渡すという意味があります。
そこで「拝見する」の類語である「観覧する」は、主にスポーツや公演、展示会など誰かに見せる目的で準備されているものを見るという意味になります。
「観覧」という言葉自体は敬語ではないので、「観覧する」の主語は例文のように自分の場合でも相手の場合でも両方使えます。また目上の人が何々を観覧するという言い方もできます。
「観覧する」の使い方
- 今日はここでサッカーの試合を観覧する予定なので、とても楽しみにしています。
- 社長は本日○○様が出演されるお芝居を観覧する予定だと聞いております。
- 美術館で作品を観覧する場合には、作品にお手を触れないようご注意ください。
拝見するの類語⑤ 確認する
「拝見する」の類語に「確認する」があります。「確認する」はビジネスでもよく使われる平易な表現で、例文のように自分が主語でも相手が主語でも構いません。
「確認する」はものがあるかどうかや状況がどうなっているか調べる際に使われる便利な言葉です。どんな場合でも使えそうではありますが、人に対しては使いません。
「○○さんが決まった場所に立っているかどうか確認する」といった場合でも、そこに人がいるのかどうかという条件を確認しています。
「確認する」の使い方
- お問い合わせの件、承知しました。確認するのに少々お時間を頂戴いたします。
- この設計方法の確からしさを確認するために、事前検証を行います。
- 上から目線にならないように、例文を参考にしつつ表現をよく確認するようにしてください。
拝見するの類語⑥ 拝読する
「拝見する」の類語には「拝読する」があります。「読む」という言葉が含まれているとおり、「拝読する」は書籍など文字に起こされた文書を見るという使い方をします。ビジネスでも使えますが、使われる場面は文章を読む場合に限定されます。
また、「拝読」という言葉が少し堅苦しい表現なので「拝読させていただきます」と二重敬語にしてしまうと、上から目線のように感じる人がいるかもしれません。
そのため、使用する際は「拝読します」「拝読いたします」といった使い方をすると良いでしょう。
「拝読する」の使い方
- お元気そうなお便りを拝読して、こちらもとても嬉しい気持ちになりました。
- 記事を拝読いたしました。興味深い視点で分析されており、とても感銘を受けました。
- 貴社から頂いた報告資料を拝読したところ、不明点がありましたのでご連絡差し上げました。
相手に見てほしい時に使える敬語一覧
相手に見てくださいと伝える敬語① ご査収ください
「ご査収ください」は、何か自分でまとめたものを相手に提出して内容確認してもらったり意見を伺ったりする場合に使う表現です。
例えば、「先日ご依頼いただいたお見積もりを作成しましたのでご査収ください」と言った使い方ができます。
「見積もりの確認をお願いします」と平易な言い方をすると場合によっては上から目線だと思われることがあります。
「ご査収ください」という表現を知っておくと、相手とのコミュニケーションがより円滑に進められるでしょう。
【参考記事】「ご査収ください」の意味や使い方を詳しく解説します▽
相手に見てくださいと伝える敬語② ご参照ください
「拝見する」の類語として「ご参照ください」もあります。何か準備された別の資料があって、それを参考に見てくださいと言いたい場合にこの表現が使えます。
「詳細については添付資料にまとめております。どうぞご参照くださいますようお願いいたします。」といった使い方ができます。
なお「ご参照ください」で1つのまとまった敬語です。「ご参照いただけますと幸いです。」といった言い方はできますが、「ご参照してください」という表現は誤用なので注意しましょう。
【参考記事】「ご参照ください」の正しい使い方を解説▽
相手に見てくださいと伝える敬語③ ご確認ください
「拝見する」の類語表現として「ご確認ください」という表現もよく使われます。「お手数ですが、改めて文書を送付しておりますのでご確認ください。」という使い方ができます。
また、「ご確認」を使った表現として「ご確認の程よろしくお願いします。」という言い方もできます。
「ご確認」には「ください」と繋がるのが基本であり「ご確認してください」という表現は誤りです。「ご確認くださいますようお願いいたします。」とすると確認依頼とお願いが同時に表現できるので便利です。
【参考記事】「ご確認ください」は目上の人に使える?言い換えできる類語もご紹介!▽
相手に見てくださいと伝える敬語④ ご覧ください
「拝見する」の類語である「ご覧ください」もビジネスでよく使われる表現です。何か見て欲しいものがあるときに「どうぞご覧ください」言う使い方をします。番組や公演などあらかじめ用意したものを見せたいという場合に用いる表現です。
ご覧くださいはこれだけで十分丁寧な敬語表現なのですが最後が「ください」であり上から目線のように感じられることがあるかもしれません。そのような場合は「ご覧くださいませ」とするとより丁寧な印象になります。
相手に見てくださいと伝える敬語⑤ ご高覧ください
「拝見する」の類語である「ご高覧ください」もビジネスで使われる表現です。
高いところから見下ろしてみてもらうというニュアンスが強いので、目上の人をはじめ取引先、顧客など、特に丁寧に見てほしいとお願いする場合に使います。
一方、いつも顔合わせてる上司に対して使うのは少し堅苦しいかもしれません。「何卒ご高覧くださいますようお願い申し上げます。」など、ご高覧を含む文章は全体的に敬語表現でまとめる使い方をすると良いでしょう。
【参考記事】「ご高覧」の使い方|言い換えできる類語から例文まで解説します▽
「拝見する」の英語表現
- Thank you for your announcement.(お知らせを拝見しました。)
- I saw that document.(資料を拝見しました。)
- I have seen your new product.(新製品を拝見いたしました。)
- I read your email. Thank you very much.(メールを拝見しました。ありがとうございました。)
- I had a chance to look at the report.(レポートを拝見いたしました。)
- I viewed the pictures that you sent.(送っていただいた写真を拝見しました。)
英語では「拝見」に丁度当てはまる敬語表現がないため、例文のように「見る」の英語表現がそのまま使われます。
「I have seen」見る機会があったと丁寧に表現できるため、ビジネスシーンではおすすめです。
また、じっくり見たというニュアンスを強調したい場合は、「I had a chance to look at」という表現も便利です。
「拝見する」を使って、丁寧な言葉づかいを心がけましょう。
「拝見する」の敬語表現について紹介しました。よく使われがちな「拝見させていただく」は実は二重敬語であり厳密には正しくない表現です。
また、「拝見する」は自分が見ることに対して使う敬語表現ですが、類語である「ご覧になる」は相手が何かを見るという表現です。
このように主語が自分なのか、相手なのか、対象が人なのかものなのか、という違いがあるため、それぞれの組み合わせに注意をして、正しい言葉遣いを心がけましょう。
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