"ご承知おきください"の意味/使い方。言い換えも解説|ビジネス敬語ガイド
「ご承知おきください」の意味とは?
「ご承知おきください」がどういう意味を持っているのか、また使い方についてわからない人もいるでしょう。
もともと「承知」には、「依頼を聞いて受け入れること」「事情を知ること」、さらには「事情を知って許すこと」などの意味を持っています。
「ご〜ください」の部分は、尊敬を意味している接頭語「ご」と「ください」の丁寧語が組み合わされたもの。「おき」は、「そのままにする」「前もってする」という意味を持っています。
「ご承知おきください」は、「(これから行うことなどについて)ご理解ください・理解して準備しておいてください」などの意味を指しています。
「ご承知おきください」は、正しい日本語なのか?
「ご承知おきください」という言葉が、日本語として正しいのか疑問に思っている人も多いでしょう。
結論から言いますと、日本語としては正しい表現になります。
「ご」もしくは「〜ください」の部分は、ここまで説明した通りそれぞれ敬語としての意味を持っています。
「承知」は、謙譲表現だと言われますが、正しくは「承知いたしました」が謙譲語になるため、「ご承知おきください」は正しい敬語表現だといえるでしょう。
「ご承知おきください」は、どんな使い方をすれば良いのか?
ビジネスシーンなどでもたびたび使われる「ご承知おきください」。具体的にはどういった場面で使うのか、その使い方に疑問に感じている人も多いはず。
基本的には、「相手に事情を理解してほしいもしくは納得してほしいとき」に使用することが多いです。
それだけでなく、相手に通告したときや念を押したいときに活用することも可能。ちなみに「ご承知おきください」は命令の意味も含んでいるので、使い方にもしっかり気をつけておきましょう。
「ご承知おきください」は、例文一覧
- 本日から海外出張のため、1ヶ月不在になることをご承知おきください。
- 当店は改修工事のため本日より3日間閉店いたします。あらかじめご承知おきください。
- 万が一欠席された場合、チケットの払い戻しができないことをご承知おきください。
- 台風により、目的地までの所要時間がいつもよりかかりますことをご承知おきください。
- お手数おかけしますが、何卒ご承知おきくださいますようお願いいたします。
「ご承知おきください」は、海外出張や改修工事などこちらの不都合により相手に事情を理解してもらいたいときに使用します。
それだけでなく、相手に通告したいときは「万が一欠席された場合、チケットの払い戻しができないことをご承知おきください。」などと使用することも可能。
プラスしてビジネスメールなどで「お手数おかけしますが、何卒ご承知おきくださいますようお願いいたします。」と伝えて念を押すときにも便利です。
ぜひ上記の例文を参考にして、相手に事情を理解してもらいたいときに活用してみてくださいね。
【参考記事】「お手数おかけしますが」を使えば、柔らかい印象になる▽
「ご承知おきください」は、目上の人には失礼な敬語表現?
「ご承知おきください」を使用する場合、目上の人にはなるべく使わないことをおすすめします。
「ご〜ください」は「〜してくれ!」をやわらかくしただけの表現になるので、どうしても上から目線の印象を与えてしまい、上司などの目上の人に使用すれば不快に感じてしまうことも。
また、「承知」は、どうしても謙譲のイメージが強い言葉と捉えられがちなため、二重敬語だという人も多いため、使わない方が無難だと言えます。
基本的には使わず、相手が使った時も気にしないのがベターです。
「ご承知おきください」と目上の人に伝える時の言い換え敬語
ここまで解説した通り、「ご承知おきください」は、目上の人に使うのは少し失礼に当たります。
ここからは、目上の人にも使える言い換え敬語を解説。
- お含みおきください
- ご了承くださいますよう、/いただきますよう、
- ご容赦くださいますよう、/いただきますよう、
- ご理解くださいますよう、/いただきますよう、
失礼な敬語にならないよう、ぜひチェックしておいてください。
ご承知おきくださいの言い換え① お含みおきください
まず言い換えの類語としておすすめなのが「お含みおきください」。ここで使用されている「含みおく」には、「念頭におく」もしくは「状況を考慮にいれる」などの意味を持っています。
つまり、「ご承知おきください」と同じように「事情を理解してください」「心に留めておいてください」などのニュアンスを含んでいます。
それだけでなく、「公にできない事情を察してほしい」という意味を同時に持っていることにも注意しておきましょう。
「お含みおきください」の使い方
- 明日より2週間の不在になりますこと、お含みおきください。
- 万が一欠席された場合、チケットの払い戻しができないことをお含みおきください。
- お手数おかけしますが、お含みおきくださいますようお願いいたします。
「お含みおきください」は尊敬語でもある「お」、さらには丁寧語である「ください」で成り立っている言葉でもあるので、上記の例文のようにビジネスはもちろん目上の人にも使えます。
場合によっては、曖昧もしくは失礼なお願いだと相手が受け取ってしまう可能性も。相手になるべく不快感を与えないよう、言い方に注意しておきましょう。
【「例文」で使われている敬語】
・「お含みおきください」の意味とは?使い方から言い換えできる類語を解説
ご承知おきくださいの言い換え② ご了承くださいますよう、/いただきますよう、
相手に「納得してほしい」「受け入れてほしい」と思ったときは、「ご承知くださいますよう」もしくは「ご承知いただきますよう」と言い換えるのもおすすめ。
この敬語は、尊敬語の「ご」と「承諾する」ことを意味している「了承」、さらには丁寧語の「ください」を組み合わせた言葉。
相手に理解して受け入れてほしいときに用いられるかつ、丁寧さもしっかり兼ね備えています。基
本的には、まだ始まっていないことやこれから始めることに対して使いましょう。
「ご了承くださいますよう、/いただきますよう、」の使い方
- お返事にお時間を頂戴することがございます。あらかじめ、ご了承くださいますよう、お願い申し上げます。
- 誠に勝手ながら、本日から休業とさせていただきます。何卒ご了承いただきますよう、よろしくお願いいたします。
- お手数おかけしますが、どうかご了承いただくよう、よろしくお願い申し上げます。
口語はもちろんのことメールもしくはビジネス文書においても頻繁に使用されます。
「ご了承くださいますよう、/いただきますよう、」のあとに「よろしくお願い申し上げます」といった丁寧な言葉を使用することで、上司など目上の人に対して丁寧さを表現できます。
ビジネスなどで相手に納得してもらいたいときは、ぜひ上記の例文を活用してみてくださいね。
【「了承」の参考記事一覧】
・「了承」の使い方ガイド。了承の意味から類語も要チェック!
・「ご了承」の意味とは?"ご了承ください"など定番フレーズの例文まで解説
・「ご了承くださいますよう」を使った丁寧な例文一覧。言い換えできる類語まで解説します
ご承知おきくださいの言い換え③ ご容赦くださいますよう、/いただきますよう、
こちらも「ご承知おきください」の言い換えの類語として挙げられる「ご容赦くださいますよう、/いただきますよう、」。
ここで使用されている「容赦」には、「許すこと」さらには「許容すること」といった意味を持っています。
「ご了承」と似ていますが、「こちらの言い分を理解して受け入れてほしい」という「ご了承」と、「こちらの過失に関してしっかり反省しているので許してほしい」という「ご容赦」では意味が異なるので、使用する場合は注意してくださいね。
「ご容赦くださいますよう、/いただきますよう、」の使い方
- 突然の連絡で申し訳ありませんが、どうかご容赦いただきますよう、お願い申し上げます。
- 当日は混雑が予想されるので、お車でのご来場はどうかご容赦くださいますよう、よろしく願いいたします。
- ご理解の上ご容赦いただきますよう、どうぞお願い申し上げます。
この例文を使用するときに注意しておきたいのが、相手に対して理解を求めると同時に謝罪のニュアンスも含んでいるということ。
「こちらの過失に対して大目に見てほしい」というお願いを込めたいときは、非常に役立ってくれますよ。
この類語についても、最後に「よろしくお願い申し上げます」などと例文のように付け加えることで、より丁寧な表現として伝えられます。
【「例文」で使われている敬語】
・「ご容赦ください」の意味とは?例文から英語表現まで徹底解説します
ご承知おきくださいの言い換え④ ご理解くださいますよう、/いただきますよう、
こちらも「ご承知おきください」の言い換えの類語として挙げられる「ご理解くださいますよう、/いただきますよう、」。
「ご理解」には、相手に対してこちら側の事情を汲み取ってほしいときに利用できる言葉です。
上記の類語「ご了承」とは異なり、「ご理解」はすでに始まっていることに対して許してもらうときに使用するようにしましょう。
お願いごとをするときに、このフレーズがあるだけで非常に丁寧かつソフトな言い回しができますよ。
「ご理解くださいますよう、/いただきますよう、」の使い方
- ご連絡が遅れてしまい、大変申し訳ありません。ご確認の上、何卒ご理解いただきますよう、よろしくお願いいたします。
- こちらの案件について、どうかご理解いただきますよう、よろしくお願いいたします。
- 大変申し訳ありませんが、どうかご理解いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
基本的に相手にこちらの事情を汲み取ってもらいたいという観点においては、どちらも同じような意味で使われます。
これらの例文についても、「どうかよろしくお願いいたします」といったニュアンスを付け加えることで、ビジネス相手はもちろん目上の人にも活用できますよ。
すでに始まってしまったことなどに対して理解してもらいたいときは、ぜひこのような例文を使ってみてください。
「ご承知おきください」と同じ。目上には使えない敬語一覧
目上には使えない敬語① ご了承ください
ビジネスにおいてよく耳にすることも多い「ご了承ください」。
一見、上司など目上の人に使えそうな言葉ですが、実際に目上の人に使用する場合は失礼にあたることもあるので注意してください。
なぜなら、「ご了承ください」には、やや強制的な意味合いが含まれているため。
相手に対して一方的に了承するような言い回しだと、不快に感じる人もいるかもしれません。
目上に使いたい場合は、「お含みおきください」「ご了承くださいますよう、よろしくお願いいたします」「ご了承いただけましたら、幸いです」といった言葉を使うことをおすすめします。
【参考記事】「ご了承ください」の使い方/類語を解説▽
目上には使えない敬語② 了解しました
「了解しました」を目上の人に使用する場合に関しても、やや失礼な表現にあたるので注意が必要です。
ここで使われている「了解」には、「物事の内容もしくは事情を知って、納得や理解をすること」という意味を持っています。
「了解」自体は謙譲語でも尊敬語でもないので、目上の人に使うことはおすすめしません。
もし、目上の人に使用したい場合は、「承知しました」もしくは「かしこまりました」を使用しましょう。
「かしこまりました」は、謙譲語である「畏る」に丁寧語の「ます」を付け加えた言葉。目上の人はもちろんビジネス相手にももちろん使えますよ。
【参考記事】「了解しました」の正しい使い方を例文付きで解説▽
目上には使えない敬語③ ご苦労様です
ねぎらいの言葉として、さまざまな場面で使用される「ご苦労様です」。ご苦労様ですについても、目上の人には失礼にあたるので控えるようにしましょう。
基本的には、目上の人が目下の人に対して労うときに、「ご苦労様です」が使用されます。
社会人になりたての新入社員の人は、上司に「ご苦労様です」と言われてもそのまま「ご苦労様です」と返さないように注意してくださいね。
目上の人にねぎらいの言葉を伝えるときは、「お疲れ様です」と言うことをおすすめします。
ちなみにビジネスの相手には基本的には使うことはなく、会社の同僚など職場内の挨拶で使用することも覚えておきましょう。
【参考記事】「ご苦労様です」の意味とは?正しい使い方を解説▽
目上には使えない敬語④ お世話様です
「お世話様です」も、目上の人に言うのは失礼にあたるので注意しなければなりません。
基本的には、お世話になった相手に対して感謝の意味を表現した言葉ではありますが、敬意はどちらかというと軽め。
相手にお世話になっている感謝の気持ちを表したいのであれば、「お世話になっております」と言うようにしましょう。
ちなみに「お世話になっております」は、ビジネスにおけるメールで何度も目にする言葉。
今社会人の人はもちろんのこと、これから社会人になる大学生も、覚えておいて損はありませんよ。基本的には、取引先相手に使うことが多いです。
【参考記事】「お世話様です」の正しい使い方を解説します▽
目上には使えない敬語⑤ すみません
相手に謝罪するときによく出てくる敬語「すみません」。実はこの言葉も、目上の人に使用するには失礼な言葉にあたります。
特にこの言葉を使用するときに注意したいのが、ビジネスにおけるメールのとき。会話の際では、よく「すみません」を使う人も多いでしょう。
ですが、ビジネスメールで使用する場合は、言葉にどうしてもカジュアルさが残ってしまい、相手に不快感を与えてしまうことも。
メールで謝罪するときは、「申し訳ございません」と伝えるよう意識しておきましょう。より丁寧さを出して伝えたいときは、「申し訳ございません」の前に「お手数おかけして」などと加えるのもおすすめです。
【参考記事】「申し訳ございません」の使い方を例文付きで解説▽
目上には使えない敬語⑥ おっしゃられました
この敬語も、よく耳にするビジネスマンも多いのではないでしょうか。実はこの敬語は間違った表現だということはご存知でしたか。
「おっしゃられた」という表現は、「言う」の尊敬語である「おっしゃる」と、「られる」という尊敬語が使われており、二重敬語になっています。
二重敬語になることで、どうしてもまわりくどく感じてしまい、相手が接しづらさを感じてしまうことも。
目上の人はもちろん敬語としても間違っているので、使用しないことをおすすめします。上司など目上の人が何か言っていたときは、「おっしゃいました」と伝えるのが正しい表現です。
目上には使えない敬語⑦ ご一緒しませんか
こちらもビジネスにおいてよく使用される敬語「ご一緒しませんか」。実はこの言葉も、目上の人に使用するにはやや失礼な表現にあたることも。
敬語として間違っているわけではありませんが、「しませんか」という表現に対して、相手が不快感を覚えてしまう可能性もあります。
このような相手を誘いたい場合、「ご一緒しませんか」とちょっとニュアンスを変えるだけで、より丁寧さが表現できますよ。
ランチや飲み会、さらにはセミナーなど、誘いたい相手が目上の人だった場合は、ぜひ積極的に「ご一緒にいかがですか」と伝えてみてくださいね。
「ご承知おきください」の英語表現
- Please note that〜(〜をご承知おきください)
- Please keep in mind that〜(〜をご承知おきください)
- Please be aware that〜(〜をご承知おきください)
- We kindly ask for your understanding.(何卒ご理解くださいませ。)
- Give a thought.(ちょっと考えておいてください。)
- Just think about it.(ちょっと考えておいてください。)
上記の英語表現において、相手に対してなるべく丁寧さを英語で出したいときは、"please"を使うようにしましょう。
この単語があるだけで、相手が不快に感じにくくなりますよ。
また、日常会話の英語でカジュアルな使い方をしたいときは、"Give a thought"、"Just think about it"と伝えるのもいいでしょう。
「ご承知おきください」ではなく、目上の人には丁寧な敬語を使おう!
ここまで「ご承知おきください」の持っている意味、例文一覧から目上の人に伝えるときの言い換えの類語、さらには目上の人には使えない敬語や「ご承知おきください」の英語表現についてご紹介しました。
このように、「ご承知おきください」にまつわる敬語も非常に奥が深いです。
間違った敬語を使用して相手に不快感を与えないためにも、ぜひこの記事を参考にして正しい敬語を使ってみてくださいね。
【参考記事】「了解」の使い方ガイド。"了解いたしました"は目上に使えるのか?▽
【参考記事】使いやすいクッション言葉「お手数ですが」の使い方を解説▽
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