"ご覧いただく"は二重敬語?言い換えできる類語&例文【ビジネス敬語ガイド】
「ご覧いただく」の意味とは?
「ご覧いただく」とは、「見てもらう」を丁寧に表した言葉です。
「ご覧」は「見る」の尊敬語で「いただく」は「もらう」の謙譲語で、非常に丁寧な言葉なため、自分の立場をへり下って表現できます。
そのため、ビジネスシーンでは、上司や取引先の人など自分よりも立場が上の人に「見てほしい」「見てもらいたい」ことを伝えたいときに用います。
例えば、ビジネスシーンでは会議の資料を見てほしいときやスライドショーなどに注目して欲しいときに使える敬語です。「ご覧いただく」を使えば、目上の人にも失礼なく伝えられます。
また、外部のお客様に対して見てほしいものを示すときにも便利で丁寧な印象を与えられます。
「ご覧いただく」は間違い敬語なのか?
「ご覧いただく」を二重敬語だと思っている人も多いと思いますが、実際には二重敬語や間違いではなく正しい敬語表現です。
「ご覧」は相手の行為に向けて使う尊敬語で「いただく」は自分の行為に向けた謙譲語です。そのため、尊敬語と謙譲語の組み合わせとなり、相手に丁寧な印象を与えられる正しい敬語となります。
また「ご覧いただく」は謙譲表現なので、自分の立場をへり下って表現することが可能。自分よりも立場が上の上司や取引先の人、お客様にも使えます。
話し言葉としてはもちろん、メールや連絡文書などでも使われることが多い非常に汎用性の高い敬語表現です。
ビジネスシーンで使える「ご覧いただく」を使った丁寧な例文
使い方① ご覧いただき
- 新商品の資料をご覧いただきありがとうございます。
- こちらが来週の打ち合わせの資料となります。お忙しいところ恐縮ですが、ご覧いただきたく存じます。
- 一度、見積書をご覧いただき、折り返しご連絡をいただければと思います。
- 先日はご足労いただき誠にありがとうございました。納品書を同封いたしましたので、ご覧いただきたく存じます。
例文のように「ご覧いただき」は、相手に見てほしい資料などがあるときに「見てほしいです」と伝えられる敬語です。
ビジネスシーンでは、上司や取引先の人などに見積書や会議資料といった重要な書類に目を通して欲しいときに用いられます。他にも使い方としては、例文のようにメールや手紙などに重要な資料を添付した際に「見てほしい」ことを伝えるときにも便利です。
使い方② ご覧いただければ
- 先日はお打ち合わせありがとうございました。お打ち合わせ内容をまとめましたので。ご覧いただければ幸いです。
- 明日の会場周辺の地図を添付いたしました。ご覧いただければ幸いです。
- 来月の展示会の案内文を作成いたしました。一度ご覧いただければと思います。よろしくお願いいたします。
- 本日の会議の資料となりますので、まずはご覧いただければ幸いです。
「ご覧いただければ」は「見てもらえると」という意味になります。例文のように「幸いです」や「思います」とペアで使うことで「見てもらえるとありがたいです」「見てもらえればと思います」という柔らかいニュアンスを表現できます。
使い方としては「ご覧いただく」と同じように、目上の人に見てほしい資料や書類があるときに用います。
使い方③ ご覧いただきますよう
- 見積書を添付させていただきました。一度、ご覧いただますようよろしくお願いいたします。
- 会議の前にお手持ちの資料をご覧いただきますようよろしくお願い申し上げます。
- 先日は、お忙しいところお時間をいただきましてありがとうございました。訂正した資料を同封いたしましたので、ご覧いただきますようお願い申し上げます。
- こちら新しい組織図となりますので、各自ご覧いただきますようお願いいたします。
「ご覧いただきますよう」は「お願い申し上げます」や「お願いいたします」と一緒に使うことで「見てもらうようお願いします」と、資料や書類に目を通すことをお願いする場面で使います。
ビジネスシーンでは、しっかりと目を通して欲しい書類がある場合や見てもらうことをお願いしたいときに用います。
「ご覧いただきますよう」も話し言葉としてだけでなく、メールや手紙などの書き言葉としても使われることが多いです。
使い方④ ご覧いただけますか?
- こちら明日の会議資料となります。一度ご覧いただけますか?
- 先日はお忙しいところありがとうございました。訂正した見積書を添付いたしましたのでご覧いただけますか?何卒よろしくお願い申し上げます。
- 来月の会議の会場を添付しましたので、ご覧いただけますか?なにか気になる点がございましたらお気軽にお申し付けください。
- こちら本日の資料となりますので、ご覧いただけますか?よろしくお願いいたします。
「ご覧いただけますか?」は「見てもらえますか?」という意味になります。相手に資料や書類を見てもらうことを依頼したいときに用います。
相手に「見る」という行為を依頼するニュアンスが強く、どうしても見てほしい資料や書類があるときに使うことが多いです。
使い方としては例文のように、目上の人に資料や書類を見せるときや重要な書類をメールや手紙に添付したときに用います。
「ご覧いただく」と「ご覧くださり」の違いとは?
「いただく」は「もらう」の謙譲語であり「くださり」は「くれる」の尊敬語です。行為としては同じ場面を示せるため「ご覧いただく」も「ご覧くださり」も同じ場面で用いることが可能です。
しかし、異なるのが行為を見る視点。「くださり」は相手側からの視点であり「いただく」は自分の立場からの視点です。「(相手が」くれたから、(自分が)もらう」ことになります。
そのため「本をご覧くださりありがとうございます」など、相手の視点からみた行為を自分の立場に置き換えて使うことはできません。
「ご覧くださり」を使った丁寧な例文
- 公演は以上です。最後までご覧くださりありがとうございました。
- 先日は、御社の展示会をご覧くださりありがとうございました。商品につきまして詳しくお話できれば幸いです。
- スライドショーをご覧くださりありがとうございました。これより、説明に入らせていただきます。
- 資料をご覧くださりありがとうございます。不明な点はございましたでしょうか?
「ご覧くださり」は「ありがとうございます」や「お礼申し上げます」等の感謝の言葉と合わせて使用するケースが多いです。
「見てくれてありがとうございます」という意味になり、相手がしてくれた行為に対して感謝を述べられます。
ビジネスシーンでは、資料に目を通してもらったときやスライドショーなどを見終わったときに用います。
「ご覧いただく」と言い換えできる類語一覧
ご覧いただくの類語① 見られる
「見られる」は「見る」に助動詞の「られる」を付けた尊敬語です。自分よりも立場が上の人の行為を丁寧に表現できます。
「ご覧いただく」の類語ではありますが、「ご覧いただく」のように「見てもらう」行為を指すことはできず、ただ単に「見る」ことだけを示すのが違いです。
使い方としては「○○部長は、新製品を見られましたか?」「新しい組織図を見られましたか?」など、ビジネスシーンでは目上の人がした見るという行為を丁寧に表現したいときに使えます。
ご覧いただくの類語② ご高覧いただく
「ご高覧」は「ごこうらん」と読みます。他人の人がする「見る」という厚意敬う敬語表現で「ご高覧いただく」は「見てもらう」という意味になります。とても丁寧な謙譲表現ではありますが、間違いや二重敬語ではありません。
「ご覧いただく」と同じような意味で使うことが可能な言葉と言えます。ビジネスシーンでは「資料を添付いたしましたので、ご高覧いただく存じます」などの使い方をします。大切な書類や資料を見てもらいたいときに便利な表現です。
また、かしこまった印象を与えるため、話し言葉よりもメールや手紙などの書き言葉として使うことが多いです。
ご覧いただくの類語③ ご参照いただく
「参照」とは、資料やデータなどと照らし合わせながら、目に見える情報を確認することです。そのため「ご参照いただく」は「資料などと照らし合わせながら確認してもらう」という意味になります。
「ご覧いただく」の類語ですが「ご覧いただく」のように「見る」だけでなく、データや資料をもとにチェックして欲しいときに用います。
使い方としては「見積書を添付いたしましたので、ご参照いただきますようよろしくお願いいたします」などのように、ビジネスシーンでしっかりと確認して欲しい書類を渡すときに使います。
ご覧いただくの類語④ ご一読いただく
「ご一読」は「一度目を通す」という意味があり「ご一読いただく」は「目を通してもらう」という意味になります。二重敬語や間違いではなく、正しい敬語として用いられています。
ビジネスシーンでは主に、目上の人に資料や書類を渡すときに使うことが多いです。「ご覧いただく」の類語ですが、「ご覧いただく」のように単に見るというニュアンスよりもしっかりと確認してもらう印象を与えられます。
例文としては「会議までに資料をご一読いただく存じます」など、目を通してもらうことを促したいときに用います。
また、話し言葉としてよりも、メールや文書などの書き言葉として使用するのも大きな特徴です。
ご覧いただくの類語⑤ ご査収いただく
「ご査収」は「ごさしゅう」と読みます。「よく調べてから受け取る」という意味があり、請求書や納品書など確認して欲しい書類を渡すときに用います。
「ご覧いただく」の類語ですが、「ご覧いただく」のように「見る」という行為を示すのではなく、チェックして欲しいという行為を促すところが異なります。
主に「請求書を送付いたしましたので、ご査収いただきますようお願い申し上げます」などのような使い方が多いです。
ビジネスシーンでは話し言葉として使うことは少なく、重要な書類やメールに添える書き言葉として使います。
ご覧いただくの類語⑥ ご確認いただく
「確認」には合っているかどうか確かめるという意味があります。「ご確認いただく」は「合っているかどうか確かめてもらう」という意味になります。「ご覧いただく」の類語ですが、確かめる行為を促すところが異なります。
使い方としては「明日の会議の資料をご確認いただけますと幸いです。」など、確かめてほしい書類や資料を上司や取引先の人など目上の人に渡すときに用います。
使用する際は、「幸いです」や「お願いいたします」など依頼の言葉とともに使うことが多いです。また、ビジネスシーンでは話し言葉としても使う機会が多い敬語のもポイントと言えるでしょう。
【参考記事】「ご確認ください」の正しい使い方とは▽
「ご覧いただく」の英語表現
- to have someone look(ご覧いただく)
- I would happy if you look at that.(ご覧いただければ幸いです)
- You've just been please(ご高覧いただき)
- You've just been acceptance inspection(ご査収いただき)
- You've just confirmed(ご確認いただき)
- Thank you for watching.(ご覧くださりありがとうございます)
「ご覧いただく」や類語の英語表現にはさまざまな例文があります。
「to have someone look」は「ご覧いただく」の英語表現ですが、前後の文章に合わせて使うことが大切です。
また、類語の英語表現もニュアンスがそれぞれ異なるため、シーンに合わせて使い分けができるといいでしょう。ビジネスシーンではどれか1つ英語表現を覚えておくと役に立ちますよ。
「ご覧いただく」の意味や正しい使い方をマスターしましょう!
今回は「ご覧いただく」の類語や使い方、例文や英語表現をまとめてご紹介しました。
ビジネスシーンで「ご覧いただく」は、自分よりも立場が上の人の上司や取引先の人に見てもらうことを促したいときに使える敬語表現です。
ただし、二重敬語や間違いの敬語ではないので、安心して使えますよ。どのようなニュアンスで伝えたいのかによって、類語と使い分けることが大切。
きちんとニュアンスや状況に応じて、しっかりと「ご覧いただく」を使いこなしましょう!
【参考記事】「お大事になさってください」の使い方を例文付きで分かりやすく解説!▽
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