"承服"の意味/使い方とは?類語&否定/肯定の例文|ビジネス敬語ガイド
「承服/承服する」の読み方や意味とは?
「承服」とは「しょうふく」と読み、相手の意見や指示を受け入れるという意味を持つ敬語表現です。
「承」と「服」という2つの漢字を組み合わせて出来ており、「承」も「服」も元々は「受け入れる」という意味を持っています。
そのため、たとえ相手と異なる意見を持っていたとしてもそれは主張せずに相手の意見を受け入れる、他者の説得に素直に従う意思を表す言葉です。
相手を受け入れるという類似した意味を持つ漢字を組み合わせることで、「承服する」と表現し、受け入れる姿勢をより強く伝える意味を含んでた言葉を形成しています。
「承服」の正しい使い方やタイミングとは?
「承服」という言葉は、ビジネスシーンでは主に書類やメールの文章の中で使用する敬語です。
対面で話す場合は、「承知いたしました」や「かしこまりました」などの言葉があるため、「承服する」という使い方はしません。
また、「承服」自体は相手の意見同意し受け入れる意味を持ちますが、実際に使用する際は相手の意見に賛同できない、納得できないと否定の意味で使うことも多いです。
相手の意見と自分の意見が異なるので受け入れることはできない、求められても実行できないのといった主旨を丁寧に伝える場合に多く使われます。
「承服できない」と否定の意味で使う際の例文
- 先月の営業会議で提案されたA案の内容には〇〇課としましては承服しかねます。
- 以前から打診いただいていた案件につきまして、承服しがたい項目がございます。
- これまでのプロジェクトの経緯を考慮しますと、現在検討されているスケジュールで進めることは承服できません。
- ご意見はごもっともですが、弊社の現状を鑑みますと承服いたしかねます。
- 先日の契約変更の資料を拝見しましたが、内容には承服いたしかねます。
- 納期の延長をご希望とのことですが、承服できません旨お伝えいたします。
- 先般のビジネスプロジェクトに関する貴社のご決定には承服できません。
「承服」という言葉は、社内での回覧書類やメール、社外の相手とのビジネスメールなどの文章でよく使われています。
使い方としては、たとえば返答を求められている事項で断らなければいけない時に、「承服」という言葉によってやんわりと否定する敬語として使います。
はっきりと「できない」とは言えない内容や相手であれば、「承服しかねる」と表現することで婉曲的に断ることが可能です。
相手に対して攻撃的になるのではなく、相手を尊重しながらも相手の意見や指示に従うことが難しいという気持ちを、丁寧な表現として伝える敬語として「承服」をぜひ活用してみてください。
【「例文」で使われている敬語】
・「弊社」と「当社」の正しい使い分け|社外との打ち合わせではどちらを使う?
・「御社」と「貴社」の使い方をメール/電話/面接のシーン別に解説します
「承服できない」と伝える時に使える敬語表現とは?
- 賛成しかねます。
- 納得しかねます。
- 承諾しかねます。
- 賛同しかねます。
「承服する」と伝える時の例文
- この件は弊社の提示した条件と合致するので承服いたします。
- 発売日につきましてメーカー側の意見をありがとうございます。承服しました。
- 発注期限について承服しました。急ぎ発注書を作成いたします。
- すばらしい指示をいただきましたので、承服いたします。
- こまかい説明があったので承服できました、ありがとうございます。
例文にもあるように、もともと「承服する」の「承服」という言葉には、相手の意見を聞き入れる、素直に従うという意味の使い方をします。
しかし、ビジネスシーンでは「了承」「承諾」「承知」「納得」といった同等の意味を持つ言葉を肯定語として使います。
そのため、どちらかというと否定で使う機会が多いですが、肯定的な意味でも使用できるため、例文を参考に使い方をきちんと覚えておきましょう。
「承服」と言い換えできる類語一覧
承服の類語① 了承
「承服」と似た言葉に「了承」という言葉があります。読み方は「りょうしょう」で、相手の意見や主張とともに相手の立場や事情までしっかり理解した状態で受け入れる、納得するという意味の表現です。
相手を受け入れるという意味は共通ですが、「承服」は自分が下の立場で相手に対する敬語として使うのに対し、「了承」は自分が上の立場である時に使うという点が異なります。
「了承」の使い方
- 次回のプレゼンテーション会ですが、ご連絡いただいた日時で了承しました
- 先日〇〇部長より提示いたしました契約内容でご了承いただけますでしょうか。
- 商品の手配方法につきまして至急ご了承いただければ幸いです。
【参考記事】「了承」の意味とは?|ビジネスシーンで使える例文まで解説します▽
承服の類語② 承諾
「承諾」という言葉も、「承服」の類語のひとつで「承諾」という読み方です。「諾」という漢字には応答する、引き受けるといった意味があるため、相手が望んでいることに対して受け入れ、引き受ける意思を伝える場合に使われます。
ただし、単に受け身になって相手の意見を受け取るというのではなく、自ら積極的に相手に答えてその思いを受け取るという意味が大きいです。
例文からも分かるように、使い方としては、ビジネスの取引相手からの依頼を快く受ける、契約など重要な内容に対して前向きに受け入れる気持ちの敬語表現となります。
「承諾」の使い方
- 先日ご提示いただきました取引条件で承諾いたしました。
- 社内会議にて協議した結果、ご提案いただいたとおりでの契約に承諾いたします。
- 取引内容をとりまとめた資料を先日送付いたしましたので、ご承諾いただけるようであればご署名ご捺印をいただけますでしょうか。
承服の類語③ 了解
「了解」も「承服」の類語で、読み方は「りょうかい」です。「了解」には、相手の立場を考えて納得したり理解したりするというニュアンスを含んでいます。
「了」という漢字には「はっきりと終わる」「完成する」、「解」という漢字には「ある問題に対する答え」「意味を解く」という意味があります。
つまり、ある物事の内容や抱えている事情を踏まえて納得する、理解して受けるといった意味です。
比較的フランクな表現なため、ビジネス上の関係が対等な場合、もしくは目上の人から目下の人に対して使うのが一般的です。
「了解」の使い方
- 計画変更をするには□□課長の了解をとってからにしてください。
- 来週の例会は欠席とのこと、了解しました。
- 先日提示いただいた見積金額で了解ですので急いで進めていただけますか。
【参考記事】「了解」は目上の人に使える?言い換えできる類語もご紹介!▽
承服の類語④ 承知
「承服」の類語としてよく知られている「承知」という言葉は、例文のようにビジネスシーンで多用されています。読み方は「しょうち」です。相手の事情や立場を理解した上で、依頼や指示を聞き入れるという意味があります。
使い方としては、うけたまわるという敬語的意味を持つ「承」と、本質を知って理解するという意味をもつ「知」とが組み合わされており、使い方としては相手に対する理解を丁寧な表現で伝えるという形です。
「承服」が受け入れる意味合いが強いのに対して、「承知」は事情を知る、聞き入れる意味合いが強い言葉として使われます。
「承知」の使い方
- 申し送りの件は承知しました、明日までに書類を準備します。
- ご発注内容承知しました、至急発送の手配をいたします。
- 打ち合わせ日程に変更があった旨承知しました。
【参考記事】ビジネスで重宝する「承知しました」の意味や使い方を解説します▽
承服の類語⑤ 納得
「納得」も「承服」と似た意味を持つ言葉で、読み方は「なっとく」です。相手の意見や言動を認め、理解理解するという意味を持っています。
「承服」が相手の意見を受け入れて従うという意味合いを持つのに対して、「納得」は相手の意見を受け入れる意味合いは共通ですが、従うという意味合いは含まれていません。
例文のように、相手の意見や立場を踏まえながらも、自分の意見や立場も崩さないニュアンスが込められています。
また、相手の意見や主張を聞いて理解できているかどうか、自分で確認するという意味の使い方もします。
「納得」の使い方
- 当プロジェクトに対する貴社の取り組みを伺って、活動を広げられる理由について納得しました。
- 大変納得のいく説明をいただきありがとうございます。
- この資料をもって解説すれば、××部長も納得されるでしょう。
「承服」の英語表現
- I can't accept that.(それは承服できません)
- unacceptable terms(承服できない条件)
- OK, I understood it. (はい、了解しました)
- I have approved your request. (ご要望について了解しました)
- Both parties have consented. (双方とも承知しました)
- That still has not received consent. (それはまだ了解が得られていない
「承服する」という言葉は、相手の意見を否定したり断る場合に使います。英語表現の場合、例文のようにビジネス上の取引や契約といった重要な内容について受け入れできないと伝えるには「I can't accept that.」という英語を使う機会が多いでしょう。
英語では敬語表現がないため、使い方としては短く難しくない英語を使って「承服」の意味を表現します。
「承服」を活用すれば、相手の申し出を丁寧に断れます。
主にビジネスメールや書類において使うことが多い「承服」は、相手を否定する場合に使うことがほとんどですので「承服する」という表現はほとんどありません。
しかし文書などで丁寧にお断りしたい場合には使うこともありますから、この記事を参考に使い方をマスターしたいもの。
「承知」「了承」「承諾」などの類語との使い分けもしっかり覚えておきましょう。
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