"お手数おかけします"の意味/使い方。類語&例文付き|ビジネス敬語ガイド
「お手数おかけします」の意味とは?
「お手数おかけします」の「手数」とは、物事を達成する際に必要な工程や動作の数、労力を指す言葉です。
読みは「てすう」のほか「てかず」と読むこともあり、「手数と報酬が伴わない」などの意味もありますが、ビジネス上でも敬語における「手数」は、一般的には「てすう」と読み、丁寧語の「お」を付けて「お手数」として使われます。
「手数」の対象は自分ではなく他人です。
そのため、「お手数おかけします」は、自分や相手の関わっている物事に対し、何らかの労力を払ってくれた相手に対する、
1. お詫びの気持ち 2. 感謝の気持ち
を込めた2つの意味を持っています。
お手数おかけしますの意味① お詫びの気持ち
お詫びの気持ちを込めた「お手数おかけします」は、相手に対して「こちらの依頼や要求に対して労力を払ってしまうことになり、申し訳ありません」という意味があります。
【例文】自社のホームページにアクセスが集中し、なかなかつながらない場合はホームページ上に「ただいまアクセスが集中しており、繋がりにくい状態です。恐れ入りますが、時間をおいてアクセスしてください。お手数おかけします」
ビジネス上でも「お手数をおかけし申し訳ありません」などが使われます。
お手数おかけしますの意味② 感謝の気持ち
「お手数おかけします」は、これから相手が自分の依頼や要求を達成するために払うであろう労力を想定し、それに対する感謝の気持ちを込めた表現でもあります。
例文としては、急ぎで訂正や返事を依頼をした場合でも、相手が快く承諾してくれた場合には、「お手数おかけしますが、宜しくお願いいたします」と相手への感謝を込めて伝えます。
「お手数」と「お手間」の違いとは?
「お手数」の類語に「お手間」があります。「手間」とは、ある物事にかかる費用や労力、時間を表す言葉です。
さらに、「お手数」「お手間」両方ともに連動する動詞は「かける」のため、言い換えて使われることも多いですが、手数・手間の対象が異なるため注意しなければいけません。
「お手数」は自分を含めない、第三者の労力や工程に対してのみ使う言葉です。一方で類語の「お手間」の「手間」の対象は他人も自分も含まれます。
例文として、「私が手間をかけて育てた花です」は正しい使い方ですが、「私が手数をかけて育てた花です」への言い換えはできません。
「お手数おかけします」の使い方って?
「お手数おかけします」は相手に対するお詫びや感謝を表す表現以外にも、「お手数おかけしますが、よろしくお願いいたします。」のように、クッション言葉としても使われます。
クッション言葉の中には「お手数おかけしますが」以外にも、「差し支えなければ、〜」や「僭越ながら、〜」などが含まれます。
実際に相手と対面した上で使う口語表現としてだけでなく、メールや文書上での文語表現としても使用できるため、覚えておくと非常に便利ですよ。
お手数おかけしますの使い方の注意点としては「お手数おかけします」はビジネス上でも多く用いられる敬語表現ですが、あくまで相手の労力に対する表現ということ。
「お手数おかけいたしますが、私がお返事します」などは誤用ですので、注意しておいてください。
【参考記事】「お手数おかけしますが」の使い方を例文付きで解説▽
「お手数おかけします」は、目上の人に使えるのか?
「お手数おかけします」は、名詞「手数」に丁寧語の「お」をつけた表現のため、目上の人に対しても使用可能です。なお「お手数おかけいたします」と言い換えも可能。
「おかけする」+「いたす」で二重敬語に見えますが、実は「お~いたす」は「お~する」の用法の1つで、二重敬語には当たりません。
けれども、「お手数おかけいたします」は回りくどい表現になってしまう場合がありますので、状況を見定めた上で使用しましょう。
また、「お手数おかけします」は、非常に柔らかい印象を与えられるため、部下や同僚であっても"初対面"の人には、使うべき敬語です。
お手数かけさせるは使ってはいけないNG敬語?
「お手数」は相手に対して使う表現とはいえ、「お手数かけさせますが」は、大変失礼にあたる表現です。そもそも「お手数」とは、自分の依頼や要求に対する相手の労力や工程を指します。
「お手数かけさせますが」は相手に対して、自分が手数をかけることを要求しているとも取られてしまう可能性があります。絶対に言い換えないようにしましょう。
「お手数おかけします」の例文
- 恐れ入りますが、○○に対してお返事いただきたく存じます。お忙しいところお手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
- ご多忙中とは存じますが、お見積りを請求させていただきました。恐れ入りますがご対応の程お願いいたします。お手数おかけします。
- 大変恐縮ですが、至急こちらの書類を訂正ください。お手数おかけします。
- こちらの訂正内容をご承諾いただき、ありがとうございます。お手数おかけいたしました。
- 現在清掃中につき、お手数をおかけしますが、あちらの道をお通り下さい。
- 現在電話が大変繋がりにくくなっております。お手数をおかけいたしますが、時間をおいておかけ直しください。
「お手数おかけします。」は、ビジネスでお詫びのメールなどを送る際のクッション言葉として使われることが多く、末尾として使用される機会は少なくなります。
お詫びの例文で使えることを覚えておけば、幅広いシチュエーションで円滑な対応を行えるでしょう。
相手の要望や相手の都合などを考慮しているように、「お手数おかけします/お手数おかけしますが、」を使って優しい印象の例文を作成してみてください。
【「例文」で使われている敬語】
・「存じます」の使い方|目上に使える例文から言い換えできる類語まで解説
・「恐れ入りますが」の意味&使い方。"恐縮ですが"と使い方の違いってあるの?
・「恐縮ですが」の意味とは?言い換えできる類語からビジネスメールで使える例文まで解説
「お手数おかけします」の言い換えに使える類語一覧
お手数おかけしますの類語① ご面倒をおかけします
お手数おかけしますの類語として使われる表現、「ご面倒をおかけします」。
「ご面倒」とは、「お手数」よりも相手が多くの労力や工程をかけた場合に使用されます。
例えば、「何度の訂正のご面倒をおかけし、申し訳ありませんでした」のように、「お手数」の範囲を超えて相手に何回も作業や工程を課してしまった場合に使用します。
お手数おかけしますの類語② ご迷惑おかけします
類語の「ご迷惑」とは、自分が原因の事項で相手に悪影響や不具合を与えてしまっている状態を指します。
そのため、「こちらの不手際でお返事が遅れてしまいました。ご迷惑をおかけし誠にお詫び申し上げます」とお詫びの言葉として使用されます。
「ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いいたします」は、あらかじめ自分が相手に対して悪影響や不具合を与える、と宣言しているため、言い換えできません。
「お手数おかけします」の英語表現
- I apologize for the inconvenience but …(お手数おかけしますが)
- I am sorry to cause you inconvenience, but …(お手数おかけしますが)
- I'm sorry for bothering you.(ご面倒をおかけします)
- I'm sorry to trouble you, but…(迷惑をかけて申し訳ありませんが…)
- Sorry for the trouble!(お手数おかけします!)
- We apologize for the inconvenience but …(お手数おかけしますが)
「お手数おかけします」は英語で"I apologize for the inconvenience."です。ビジネス上でも使われます。さらにbut~と続けると、「お手数おかけしますが、~をお願いします」など相手に具体的な要求や依頼を伝えられます。
なお、”I'm sorry for your inconvenience but thank you for your cooperation.”は「お手数おかけしますが、宜しくお願いいたします」と英語でも決まり文句です。
”Sorry for the trouble!”は同僚などに使うカジュアルな英語です。
「お手数おかけします」の使い方をマスターすれば、ビジネス関係はより円滑に進む。
「お手数おかけします」は、自分の要求や依頼に対する、相手の労力を気遣うお詫びや感謝の気持ちを込めた敬語表現です。
クッション言葉を始め、幅広いシーンでも活用できる相手を気遣う日本人らしい表現でもあります。「お手数おかけします」の正しい使い方を覚えれば、ビジネス上でもさらにコミュニケーションを円滑にできます。
【参考記事】「お手数ですが」の正しい使い方&類語を徹底解説▽
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