"とんでもございません"の意味/使い方。類語&例文集|ビジネス敬語ガイド
「とんでもございません」は正しい敬語なのか?
そもそも、「とんでもない」とは、「思いがけないこと」」「想定外のこと」をあらわす形容詞です。「とんでもない出来事が起こった」「先日のサッカーの試合でははとんでもない結果が出た」などと使います。
「とんでもな」までで一つの言葉で、語尾に形容詞を示す「い」がついて「とんでもない」という言葉になったのが語源です。そのため、語尾が「ありません」に変換されるのは日本語の文法として誤用であり、「とんでもないことです」となるのが正しい敬語です。
このように見てみると「とんでもございません」は、日本語の文法として誤用が定着してしまった敬語です。しかし、「とんでもございません」という表現は、話し言葉やメールなどビジネスシーンで使われることが多く定着しつつある敬語のため、使っても問題はないと言われています。
「とんでもございません」の意味とは?
「とんでもございません」を使用するシーンには、大きく分けて2つあります。1つ目は「謙遜」を示したいときです。褒められたときに自分をへりくだる場合や気遣いや謝罪を受けたときに、相手を気遣う場合の敬語として使います。
2つ目は、相手の話していることや要求を否定したい場合です。話の内容に合わせて、部下や上司を叱咤激励する場合に使います。「とんでもございません」は話し言葉、メール共にビジネスシーンで使える敬語ですが、状況や会話の内容によって意味合いが大きく異なることも知っておくといいでしょう。
とんでもございませんの意味1. 謙遜
「とんでもございません」を謙遜で使うシーンとして多いのは、上司や取引先など目上の人に褒められた ときです。相手の言葉を受け止めて自分を下げる謙譲否定という敬語の一つで語源に沿った使い方です。上司や目上の人に褒められたときにどうしたらいいのか迷った場合には「とんでもございません」という一言を添えるだけでも、言葉を受け止めしっかりと返答したという印象を与えることができます。
とんでもございませんの意味2. 否定
否定的な意味で「とんでもございません」を使う場合は、予想よりも遥かに悪い結果が起こった場合や、強い否定を示したい場合に使用します。
そのため、上司や取引先、目上の人に対して使用するのはあまり好ましくないと言えるでしょう。どちらかと言えば、上司が部下に対して叱咤激励をするシーンで使われることが多いです。
「とんでもございません」の使い方とは?
とんでもございませんの意味について解説していきましたが、多くの方が「とんでもございません」の使い方について知りたいと思っているはず。そこで今回は、とんでもございませんの使い方を例文を交えながら解説していきます。
- 謙遜の場合
- 否定の場合
謙遜と否定の2つの意味に応じた例文をご紹介していますので、この機会にぜひチェックしてみてください
【謙遜で使う場合】とんでもございませんの敬語文とは?
- 相手:今日の提案はとても参考になったよ。
- 自分:とんでもございません。拙い申し出ですが、ご検討頂けましたら幸いです。
- 相手:今日のコーディネートはとてもセンスがいいですね。
- 自分:とんでもございません。いつも何を着たらいいのか迷っています。
- 相手:今日のサポートはありがたかったよ。
- 自分:とんでもございません。少しでもお力になれれば幸いです。
謙遜で使う場合は、上司や取引先の言葉を受けてクッション言葉のように文頭に使います。
例えば、褒められた場合や感謝された場合には「とんでもございません」の後に、「幸いです」などの前向きな言葉を続けることで好印象を与えることが可能です。
また、急に褒められてどうしたらいいのか迷う場合にも、「とんでもございません」を使うことでその場の雰囲気を和ませることができますよ。
基本的には目上の人に対してへりくだる敬語なので、使用するシーンは限られてきます。
【参考記事】「幸いです」を使えば、堅い文章も程よく柔らかくなる▽
【謙遜の場合】「とんでもございません」と言い換えができる言葉とは?
- 恐れ入ります
- 滅相もございません
- お気遣いありがとうございます
「とんでもございません」の類語として「恐れ入ります」や「お気遣いありがとうございます」「滅相もございません」などの敬語を使うことができます。
どれも、「とんでもございません」の語源と同じように謙遜をあらわすことができるので、上司や取引先などから褒められたときや感謝の言葉をもらったときに使うことができます。
【「類語」として使える敬語】
・「お気遣いありがとうございます」の意味とは?使い方から例文まで解説します
【否定で使う場合】とんでもございませんの敬語文とは?
- 相手:そろそろこの会社を引退しようと考えている。
- 自分:とんでもございません。社長があっての我が社です。
- 相手:ついつい寝過ぎで遅刻をしてしまい、申し訳ございませんでした。
- 自分:初日から遅刻をするなど、とんでもございません。
- 相手:人員削減を視野に入れていこうと思っている。
- 自分:とんでもございません。うちのチームは皆精進しています。
相手の発言や思いを強く否定したいときに使う「とんでもございません」は、部下を叱咤激励する場合や上司の発言をポジティブに切り替えしたいときに使える敬語です。
しかし、上司や取引先など目上の人に使う場合は、ただ意見を否定する言い方をしてしまうのは好ましくありません。
また、部下が想定外の失態を起こした場合には「とんでもない」ことが起きたという意味合いで「とんでもございません」という敬語を使用することができます。相手の雰囲気やシーンに合わせて使えるタイミングを見計らってみてくださいね。
【「例文」で使われている敬語】
・「申し訳ございませんでした」は間違い敬語?正しい使い方まで解説します
【否定の場合】「とんでもございません」と言い換えができる言葉とは?
- とんでもないことです
- とんでもないことでございます
- 恐れ入ります
「とんでもございません」を否定形で使用する場合には「とんでもないことです」や「とんでもないことでございます」などの類語を使うことも可能です。
例えば、「初日から遅刻をするなんてとんでもないことです」など、文末に「とんでもない」を持ってくることで否定の気持ちを強く示すことができます。このように類語を使いながら上手く言い換えをしてみるのも一つの手段です。
「とんでもございません」の英語表現
- Don’t mention it.(どういたしまして)
- Not at all.(どういたしまして)
- No problem.(問題ありません)
- I’m glad to hear that.(そのようなことを言っていただけて、非常に嬉しいです)
- Thank you, but I’m still learning.(まだまだ未熟者ですが、ありがとうございます)
- Thank you for praising me.(お褒めいただき、ありがとうございます)
英語には「とんでもございません」と同じような類語の定形文はたくさんあるため、どれか1つ覚えておくと便利です。例えば、「Don’t mention it.」は「とんでもございません」という意味のある定型文で「No problem.」は「問題ありません」という意味があります。
どちらも簡単な文法でビジネスシーンでも使いやすい言葉です。シーンに合わせて言い換えながら使ってみてくださいね。
「とんでもございません」は使えるシーンを見極めて
今回は「とんでもございません」意味や使い方、言い換えのできる類語などをまとめてご紹介しました。「とんでもございません」には「謙遜」と「否定」の2つの意味があります。正しい日本語ではありませんが、ビジネスシーンやメールなどで使用されることで定着してきた珍しい敬語です。それぞれシュチエーションや会話の流れによって使い方が異なるため、誤用しないよう見極めて使用するようにしましょう。
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