"賜る"の意味/使い方。例文&類語"承る"との違いとは|ビジネス敬語ガイド
「賜る」と「承る」の違いとは?
─「賜る」の類語として、「承る」という敬語があります。
「承る」は、対面だけではなく、文書やメール、伝言、注文などにも使用できる敬語で、幅広いビジネスシーンに使われます。どちらもビジネスシーンでよく使用されている敬語なので、違いを把握し、使い方をしっかりとマスターしておきましょう。
「賜る」は、「もらう」や「与える」といった意味合いがあり、目上の人から物をもらうときや何かをお願いするときなどに使用されます。一方、「承る」は、「引き受ける」や「了解する」という意味があり、「伝言」や「注文」を受けるときなどに使えます。「承る」は、厚意や助言などに対して使うのが一般的で、品物には使用しないので注意しましょう。
「承る」を使った例文
- そのようなご注文は当社の規定に反するため、承ることはできません。
- ご注文承りました。早速、発送いたしますので、商品到着までしばらくお待ちください。
- あいにく〇〇はただいま外出しております。よろしければ伝言を承ります。
【参考記事】「承る」の使い方を分かりやすく解説します▽
「賜る」と言い換えできる類語一覧
「賜る」は、「もらう」「与える」の意味を持ち、類語となる敬語表現も存在します。
ここからは、「賜る」と言い換えできる類語を4つご紹介します。
- いただく
- 拝受する
- 授かる
- 頂戴する
各類語の使い方、賜るとの違いについて確認していきまそう。
賜るの類語① いただく
「賜る」の類語「いただく」は、「目上の人を敬って迎える」「あたまにのせる」という意味を持つほか、「賜る」と同じく「もらう」の謙譲語としても使用されます。
「いただく」がひらがな表記になっているのは、漢字の「頂く」とは意味が異なり、それぞれ別の意味があるからです。漢字の「頂く」は、「食べる」「飲む」「もらう」などの謙譲語として使用します。
一方、ひらがなの「いただく」は、「お届けいただく」「お休みさせていただく」など補助動詞として使用します。
「いただく」の使い方
- 昨日までにお届けいただくお約束でしたが、いまだに納品されておりません。
- けっこうな品を賜りありがとうございました。さっそく使わせていただくことにいたしました。
- 本日は、お休みさせていただきます。
【参考記事】「いただく」と「頂く」の使い分けまd解説▽
賜るの類語② 拝受する
「賜る」の類語として、「拝受する」という敬語があります。「拝受する」は、日常会話ではあまり使用することがなく、主にビジネスシーンで使われます。
「拝受」という言葉には、「受領する」という意味があり、品物やお金など、大切なものを受け取ることを表します。「拝受」は「賜る」と同様に、謙譲語の意味をもっているため、相手にへりくだって話す丁寧な表現方法です。
例文の「拝受いたしました」は、目上の人から書類が届いたかどうかの確認メールが届いた際に使用できます。
「拝受する」の使い方
- プロジェクトの資料、確かに拝受しました。確認の上、改めてご連絡いたします。
- 拝受します。(「書類を送付しました。」というメールの返信として)
- 拝受いたしました。(「ご査収ください」の返事として)
【参考記事】「拝受」の正しい使い方|例文付きで解説▽
賜るの類語③ 授かる
「授かる」は、お金では買えない大切なものを目上の人や神仏などから与えられることを意味します。
大切なものとは、「子ども」や「勲章」、「称号」など尊いものや苦労して手に入れた何かなどを指します。
使い方は、「子どもを授かる」「勲章を授かる」など。「授かる」は、主に子どもが出来たときに使用されることが多く、「子どもが出来た」というよりも「子どもを授かる」という表現のほうが丁寧なので、上司への報告などにもこちらを使用します。
「授かる」の使い方
- 県条例によって、〇〇(市名)の名誉市長の名誉称号を授かりました。
- 〇〇氏は、勇敢な行いで勲章を授かりました。
- 私事ですが、このたび新しい命を授かりました。上司にはまた改めて直接ご報告に伺いたいと思います。
賜るの類語④ 頂戴する
何か品物を受け取る際には、「賜る」の他にも「頂戴する」という表現方法があります。
「頂戴」という言葉は、資料や書類をもらうときや名刺交換などに使用することができるほか、気持ちや言葉をもらうときにも使用可能です。
「賜る」も「頂戴する」も「もらう」の謙譲語なので、同じ場面でも使用することができますが、「頂戴する」よりも「贈る」のほうが相手を敬うという意味合いが強く、より堅い場面でで使用されることが多いのが特徴的です。
「頂戴する」の使い方
- この度は、ご丁重なるお中元をお贈りいただきまして、誠にありがとうございました。
- ご丁寧に賀状を頂戴いたしまして厚くお礼申し上げます
- せっかくお申し出いただきましたが、お気持ちだけありがたく頂戴します。