"ご報告まで"の使い方。目上へ送れる丁寧なメール例文。ビジネス敬語ガイド

"ご報告まで"の使い方。目上へ送れる丁寧なメール例文。ビジネス敬語ガイド

長谷川大輔 2024.05.06
相手へ取りあえずの知らせを送る際に使う言葉、ご報告まで。「取り急ぎご報告まで」などで使いますが、上司や取引先など目上にも使えるのか。今回は、ご報告までの使い方を例文付きで詳しく解説。目上にも使えるより丁寧な言い換えも解説しますので例文までチェックしてみて。

「ご報告まで」の意味とは?

ご報告までの意味

「ご報告まで」とは、進捗を知らせる時に使われるビジネス用語としてよく知られ、多く使われている言葉の1つです。

目下の人から目上の人に対して、ある仕事や項目などの結果を知らせる作業を「報告」と言い、まだ確定していない状況を知らせる「連絡」とは違って、その仕事や項目が完了して何らかの結論が出ている場合にお知らせの意味で使います

報告という作業を丁寧に表現したのが「ご報告」で、さらに「まで」を付けると現段階での結果を伝えるという意味で使います。「まで」を付けることで、最終的な結果を伝えているニュアンスは薄れてしまいます。

ビジネスの場ではテンプレートとして多用しがちですが、使い方には注意が必要です。


「ご報告まで」を使用する際の注意点

  • 上司や取引先など目上の人には基本的に使わない
  • 相手に返信してほしいのかを明記する
  • 「取り急ぎご報告まで」は親しい間柄の人のみ使用する
  • 後から詳しい内容を明記したメールを送る

「ご報告まで」を使用する際は、上4つのポイントを必ず意識しておきましょう


注意点① 上司や取引先など目上の人には基本的に使わない

ご報告までを使う上での注意点

目下から目上へに対してある事を知らせるために行うのが報告です。

例えば、部下から上司へ、後輩から先輩へ向けて知らせる際に使います。目上の人に対して行う際に、「ご報告」はお知らせの際に使うテンプレート的な敬語として多用しがちです

しかし、「ご報告まで」という言葉の場合は使い方に注意が必要です。「まで」という言葉は丁寧なニュアンスが含まれていませんから、冷たい印象を相手に与えます

謙虚さが伝わりにくいために誤解を招きやすく、相手が不愉快になりかねません。「ご報告まで」の前や後に別の敬語を使って調整する場合を除いて、基本的に上司や取引先などの社外の人に対しては使わないようにしましょう。


注意点② 相手に返信してほしいのかを明記する

「ご報告まで」は、一般的には目上の人に対して使用しない言葉です。しかし前後の文章によっては使える場合もあります。

たとえば、終了した仕事の結果を上司に知らせる場合、上司からその報告に対して返信がほしいのか、それともお知らせとして報告を受けてもらうだけで返信不要なのかをメールの文中で明記しておくことが大切です。

返信がほしいなら「ご確認よろしくお願いいたします」などの丁寧な言葉を文末に付けておきます。返信不要なら文末に「返信不要です」と付け加えておくと、ぶっきらぼうな印象を薄めることができます。


注意点③ 「取り急ぎご報告まで」は親しい間柄の人のみ使用する

取り急ぎご報告までは仲の良い上司や取引先にのみ使う

短く言い切る「ご報告まで」という言葉は、敬語ではありますが冷たい印象を与えかねません

そのため、「取り急ぎ」という言葉を頭に付けて、迅速に処理しているニュアンスを出す言葉のテンプレートになっているケースが多いです。しかし、「取り急ぎ」という言葉に含まれているのは「現段階ではこうですよ」という意味合いです。

整理や分析が完了した最終的な報告ではないことを伝えているわけですから、至急の場合であっても目上の人や社外の人に対しては使いません。同僚など、親しい間柄である人だけに使うようにしましょう。


注意点④ 後から詳しい内容を明記したメールを送る

「ご報告まで」を使うのは、現段階での簡易的なお知らせをする場合です。つまり、見通しのついた内容をひとまず伝え、最終的な結果は今後伝えるというニュアンスが含まれています。

「ご報告まで」という言葉で相手に内容を伝える場合は、後日詳しい内容をあらためて知らせることが必要です

そのため、「ご報告まで」の後に「最終的な結果が分かり次第追って報告いたします」といった文章を文末に追加しておき、結果がまとまり次第最終的なお知らせを行うようにしましょう。


「ご報告まで」の使い方・例文とは?

ご報告までの使い方
  • ××の件で全体会議にて決定しました内容はこちらです。メールにて失礼ながら取り急ぎご報告まで
  • 〇〇の金額につきましてまずはご報告まで、追って詳細を分かり次第連絡いたします。
  • 私事ではございますがこの度結婚いたしました、まずはご報告まで
  • 先日ご注文いただいておりました商品のサンプルが弊社に届いております。取り急ぎご報告まで、ご確認よろしくお願いいたします。
  • 〇月に応募いただいた△△コンテストで入賞された旨、取り急ぎご報告まで
  • 先週の打ち合わせで決まった内容について取り急ぎご報告まで。追って議事録を添付します。

「ご報告まで」を使うのは、基本的に急いで内容を相手に知らせる場合です。最終的な内容ではないものの、ひとまず上司や取引先に今の段階で分かっている結果を伝えておきたい時に使います

速やかに伝えることが前提ですから、お知らせとして内容だけを簡潔に挙げていくのがポイントです。特にさっと目を通すことが多いメールで知らせる場合は、「ご報告まで」の後に長々と説明することは避けて返信不要とし、後であらためて詳しい内容を伝えます

「追ってご連絡いたします」といった言葉を文末に追加しておくと「ご報告まで」のそっけなさがやわらぎ、丁寧な印象を与えられます

【「例文」で使われている敬語一覧】
「弊社」と「当社」の使い分け方を例文付きで分かりやすく解説します

「よろしくお願いいたします」を使った丁寧な例文とは?言い換えできる類語まで解説


「ご報告まで。」よりも丁寧な言い換え表現

丁寧な言い換え①「ご報告申し上げます」の使い方

ご報告申し上げますの意味

報告という言葉を丁寧に表現した敬語が「ご報告」です。

この「ご報告」に、謙譲語である「申し上げます」を付け加えることで、さらに相手に対して丁寧な表現になります。

上司などの目上の人や取引先などの社外の人に対して自分がへりくだり、尊敬の念を含めながら伝える気持ちが表現できます。言い切りの形になる「ご報告まで」よりはずいぶん丁寧なニュアンスが強くなるでしょう。

「ご報告申し上げます」の例文

  • 〇〇プロジェクトの結果につきまして、下記の通りご報告申し上げます
  • 先日お問合せいただいておりましたご注文商品の仕様につきましてご報告申し上げますので、ご確認くださいませ。返信不要でございます。
  • 先月開始したセールの売り上げ状況をご報告申し上げます

丁寧な言い換え②「ご報告させていただきます」の使い方

ご報告させていただきますの意味や使い方

敬語である「ご報告」に「させていただきます」という言葉を付け加えて、丁寧さを高めた表現のテンプレートとして認知されている言葉です。

「させていただきます」は、自分の発言や行動に対して相手から許可をもらう、承諾してもらうニュアンスが込められた文末表現です。上司や取引先など、社内や社外の目上の人に対する尊敬の気持ちを持ちながら、自分の言動について伝える場合に使います。

「ご報告させていただきます」の例文

  • 先月入籍いたしました。メールにて恐縮ながら、ひとまずご報告させていただきます
  • 誠に勝手ながら、棚卸のため□月□日は臨時休業する旨取り急ぎご報告させていただきます
  • 〇〇の入荷日が天候不順のため2日遅延する旨、取り急ぎご報告させていただきます。

丁寧な言い換え③「ご報告いたします」の使い方

ご報告いたしますの意味や使い方

「ご報告いたします」は、報告の丁寧語である「ご報告」に「いたします」という敬語を付け加え、丁寧さの中にも迅速さを重視した表現のテンプレートの1つです。

「いたします」は、自分の行動について伝える「~する」を丁寧に表した文末表現で、返信不要の内容を知らせる際に使うことも多いでしょう。

「~させていただきます」よりは簡潔な表現ですが、ビジネスの場ではスピーディーさを求められる場面も多いため、社内でも社外でもメールで多用されている表現と言えるでしょう

「ご報告いたします」の例文

  • 先日のクレーム対応について対応の結果をひとまずメールにてご報告いたします
  • 新商品開発の進捗状況につきまして、次の通りご報告いたします
  • ××株式会社から先週提出された資料の分析結果をご報告いたします

「ご報告まで」の英語表現

ご連絡差し上げるの英語表現
  • I am reporting.(ご報告いたします)
  • The above was just a quick report. (取り急ぎご報告まで)
  • I report that result.(その結果をお知らせします)
  • I'll report as soon as I know(結果が分かり次第ご報告いたします)
  • I will give a report on today's results. (本日の結果についてご報告いたします)
  • I will report my main plans for the week. (今週の主な予定をお知らせいたします)

単に結果を伝えるだけの場合であれば「I am reporting.」という英語表現が一般的です

敬語表現がない英語では、こうした簡潔な形で知らせることが多いです。しかし、ビジネスの場では「The above was just a quick report.」という英語表現も多用されます。

内容の深さよりも、まず状況をすばやく伝えなければならない場合が少なくないからです。


「ご報告まで」は、失礼にならないよう丁寧に伝えよう!

「ご報告まで」は、「ご報告します」という言葉を短くしたビジネス的な表現です。自分から見て目下の人や同じ立場の人とのやりとりであれば使っても問題ありません。

しかし、たとえ親しくても上司や取引先など目上の人へ使うのはできるだけ避けます。報告する相手が自分にとってどういう立場の人なのかを考慮した上で、注意しながら使うようにしましょう。

【参考記事】「お手数おかけします」の使い方を例文付き解説します

【参考記事】「了解」の使い方ガイド。目上に使える敬語表現も徹底解説

【参考記事】「痛み入ります」ってどんな時に使えばいいの?

よく一緒に読まれる記事

関連する記事