"取り急ぎ"の意味/使い方とは?類語&目上への例文集|ビジネス敬語ガイド
「取り急ぎ」の意味とは?
「取り急ぎ」とは、「とりあえず急いで」という意味を持つ敬語の表現です。「取り急ぐ」という、「急ぐ」をさらに意味を強めて、とても急いでいる様子を伝えるフレーズとなっています。
本来は、じっくりと検討して、深い内容の返信をするべきである場合に、まず、取り扱っているということを伝えて相手に安心してもらうために送るメッセージなどによく使われます。
こちらの返信による回答を待っている状況の相手のかたに対してとても深い敬意を示し、現状の段階での進捗状況を知らせるというのが一般的な「取り急ぎ」の使い方となります。
ビジネスシーンにおける「取り急ぎ」の正しい使い方
「取り急ぎ」を使うタイミングは、基本的に急用がある時に使用します。そのため、急いでいない時は使えません。したがって、「取り急ぎ」を使用する際は、本当に緊急性が高いときだけにしましょう。
また、自分が急な報告をしたい時は目上の方に使用できますが、反対に相手を催促するのは失礼にあたるため控えた方が無難です。
他にも「取り急ぎ、〇〇まで」といった定例文もあるため、覚えておくといざという時に役立ちますよ。
「取り急ぎ、◯◯まで」の例一覧
- 取り急ぎお礼まで
- 取り急ぎご連絡まで
- 取り急ぎご報告まで
- 取り急ぎご一報まで
- 取り急ぎご確認まで
- 取り急ぎご返事まで
「取り急ぎ」の使い方の注意点とは?
取り急ぎの注意点① 目上には基本的に使えない
基本的に「取り急ぎ」は目上の方に使用できません。ただし、「取り急ぎ、○○まで」といった定例文は、急用の時は使用できます。
反対に、相手へ使ってしまうと目上の方に「急いで」と言うのと同義になってしまうため、基本的には目上の方に使わない表現と言えます。
取り急ぎの注意点② 必ず詳しい内容を後で送る
「取り急ぎ」は緊急性が高い内容なため、不確定ながら現状の報告や連絡をする際に使用します。したがって、一段落して全ての進捗が把握できたら、しっかりと後で詳細を報告する必要があります。
これはメールや対面どちらにも共通することなので、最初にざっくりと起こっている用件だけを話し、後にしっかりと状況説明をすることを忘れずに行いましょう!
取り急ぎの注意点③ 緊急性の高い内容のみ送る
「取り急ぎ」という表現を、何かを急いでしてほしい意味の言葉です。したがって、使用する際は本当に緊急性の高いときだけにしましょう。
相手も急ぎだと分かって取り合ってくれるため、急ぎではない案件を述べてしまうと「急いで損した」と信頼を失う恐れも。したがって、くれぐれも注意して使うようにしましょう。
取り急ぎの注意点④ 「取り急ぎ〇〇まで」の後は丁寧にする。
ビジネスでのやり取りのフレーズとして、「取り急ぎ○○まで」という表現を使うケースがあります。これは、文の途中で省略した形になっているため、敬語の表現になっておらず、とても失礼な言い方になっています。
「取り急ぎ」メール自体が、本来必要としている回答ではない連絡であるのに、表現が失礼な書き方になっているなら、とても気分を害してしまうことでしょう。ビジネスで「取り急ぎ」を使う場合は、その文章を丁寧にするように心がけるようにしましょう。
ビジネスシーンでそのまま使える「取り急ぎ」を使った丁寧な例文
【取り急ぎの使い方】取り急ぎご連絡まで
- ご発注をまことにありがとうございます。取り急ぎ感謝のご連絡をお送りいたします。
- キャンセルのご連絡を承りました。取り急ぎのご連絡にて失礼いたします。
- お問い合わせをありがとうございました。ただいま、在庫を調査しておりますため、取り急ぎご連絡を差し上げます。
- 問い合わせておりました商品の件ですが、こちらで解決いたしました。取り急ぎご連絡いたします。
- お問い合わせの件について、社内で検討しております。明日の午前中に回答をお送りできると思います。取り急ぎご連絡いたします。
ビジネスで「取り急ぎご連絡まで」というフレーズを使うのは、相手の方から連絡をもらって、返信をする必要があるが、今すぐには完全な回答を送ることができないという際の使い方となることがほとんどです。
この文言のメールや手紙を送る意味は、正式な返信をしようと思って精査しているということを前もって知らせておくことです。これによって、本当に返信をもらえるのかどうかという心配をしなくても済むようになることでしょう。
【「例文」で使われている敬語】
・謙譲語「承る」の意味/使い方。類語&"受け賜る"の違い|ビジネス敬語ガイド
【取り急ぎの使い方】取り急ぎご報告まで
- ご指示いただいた、先方への連絡が完了いたしました。取り急ぎご報告いたします。
- 会議室の予約が取れました。取り急ぎご報告しておきます。
- 入札の結果、当選いたしました。取り急ぎご報告を差し上げます。追って詳しくご連絡させていただきます。
- 検査の結果、入院することになりました。取り急ぎご報告いたします。詳細の日程が決まりましたら、ご連絡いたします。
- 現地に到着いたしました。交渉を進めておきます。取り急ぎご報告しておきます。
ビジネスで「取り急ぎご連絡まで」というニュアンスのフレーズの使い方は、こちらの進捗状態を、遠隔にいる目上の方などの相手に伝えるというときに便利です。
「取り急ぎご報告まで」と送っておくことによって、こちらの活動状況をつぶさに知っておいてもらえるという意味があります。報告を逐一伝えるということをとても大切にするという現場や上司の方針がある場合になどには、さらによく活用されるビジネス敬語フレーズとなります。
気をつけておいて!「取り急ぎお礼まで」まではNG。
「取り急ぎ」のフレーズを、お礼の挨拶を述べるときに使うのは、とても失礼な挨拶なため使用は控えましょう。
急いでお礼を伝えるとよいだろうという意図があるものの、このメールや手紙を受け取った相手からは、お礼のための返信を簡略に扱われたと感じられてしまい、印象がよくありません。
目上の相手の方に対してお礼の連絡をするなら、急いでするのではなく、正式にお礼や感謝の言葉を含めた丁寧な手紙やメールなどを送るようにしましょう。
「取り急ぎお礼まで申し上げます」も失礼なため控える
「取り急ぎお礼まで申しあげます」というフレーズも、「取り急ぎお礼まで」と同様で、礼を簡略に扱っているというイメージを強く伝えてしまうため、避けるようにしましょう。
言い回しが「取り急ぎお礼まで」より丁寧になっていますが、「取り急ぎ」は、お礼の手紙にはふさわしい表現とはいえないことを覚えておく必要があります。何のためのお礼を伝えようとしているのかを明記した手紙やメールに、「取り急ぎ」を含めずに、「お礼申し上げます」というフレーズなどで、感謝を伝えるとよいでしょう。
「取り急ぎ」と言い換えできる類語一覧
取り急ぎの類語① まずは
ビジネスでの使い方ができる類語表現として、「まずは」というフレーズがあります。「まずは」ということによって、連絡の次の段階があることが明確になっているので、目上の方への連絡の際にも使うことができる敬語フレーズといえます。
「取り急ぎ」よりも、急いで簡略に扱っているニュアンスが少なく、より印象よく受け取ってもらえます。言葉の意味としては「取り急ぎ」とそんなに変わりません。例文シチュエーションも「取り急ぎ」と同様の使い方ができます。
「まずは、」の使い方
- お問い合わせをありがとうございました。弊社でお調べしてご回答いたします。まずは、ご連絡を差し上げます。
- ご入金をありがとうございました。まずは、注文確定のご連絡を申し上げます。
- ご注文を承りました。まずはご連絡のみにて失礼いたします。
取り急ぎの類語② 略儀ながら
類語表現「略儀ながら」もビジネスでの使い方ができるフレーズです。「略儀」は、省略や正式ではないという意味があります。
「ながら」には、「しかしながら」のような、2つの相反する文をつなげるときに使う言葉です。「略式ながら」というフレーズによって、本来は正式な方法でお伝えしなければならないことをわかっているが、とりあえず急いで簡略な形で伝えることにしたというニュアンスを伝えます。
「略儀ながら」は、メールや手紙でのみ使用するため、使い方にも注意しましょう。
「略儀ながら」の使い方
- 略儀ながら、メールにてご挨拶を申し上げます。
- たいへん結構な贈り物をいただきました。略儀ながら、書中にて御礼のご挨拶を申し上げます。
- 略儀ながら、まずは、メールを持ちまして、ご挨拶をお伝え申し上げます。
取り急ぎの類語③ 大至急
「大至急」は、急いで取り扱ってほしいことがある場合に、使われる表現です。「取り急ぎ」も、相手に急いでほしいというときに使うことがあります。
例文としては、「取り急ぎ商品カタログをお送りください」のような使い方です。この場合、「大至急」という表現は、「取り急ぎ」の類語として、同じ意味で伝えることができます。
また、「大至急」という表現には、最大級レベルで急いで扱ってほしいというニュアンスも強く伝わり、命令的な言い回しとなってしまいます。目上の方に使うことは避けましょう。
「大至急」の使い方
- 問い合わせをいただいているお客さんに大至急で、商品カタログを送ってください。
- 次回の会議の日程について大至急連絡をしてください。
- 送付中の破損でご迷惑をおかけしています。大至急で、代替の商品を手配してお送りいたします。
取り急ぎの類語④ 第一に
ビジネスシーンにおいてあまり使用されない表現ですが、「第一に」という類語もあります。言葉の通り、「最初に」や「一番目に」という意味があり、「取り急ぎ」とは少し違ったニュアンスを伝えます。
例文としては、お礼を伝える連絡の際に、感謝の意を強く伝えたいという場合に、「第一に」というフレーズを加えることができます。とりあえず急いでお礼だけを伝えたいという思いが伝わります。
その後に、「第二」の連絡、つまり、さらに丁寧に、第一の連絡を補完するものを送ることも忘れないようにしましょう。
「第一に」の使い方
- 贈り物をありがとうございました。まず第一に、お礼を申し上げます。
- ご成約に心から感謝を申し上げます。第一に、お礼までをお伝えしたく、略儀ながらメールにてご挨拶を申し上げます。
- 第一に、不具合発生のご連絡を差し上げます。
取り急ぎの類語⑤ 一刻も早く
「一刻も早く」というフレーズはビジネス敬語としての使い方はできません。「一刻」とは、わずかな時間の意味です。そのわずかな時間を争うように早くする、つまり、なるべく可能な限り早くすることがこの言葉の伝えるニュアンスです。
相手に何かを依頼する際に、この表現を使うなら、かなり強要する意味になってしまいかねません。「取り急ぎ」も上司や目上の方に使うのは避けた方がよいですが、「一刻も早く」は、さらに避けるべきワードです。
「一刻も早く」の使い方
- 一刻も早く、クライアントの要望に応えられるシステムに改修しなければなりません。
- 一刻も早く、お会いできることを楽しみにしています。
- 一刻も早く、改善案の提案を提出してくださるようにお願い申し上げます。
【「例文」で使われる敬語】
・「お願い申し上げます」の使い方を例文付きで分かりやすく解説!
「取り急ぎ」の英語表現
- This is just a quick note.(取り急ぎ、ご連絡いたします。)
- I will send that in haste.(取り急ぎ、お送りいたします。)
- Please allow me to contact you again at a later date.(取り急ぎ、お礼まで)
- This is just a quick note to say hello to you.(取り急ぎ、お見舞いを申し上げます。)
- This is a quick note to thank you for your gift.(贈り物をありがとうございました。取り急ぎ、お礼まで)
- This is a quick note to report the current status of our investigation.(取り急ぎ、現在の状況をご報告いたします。)
英語での「取り急ぎ」を伝える敬語表現は、「This is a quick note」という言い方です。
直訳的には、「これは、簡単に記したものです」というニュアンスの文です。
また、「Please allow me tu contact you again」という表現でも取り急ぎの連絡であることを伝えられます。直訳的には、また連絡させてくださいという意味ですから、必ず再度連絡するようにしましょう。
「取り急ぎ」は、使い方にくれぐれも注意しましょう!
ビジネスで使える「取り急ぎ」を伝える正しい敬語表現の使い方をマスターしましょう。
敬語の表現で「とりあえず」な状況を説明できることによって、相手の信頼をさらに勝ち得ることができるはず。
英語でも微妙なニュアンスを正しく表現した敬語の使い方を習得するなら、新たなビジネスのチャンスも増えることでしょう。
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