"ご入用"の意味とは?使い方&言い換えできる類語付き【ビジネス敬語ガイド】
「ご入用」の意味とは?
「入用」とは、何かの用事を足すのに必要なこと、または費用や資金、経費を指す言葉です。
ビジネスシーンで使う、入用に敬語表現である接頭語「ご」を付けた「ご入用」は、目下の人が目上の人に対して使用する謙譲語の表現です。用事を足すために必要なものがあるかを伺えます。
さらに、目上の人の用事に対して「自分は必要でしょうか」といった意味でも使用可能。そのため、「ご入用でしょうか」といえば、「自分で役に立つことがあれば、ぜひ言ってください」と、何かできることはあるかを伺う表現となります。
「ご入用」は、上司など目上の人に使えるのか?
「ご入用」は、目下の人が目上の人に対して、自分の立場を下げて相手の敬意を表す謙譲語です。そのため、「ご入用」は目上の人に対して、口頭やメールで使用できます。
「ご入用」の対象が目上の人が必要としているものを指す場合は、「ご入用」を使用しますが、逆に「ご入用」の対象は自分、または自分たちが必要としているものをさす場合は、敬語の接頭語「ご」を取って「入用」と表現するのが一般的です。
例えば、レシートを求めているのが目上の人の場合「レシートはご入用でしょうか?」と使います。一方で、レシートを求めているのが自分の場合の表現は「レシートが入用になりました」です。
「ご入用」の正しい使い方
ビジネスシーンにおける「ご入用」の使われ方は主に3つ。ひとつが「ご入用の際は~」、ふたつめが「ご入用でしたら、~」、最後が「ご入用ですか?」です。
とても似ている表現ですが、口語やメールか、タイミングやシーンによって「ご入用」の含む意味や使い方が異なってくるため、間違って使ってしまうと、相手に失礼な印象を与えてしまう可能性もあります。
そこでここからは、「ご入用」を使った主な3つの表現が、どんなビジネスのタイミングで使われるのか、正しい使い方とともに解説していきます。
- ご入用の際は、〜
- ご入用でしたら、〜
- ご入用ですか?
ご入用の使い方① ご入用の際は、〜
「ご入用の際は、~」とは、相手が自分に対して「何か必要なものがあるときには~」の意味があります。
ビジネス上では、「ご入用の際には、ぜひ私にお声がけください」と使われ、「何か必要がものがあれば、またはお力になれることがあれば、ぜひ声をかけてくださいね」という意味になり、取引先への営業活動などにも活用される表現です。
また、相手が「ご入用になった時」を指すため、これから先のことに対しても使われます。
ご入用の使い方② ご入用でしたら、〜
「ご入用でしたら、~」とは、もしも相手が何か必要になったときを想定して使う敬語表現です。
「ご入用でしたら」と現在またはこの先起きていることに対して使われるため、目上の人が自分に対して何かを求める可能性があるときに、あらかじめ「ご入用でしたら、お気兼ねなくお申し付けください」と声をかけたいときに使われます。
ご入用の使い方③ ご入用ですか?
「ご入用ですか?」とは、相手が自分に対して何か必要なものはあるか、自分で役に立てることはあるか伺う時に使う敬語表現です。
部下が上司に対して「ご入用ですか?」と伺えば「何か必要なものはありますか?」「自分でよければお役に立ちたいのですが何かすべきですか?」という意味になります。
また、お客様に対して「ご入用ですか?」と伺うと「何かご注文やご要望はありますか?」という使い方になります。
「ご入用」を使った丁寧な例文一覧
- ご入用の際には、ぜひ弊社にお声がけください。
- ご入用の際には、またいつでも連絡の上でご利用いただけます。
- ご入用の品がありましたら、ご用意させていただきますのでお申し付けください。
- ご入用でしたら、こちらのブザーをお使いください。
- またご入用の際には、いつでもお力添えいたします。
- レシートはご入用でしょうか?
- ご入用はございますか、何なりとお申しつけください。
「ご入用の際には、ぜひ~」は相手に対して、今後自分や自分の会社の力が必要になった時にはぜひ声をかけて欲しい、という状況に対して有効なフレーズです。
この時の「ご入用」とは、相手が自分の会社の力、つまり事業やサービス、商品が必要になったときを指すため、ビジネスの営業活動でのフレーズとして活用されます。
「ご入用でしたら」または「ご入用の○○がありましたら」は、これから相手が何か必要になる可能性を踏まえて声がけする時の表現です。
例文の「レシートはご入用でしょうか」は、レシートは必要かの確認、「ご入用はございますか」は、自分で何か役に立てることはあるか、必要なものはあるか相手に対して伺う意味を持ちます。
【「例文」で使われる敬語】
・「弊社」と「当社」の使い分け方|ビジネスシーン別に使える敬語を解説!
「ご入用」と「ご用命」との違いとは?
「ご入用」と似たフレーズに類語の「ご用命」があります。
類語「用命」とは、「用事を申し付けること」。用命に敬語の接頭語である「ご」をつけた「ご用命」は、目下の人が自分を下げて相手に敬意を表す、謙譲語表現です。
「入用」は名詞であるのに対し、「用命」は動名詞のため、「ご用命ください」と言います。目下の人が目上の人に対して「用事があれば申し付けて下さい」と伺うときには、「何かございましたら、いつでもご用命ください」の使い方をします。
また、例文として「ご用命の品」とすれば、「相手に用意するように命じられた品物」を表現できます。口頭のほかメールでも使用可能な言い回しです。
「ご用命」を使った例文とは?
- 今後ともお客様の役に立つサービスを展開して参りますので、いつでも当店にご用命ください。
- ご用命を賜りたく、お願い申し上げます。
- いつもお世話になっております。本日はかねてよりご用命のお品を届けに参りました。
【参考記事】「ご用命」の意味から正しい使い方までをまとめました▽
「ご入用ですか?」への正しい返事の仕方
自分が目上の人に対して使用する以外にも、誰かから「ご入用ですか?」と聞かれることがあります。
「ご入用ですか?」は、メールなどのビジネスシーンだけでなく、店舗や飲食店など、日常生活の中でも多く使われるフレーズです。自分が正しく使えるだけでなく、正しく返事を返すのもビジネスマンとしては必要です。
もしも「ご入用ですか?」と聞かれたときの正しい返事の仕方を、入用である場合、入用でない場合のシチュエーション別に例文を紹介していきます。
例文を参考にして「ご入用ですか?」と聞かれた時にも、スマートに返せるようになるために参考にしてくださいね。
「ご入用ですか?」に肯定する場合の返事の仕方
- よろしくお願いします。(もの- 助力の申し出に対して)
- ありがとうございます、いただきます。(ものが必要かの申し出に対して)
- ぜひ力を貸してください。(助力が必要かの申し出に対して)
- 助かります、ありがとうございます。(もの- 助力の申し出に対して)
「ご入用ですか?」に否定する場合の返事の仕方
- 必要ありません。(申し出がしつこい時など、しっかり断りたい時)
- 結構です。(入用ではない時)
- 今は必要ありませんが、また必要になったら声をかけます。(相手の声がけに対して、またあとで必要になるかもしれないという気配りの気持ちを込めて断る時)
- お心遣いは嬉しいのですが、遠慮しておきます。(相手の申し出に対して感謝しつつ、必要でないことを断るとき)
【「例文」で使われる敬語】
・「結構です」の使い方|言い換えできる類語から例文まで解説します
・「お心遣い」の使い方ガイド。ビジネスで使える例文まで解説!
「ご入用」と言い換えできる類語一覧
ご入用の類語① ご利用
「利用」とは、ものや事柄の役割を上手に使い役立てること、という意味があります。また、「関係者の立場を利用する」など、否定的な意味で便宜や目的を達成するために悪用する、の意味でも使える敬語です。
敬語の接頭語「ご」を付けて「ご利用」とすれば、目上の人に対して使用する謙譲語表現です。「ご入用」は必要であるかを聞くときの例文として「箸はご入用ですか?」という使い方をします。
一方で「ご利用」を同じシチュエーションで使うなら「宜しかったら箸をご利用ください」という使い方をします。「箸は必要か?」と聞くときに「箸はご利用ですか?」という使い方をする場合がありますが、これは「普段箸を利用していますか?」という意味のため誤用です。
ご入用の類語② ご所望
「所望」とは「望む事柄やもの」の意味を持ちます。
ビジネスシーンでは、主に目上の人の望む事柄や物に対して使用されますが、元々は「所望」自体が敬語ではなく名詞のため、必ず目上の人に対して使う時には、敬語表現の接頭語をつけて「ご所望」と使いましょう。
「ご入用」が必要なものや助力を指すのに対して、「ご所望」は相手が望んでいる事柄やものを指します。
さらに、「ご所望の物がありましたらお申し付けください」や「○○様が××をご所望です」など、相手が望んでいる事柄が具体的に分かっている時に使用可能です。
ご入用の類語③ ご要望
「要望」の意味は「実現を強く期待する事柄やもの」です。
敬語表現である「ご要望」は、「ご入用」と比較すると「ご入用」は具体的な望んでいる事柄やものが分かっている時に、対して「ご要望」は相手の要求や望みがはっきりしていない時に使われます。
ビジネスシーンでは、目上の人の要求や期待している望みを表現可能。具体的な使い方は「ご要望に応えられるように努めます」「○○様のご要望に沿えず申し訳ありません」などと使用されます。
ご入用の類語④ ご費用
「費用」の意味は、事柄や目的を達成させるために必要なお金です。
敬語の接頭語をつけた「ご費用」は、目上の人に対して金額を伺う時や、具体的なお金の金額を提示する際に使用できます。「ご入用」も、ある事柄や目的を達成させるために必要なものや助力を指します。
ただし、「ご費用」の場合は、事項や目的のために必要な「お金の金額」と限定した使い方をしましょう。「ご入用」の事柄や助力の一部に、お金である「ご費用」が含まれる、という状況もあり得るからです。
ご入用の類語⑤ ご必要
「必要」の意味はなくてはならないものや、どうしてもしなければいけない事柄です。
例えば「登山に必要な用具」なら、登山をするためになくてはならない用具を指します。敬語表現の接頭語「ご」を付ければ、目上の人が何かを必要としている状況を踏まえて「ご必要」という使い方をします。
「ご入用」は、何かを成し遂げるために必要な事柄自体ですが、「ご必要」は、相手が何かを必要としている状況を指し、「ご必要に応じて対処いたします」などの使い方をします。
「ご入用」の英語表現
- want(動詞。人が主語の場合の入用や所望している、要望している)
- need(動詞。人のほか物も主語として使用可能、必要としている、というニュアンス)
- indispensable(needよりも更に強い表現。絶対に必要な、なくてはならない、欠かせない、避けられない事柄に対して使う)
- needed(形容詞。Needed somethingで「入用なもの」)
- necessary(名詞。「入用なもの」)
- needful(neededよりも形式ばった使い方「欠かすべからず」)
ビジネスシーンで「ご入用」の用法で最も多く使われる英語が”need”です。ほかにも、英語”When do you need it by?”「いつまでにご入用ですか?」
また、こちらが何かの役に立ちたい気持ちを込めて目上の人に対して「ご入用ですか?」と聞く時は英語の”Can I help you?”や”May I help you?”が使われ、英語でも複数の表現があります。
「ご入用」の正しい使い方をマスターしましょう。
「ご入用」の正しい使い方と類語表現、英語表現についてご紹介しました。何かを求めている目上の人に対して、または自分が役に立ちたいと思った時に、正しく「ご入用」が使えるようになれば、ビジネスマンとして良い印象が与えられます。
また、相手から「ご入用ですか?」と聞かれたときも、正しく返事をしてスマートな対応ができるようにしましょう。
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