"幸いに存じます"の意味/使い方。例文&言い換え類語|ビジネス敬語ガイド
「幸いに存じます」の意味とは?
「幸いに存じます」とは、「そうしていただければありがたく思います」という意味を持つ丁寧な表現です。
「幸い」は望ましい状態を意味しますが、「幸いに」という形で使うときは、相手に「そうしていただければ私は幸せです・嬉しいです」とお願いする気持ちを表します。
「存じます」は「思います」の敬語表現。「存じる」は「思う」「知る」の謙譲語なので、相手に対して敬意を表すときに使います。ビジネスシーンでの会話や文書・メールでは「思う」という意味で使われることが多いでしょう。
そこに丁寧語の「ます」がついて、「存じます」は「~だと思います」という意味になります。
「幸いに存じます」の使い方とは?
「幸いに存じます」は、相手に依頼するときや、自分の要望・願望を伝えるときなどビジネスシーンで使われることが多い敬語表現です。
上司などに出欠確認を依頼したいときに「出欠の確認をお知らせいただければ幸いに存じます」、取引先などの相手にとって参考になりそうな資料を送るときに「お役立ていただければ幸いに存じます」などといった使い方をします。
なお、相手に依頼をする場合、この文章だけだと「必ずしてください」というニュアンスが伝わりにくいので、必ずしてほしいことを依頼する場合は提出期限なども示すといいでしょう。
「幸いに存じます」は、目上の人に使える敬語なのか?
先に述べたように「存じます」は謙譲語であり、謙譲語はへりくだって相手に敬意を表すときに用いる敬語表現のひとつ。
「~していただけると助かります」といったニュアンスがあり、一般的に「幸いに存じます」は目上の人に使う表現です。ビジネスシーンなら上司や先輩のほか、取引先やお客様に対して使いましょう。逆に、自分と対等な立場にある人間や、部下や後輩などの目下の人には使わないようにしてください。
目上の人以外に対して、何かを依頼するときは「幸いです」を使います。逆に「幸いです」を上司や先輩、取引先の方などに使うと、少しくだけた印象を与えてしまい、失礼に当たるので注意しましょう。
「幸いに存じます」は、「幸いです」よりも丁寧?
「幸いです」だけで「そうしていただけると幸せです・嬉しいです」という意味があるので、ビジネスシーンであっても対等な立場や目下の人に何かを依頼したり、自分の願望を示したりするときは「幸いです」だけで十分です。
謙譲語の「存じる」をつけると、へりくだった表現になるので丁寧な言い回しになり、「幸いです」よりも柔らかくかしこまった印象を相手に与えることができます。
目上の人には「幸いです」は使わず、「幸いに存じます」を使うのが一般的ですが、取引先やお客様に対して「幸いです」という意味の表現を用いたいときも、「幸いに存じます」を使うことをおすすめします。
「幸いに存じます。」を使ったビジネスメールの例文
- ご高覧いただければ幸いに存じます。
- ご連絡くださると幸いに存じます。
- ご確認くださいますと幸いに存じます。
- ご採用いただけましたら幸いに存じます。
- ぜひご参列いただけましたら幸いに存じます。
- 何かのお役に立てば幸いに存じます。
- ご都合をご連絡いただけますと幸いに存じます。
- 疑問等ございましたら、弊社にお問い合わせいただければ幸いに存じます。
- 現在、検討中です。しばらくお待ちいただけましたら幸いに存じます。
- つまらないものですが、お使いいただけますと幸いに存じます。
話し言葉以外に、ビジネス文書やメールで相手に資料の内容を見てほしいときや返事がほしいときに使われます。
「幸いに存じます」の前には依頼や要望の内容を入れ、条件・仮定の意味を持つ接続助詞「ば」をつけ、「幸いに存じます」に続けるのが一般的。依頼や要望を示す内容にも「~していただく」「~くださる」といった謙譲語を含めることが多いです。
また、お客様からの問合せに応える際にも使います。「しばらくお待ちいただけましたら幸いに存じます」には「待っていただけると助かります」というニュアンスが含まれ、「しばらくお待ちください」よりも柔らかな印象を与えられますよ。
ほかには、贈り物などをする際に「使ってもらえると嬉しいです」といったニュアンスを表すときにも便利です。
【「例文」で使われている敬語】
・「ご確認ください」の使い方|目上の人にも使える例文まで徹底解説!
・「弊社」と「当社」の使い分け|取引先とのアポで使うのはどっち?
「幸いに存じます」と言い換えできる類語一覧
「幸いに存じます」を含め、感謝を表す敬語は多数存在しています。
ここから、「幸いに存じます」と言い換えできる類語を解説。
- 幸甚に存じます
- ありがたく存じます
- 嬉しく存じます
- 光栄に存じます
- 喜ばしく思います
各類語の使い方、例文までこの機会にチェックしていきましょう。
幸いに存じますの類語① 幸甚に存じます
「幸甚」とは「このうえなく幸せです」という意味ですが、「~してもらえるととても嬉しい」というニュアンスもあります。
先ほど見た「幸い」を「幸いに」で使う場合にも「~してもらえると嬉しい」という意味があり、「幸いに存じます」の言い換え表現といえます。
「幸甚に存じます」は謙譲語「存じる」を含んでいるので、目上の人に対して使うことができますが、耳ざわりが固い印象を受けるかもしれません。会話の中でよりも、メールや文書で使うことをおすすめします。
「幸甚に存じます」の使い方
- ご教示いただけますと幸甚に存じます。
- ○○日までにご確認いただけましたら幸甚に存じます。
- ご出席いただけたら幸甚に存じます。
幸いに存じますの類語② ありがたく存じます
「ありがたく存じます」は「ありがたく思います」の意味を持つ敬語表現です。
「存じます」の「存じる」は「思う」「知る」の謙譲語です。謙譲語は相手に敬意を表する敬語表現なので、「ありがたく存じます」は上司や先輩など目上の人に対して使えます。
「幸いに存じます」と同じように、依頼や要望に関する表現と一緒に使うことで、「~してくれると助かります」「~してくれるとありがたいです」といった意味になり、「幸いに存じます」の言い換え表現として使えます。
また、「ありがたく存じます」は依頼や願望だけでなく、相手からすでに受けた行為に対して感謝の意を表す時にも使われます。
「ありがたく存じます」の使い方
- 今度の新しいプロジェクトの件、前向きに考えていただければありがたく存じます。
- 急な申し出にもかかわらず、迅速にご対応いただきありがたく存じます。
- このたびの展示会へのお誘い、誠にありがたく存じます。
幸いに存じますの類語③ 嬉しく存じます
喜びを表現したいときに使う「嬉しい」ですが、ビジネスシーンで「嬉しいです」という言葉は稚拙な感じを受けてしまい、ふさわしくありません。
謙譲語の「存じる」+丁寧語の「です」を加えると「うれしく存じます」となり、目上の人にも使える表現になります。
「うれしく存じます」も「ありがたく存じます」と同様、「幸いに存じます」の言い換え表現として依頼や願望を表す使い方と、相手から受けた行為に対して嬉しさを表す使い方が可能です。
「嬉しく存じます」の使い方
- このようなすばらしい物をいただき、細やかなお心遣い嬉しく存じます。
- このたびはお目にかかれて嬉しく存じます。よろしくお願いします。
- 今回のプロジェクトで、私どもが御社のお力になれれば大変嬉しく存じます。
幸いに存じますの類語④ 光栄に存じます
「光栄」とは、名誉に思う気持ちのこと。業績を評価されたり、重要な仕事を任されたりして名誉に感じている状況で「身に余る光栄です」「光栄の至りです」などと使います。
ビジネスシーンなどの改まった場所で上司などに対して使う場合、謙譲語の「存じる」+丁寧語の「ます」を後ろに加え、「光栄に存じます」というかたちにするのがふさわしいでしょう。
「幸いに存じます」や「ありがたく存じます」とは異なり、この表現は自分が評価されたときに使うのが一般的。依頼や感謝を表すニュアンスはないので注意してください。
「光栄に存じます」の使い方
- 昨年の業績について、社長よりお褒めの言葉をいただき大変光栄に存じます。
- このようなすばらしい賞をいただくことができ、光栄に存じます。
- 今回のプロジェクトではリーダーの大役を仰せつかり、光栄に存じます。
【参考記事】「光栄です」の使い方を例文付きで解説▽
幸いに存じますの類語⑤ 喜ばしく思います
会話や文書・メールを問わず、ビジネスシーンで嬉しさを表現するとき、または目上の人に伝えるときに「嬉しいです」という表現は稚拙さを感じさせます。
言い換え表現として、おすすめなのが「喜ばしく思います」。「喜ばしい」という表現は、自分自身の嬉しい気持ちを表すだけでなく、会社の業績が上がったり、誰かの結婚が決まったりするなど、自分以外の第三者に起きた出来事に対しても使えます。
ただし、「幸いに存じます」のように依頼や願望を相手に伝えるニュアンスはありません。
「喜ばしく思います」の使い方
- 私どもの支社の営業成績が全社でトップになり、大変喜ばしく思います。
- このたびは○○さんのご結婚が無事に決まり、とても喜ばしく思います。
- このように立派な建物がわが街に完成し、大変喜ばしく思います。
「幸いに存じます」の英語表現
- I would appreciate it very much if ~(~してくださると大変幸いです)
- I would be happy if~(~してくださると幸いです)
- I would like you to~(~してくださると幸いです)
- I would be pleased if~(~してくださると幸いです)
- It will be greatly appreciated if~(~してくださると幸いです)
- I would be happy if~(~してくださると幸いです)
「appreciate」は「感謝する」の意味で、「thank」よりも丁寧な表現です。
さらに「would」は「want」の丁寧語で、依頼や願望を遠回しに言いたいときの表現。ビジネスシーンなどで相手に依頼するときには、「appreciate」や「would」が入った表現を選ぶとよいでしょう。
「I would be happy」も、appreciateよりはややくだけた表現になりますが使えます。
「幸いに存じます」を使って、感謝の気持ちを丁寧に伝えよう!
ポイントは謙譲語の「存じる」+丁寧語「ます」の「存じます」にあります。謙譲語はへりくだって相手を立てる表現であり、断定を避ける効果もあります。
相手に不快を思いをさせない言い回しは、ビジネスシーンで必須。会話で使うのが難しいという方は、例文を参照に、まずはメールや文書などで実際に使ってみましょう。
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