"おかげさまで"の意味/使い方。目上に使える例文付き|ビジネス敬語ガイド
「おかげさまで」の意味とは?
「おかげさまで」とは、「支えてくれてありがとう」という意味を持ち、相手の行ってくれた行為や言葉へ感謝を表す言葉になります。
普段は、ひらがなで書くことが多い「おかげさまで」は、漢字で書くと「お蔭様で」となります。
この「蔭」には草木の陰という意味の他に、神仏などの庇護という意味があるのです。ですから本来は漢字で書くとすればこちらの字が正しいのですが、常用漢字ではないため、「陰」の字で代用するのが一般的になっています。
この蔭にていねいに「お」と「さま(様)」をつけて人に感謝の気持ちを表す意味で用いる敬語が「おかげさまで」です。
「おかげさまで」の使い方とは?
「おかげさまで」は、誰かに力を貸してもらったりアドバイスをもらったりしたことで物事を成功させられたときなどに、助けてもらった相手や上司などに成功を報告する場合などに使うのが、最も多い使い方です。体調を気遣ってもらったときなどにもう買う言葉です。
この使い方とは逆の形で、思い通りの結果が出なかった時にも使うことがあります。これは「やれやれ」という気持ちで使う皮肉を込めた使い方で、本来の使い方ではありません。
親しい人にぼやくときなどの表現なので、ビジネスの場ではこの使い方をすることはあまりないでしょう。
「おかげさまで」は、クッション言葉の1つ。
直接ズケズケとものを言わず、仕事の状況や体調などについて相手を気遣って話を進めることを好む日本人が人とコミュニケーションを取るときによく使うのが『クッション言葉』です。
ビジネスの場でも、ネガティブな内容を伝えるときは特に忘れずに言葉の最初にクッション言葉をつけて、相手を傷つけないように、失礼のないように話を進めることができるので、うまく使えば好感度アップに繋がります。
「おかげさまで」も自分の手柄を尊大に伝えるのではなく、相手を立てて成功を伝えるのに役立つクッション言葉の1つです。
【「クッション言葉」に含まれる敬語】
・「お手数おかけしますが」の上手な使い方。例文付きで解説します
・「僭越ながら」ってどう使えばいい?使い方から類語まで徹底解説
「おかげさまで」は目上の人にも使える表現なのか?
「おかげさまで」は敬語なので、もちろん目上の人に使っても大丈夫です。相手を立てる気持ちを伝える言葉なので、目上の人、上司に対して進んで使うことをおすすめしたい敬語と言えます。
意味的にももちろん、もしも自分が誰かとの会話やメールで相手から「おかげさまで」と言われたら、悪い気はしないでしょう。
相手への感謝を忘れない人間としても、自然に口をついてでてくるように、メールの文面に添えることができるように、「おかげさまで」の正しい使い方をしっかり身につけておきましょう。以下の例文で使い方をマスターしておきましょう。
「おかげさまで」を使った目上の人にも使える例文
- おかげさまでプレゼンテーションが成功して、上司から高い評価を得ることができました。
- おかげさまでまた頑張ってみようと気を取り直すことができました。
- おかげさまで転勤先でもうまくやっています。
- おかげさまで営業のコツがつかめてきました。
- おかげさまで苦手意識がなくなりました。
- おかげさまで体調も良くなりましたので、これからより一層お客様のお役に立てるように努力して参りたいと思いを新たにしております。
「おかげさまで」を文頭につけて、その結果としてうまくいったことを報告する内容を続けます。
この形を取ることで、うまくいったのは自分の実力がものをいったのだと思い上がってはいない、周囲の助けがあってこその成功だと認識している、という謙虚な気持ちが伝えられます。
「おかげさまで」を使用するビジネスでのシチュエーションとしては、上司や先輩、お客様などに仕事や体調などについて嬉しい報告をするときがほとんどでしょう。
「おかげさまで」と言い換えできる類語一覧
「おかげさまで」の使い方について確認していきましたが、タイミングやシーンによってはやや使いにくい場合もあるでしょう。
そんな時は、似た意味を持つ類語で言い換えることで、幅広いシチェーションに対応できますよ。
- お力添え
- ご支援
- ご協力
- 〜の援助のもとで
各類語の使い方、例文について確認していきましょう。
おかげさまでの類語① お力添え
「おかげさまで」を言い換える類語である敬語「お力添え」は具体的にサポートやアドバイスなどをもらった時など「おかげさまで」以上にはっきりと何らかの「力」を貸してもらったときにふさわしい言い換えの敬語です。
ビジネスの場で目上の人にも使える敬語表現になります。メールや会話で使うときにも、どのような力添えに対して感謝しているか、はっきり言うと自然でしょう。
特に具体的な助けを受けていないのに「お力添え」を使うと的外れな感じになったり、もっと助けてほしかったという皮肉になりかねないので、もう少し軽いニュアンスで使える「おかげさまで」のほうがふさわしいでしょう。
「お力添え」の例文
- 商談に同行していただくというお力添えを頂き、契約をいただくことができました。
- 売上が伸び悩んでいましたが、相談に乗っていただき、お力添えを頂いてスランプを乗り越えられました。
- 厳しいノルマでとても達成できないと思っていましたが、売上げアップのコツを伝授していただくという力添えを頂いて、ノルマ達成に成功しました。
【「例文」に使われている敬語】
・「お力添え」の使い方をより詳しく分かりやすく解説します
おかげさまでの類語② ご支援
「ご支援」という敬語は「おかげさまで」を言い換える類語としてビジネスの場などで「力添え」以上のかなり強い助けを受けた場合に使うのにふさわしい敬語です。その助けによって結果が逆転するくらいの助けを得たとき、得たいときに使うべき言葉です。
「ご支援」という言葉をよく耳にするのが選挙演説の場など。自分に1票を入れてもらうことで当選を狙う候補者が使うのにふさわしいのが「ご支援」になります。
使い方によっては金銭なものを含め、かなりの援助を求めているようにも取られる可能性がある言葉です。
「ご支援」の使い方
- ご支援をいただき、無事選挙で当選しました。
- 今後とも当市をより良い街にするべく、体調を整えて市会議員としてご尽力させていただきます。より一層のご支援を何卒よろしくお願いいたします。
- ご支援のほど、何卒よろしくお願いいたします。
【「例文」に使われている敬語】
・「ご尽力」の使い方を例文付きで分かりやすく解説します!
・「よろしくお願いいたします」よりも丁寧な言い換えまでご紹介します
おかげさまでの類語③ ご協力
おかげさまの類語の中でも「ご協力」はかなり具体的な助けを受けることを意味する言葉です。
何らかの目的があってやろうとすることに対して援助を依頼して応じてもらったり、状況を見て力を貸してくれたりした場合が「協力」です。
「協力」を使ってお礼を述べる場合は、どのような協力に対してどれだけの成果や利益がでたのかを、できるだけ明確にしておけば、相手も協力してよかった、と納得して喜んでもらえるでしょう。
「ご協力」の使い方
- 皆様のご協力を得て、今月の営業目標をクリアできました。心より御礼申し上げます。
- ゴミの分別にご協力のほど、何卒よろしくお願いいたします。
- AB型の血液が特に不足しています。皆様、献血にご協力ください。
おかげさまでの類語④ 〜の援助のもとで
「おかげさまで」を言い換える類語の敬語として最後にご紹介する「~の援助のもとで」は個人や組織だけの力だけではどうにもならないことが早い段階から明確でありながら、なんとか成し遂げたいことがある場合などに使う言葉です。
相応の見返りやお礼はすぐにできそうもないものの、目指す事柄や個人、組織に共感・好意を持ってもらって助けてもらうことを希望するような場合が多くなります。
金銭的なことになると、すぐには返せそうもない、返す目処はあまりないというニュアンスに。タイミングやシチュエーションなどに応じて使えるかしっかりと考えなければならない言葉だと言えます。
そういった状況で援助を受けたことに対しては、成果を詳細に報告して、ていねいすぎるくらいにお礼を言っておきましょう。可能な限り援助に報いてお礼をしたいという気持ちを表しておきたいものですね。
「〜の援助のもとで」の使い方
- 多大なる貴社の援助のもとで、難しい局面を乗り越えることができました。
- 貴方様のご援助のもとで、目標達成に向かって全身全霊努力いたします。
- ご援助のもとで活動させていただけますことを感謝しております。
【「例文」に使われている敬語】
・「貴社」と「御社」の使い方ガイド。メール/電話/面接の3つのシーンで使い分けを解説します!
「おかげさまで」の英語表現
- Thank you for ~ (~あなたの~のおかげで)
- owe to(~に〈恩義などの〉借りがある)
- but for、without(~がなければ)
- enable、made(~を可能にする)
- luckily(幸運にも)
「おかげさまで」を英語で言う場合にいちばんよく使う表現の例文をご紹介しておきましょう。
Thank you for your advice.it went well.(アドバイスありがとうございました。おかげさまでうまくいきました。)
この例文は上司や先輩にアドバイスをもらって何かに取り組んだときなどに、ビジネスの英語での会話やメールで使えます。目上の人にも使える表現です。
「おかげさまで」を使って、丁寧に感謝を伝えよう!
「おかげさまで」は結果報告などのビジネスシーンで言い添えることによって相手への日頃の感謝を表現できるクッション言葉の敬語です。
淡々と結果をっ伝えるだけでなく、感謝の言葉を添えるように心がけておくと、コミュニケーションをより円滑に取れて、人間関係も良好になっていくものです。
類語との使い分けも意識して、例文を参考に上手に使って好感の持てるデキるビジネスマンを目指しましょう!
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