"深謝"の意味/使い方。類語&のし書きの例文付き|ビジネス敬語ガイド
「深謝」の意味とは?
「深謝」という言葉は日常会話ではあまりなじみがありませんが、あらたまった席で使われる敬語です。
深謝には、2つの使い方があり、感謝の意味を込める場合と謝罪の意味を込める場合です。
ビジネスシーンでは取引相手などにありがとうの意味を込めて、文書やお礼状などに「深謝」としたためます。
特別な配慮や支援を受け場合にも、ありがとうという気持ちを伝えるのにふさわしい敬語ですね。
ビジネスシーンにおいて詫びる意味で使う場合は、相手に誠意を伝えることができます。文書やメールで使うこともありますが、お詫びの品を持参する時にのし紙に「深謝」と記すことも。
「深謝」を使う場合は、テンプレートとして使い方を憶えておくと便利です。
【深謝の使い方】どういう時に使われる敬語なのか。
「深謝」は感謝と謝罪という2つの意味がある敬語ですが、それぞれ使い方のテンプレートがあります。
特に使う時のタイミングやシチュエーションを知っておく必要があります。
感謝の意味で使用する場合は、通常はありがとう、お世話になりましたとその場で挨拶をする場合で使われます。
「深謝」は一段落ついたタイミングで、公的な立場から感謝の意を表す時に使います。シチュエーションとしては、プロジェクトの最後の締めとしての挨拶文などです。
文書だけでなく、打ち上げパーティーなどで「深謝申し上げます」とスピーチで謝意を伝えることも。詫びる意味で使うタイミングも同様ですが、シチュエーションとしては相手方にお詫びの品を持参する時にのし紙に「深謝」としたためます。
「深謝」を使った例文とは?
【感謝で使う場合】「深謝」の使い方・例文
「深謝」を感謝の意味で使う場合は、ビジネスや公的な場面でのテンプレートがあります。
個人同士のお付き合いの場合はあまり「深謝」は使いません。個人の場合は「感謝します」や「ありがとうございました」などが一般的。
シチュエーション的には、ビジネスがうまくいった場合や共同事業でお世話になった場合などのテンプレートを憶えておくと便利でしょう。
単なる敬語を使って謝意を表すよりも、改まった敬語である「深謝」の方がより強く気持ちを伝えることができます。
「深謝」を使った"感謝"の例文
- プロジェクトが成功したのも、ひとえに御社のお力添えのおかげと深謝いたします。
- 滞在中はひとかたならぬお世話になり、改めて深謝申し上げます。
- 弊社取締役○○が永眠いたしました。生前のご厚誼を深謝いたします。
- 弊社も創立30周年を迎えることができ、これもひとえに支えてくださった皆様のおかげと深謝申し上げます。
- 新しく事業所を開設することになり、ご愛顧のたまものと深謝しております。
ビジネスシーンにおいてプロジェクトが成功したシチュエーションではお礼の意味を込めて使います。
また、上司の死去などを通知する悲しみのシチュエーションや、創立30周年という喜ばしいシーンのどちらにも「深謝」は効果的です。
非常にお世話になったシチュエーションでは、「申し上げます」や「いたします」をつけることでより強い感謝の意を表せますね。
上司など格上の立場で使うのなら、もう少し軽いニュアンスの「深謝します」がいいでしょう。
【「敬語」の参考記事一覧】
・「深謝」と一緒に合わせやすい"ひとえに"の意味/使い方を徹底解説
・"お力添え"の正しい使い方とは?"ご尽力"との違いまで詳しく解説します
【謝罪で使う場合】「深謝」の使い方・例文
ビジネスシーンで謝罪の意味を伝える場合は「深謝」を使います。
シチュエーションとしてはミスをしてしまって相手や顧客に迷惑をかけた時や、取引先に迷惑をかけてしまったなどの場合でしょう。
自ら非を認めるというのは難しいことですが、ビジネスでは「深謝」という敬語を使うことによって関係悪化を防ぐことができます。
大事なのは誠意を伝えることですが、特に書面で謝罪する時に「深謝」という言葉は欠かせません。
メールのような文書でも大事な場面では使う必要があるでしょう。企業や組織が謝罪をするというのは大きな決断ですが、それにふさわしい言葉が「深謝」です。
「深謝」を使った"謝罪"の例文
- 当社の商品に不備があり申し訳ございません。ここに深謝いたします。
- お客様に不快な思いをさせてしまったことを、社員一同深謝いたします。
- 今回の件につきまして、多大なるご迷惑をおかけしたことを深謝申し上げます。
- このたびはスタッフの不手際により、お客様にご心配をおかけしてしまったことを深謝します。
- 失礼な言動があったことを深謝します。
「深謝」を謝罪で使う場合、ビジネスシーンでのミスや失敗を認めて詫びるというシチュエーションがほとんどです。
企業にとってミスや失敗は顧客に迷惑をかけ、商品の売れ行きなどに影響が出る恐れがあります。
公に文書や告知などで詫びるシチュエーションでは「深謝」が最も効果的でしょう。
また、組織に属する者やスタッフのミスによって多大な迷惑をかけて詫びるというシチュエーションでも、「深謝」はふさわしい言葉です。
【「敬語」の参考記事一覧】
・「申し訳ございません」は間違い敬語なの?正しい使い方を例文付きで解説します
「深謝」と言い換えできる類語一覧
深謝の類語① 拝謝
「拝謝」という言葉は深謝の類語の中でも、最も丁寧な謙譲語です。
ビジネスシーンなどでは目上の人に対する感謝の意を伝える場合に使われますね。
深謝と同じように謝意を伝える言葉ですが、大きな違いは「拝謝」には「謹んで」という意味合いが含まれる点でしょう。
ビジネスの現場で働く人なら、目上の人や上司に対する言葉として憶えておくと便利です。
「拝謝」の例文
- 本日は貴重な会にお招きいただきまして、拝謝申し上げます。
- 私のようなものにまで気をつかっていただきまして、拝謝申し上げます。
- このたびは私どもの案件に手助けをしていただき、おかげさまで成功させることができました。改めて拝謝申し上げます。
【「例文」で使われている敬語】
・「おかげさまで」の意味とは?目上に使える例文から言い換えできる類語までご紹介します
深謝の類語② 感謝
「感謝」という言葉は深謝の類語の中では最も日常的に使われます。
ビジネスシーンはもちろんですが、一般的に謝意を表す時に多く使われますね。
深謝と感謝の違いは会話に使われるかどうか。深謝は書面や文書がほとんどですが、感謝はメールをはじめ、会話やスピーチでも使われます。
どちらの言葉も感謝の意味が込められていますが、深謝が丁寧で敬語的な使い方なの対し、感謝はもっと気軽な利用の仕方です。
「感謝」の例文
- 本日は遠いところをお越しいただきまして、感謝申し上げます。
- プロジェクト推進のためにご協力いただきまして、感謝いたします。
- 日頃からいろいろと助けていただき合格することができました。感謝しています。
【「例文」で使われている敬語】
・「お越しいただき」の意味とは?言い換えできる類語まで解説!
深謝の類語③ 万謝
「万謝」という言葉は深謝の類語です。意味合いとしては類語の中でも最も深謝に近く、ビジネスシーンなどで多く使われます。
深謝と同じように会話やスピーチではほとんど使われないのが特徴。
深謝と違うのは、万謝は1つの事柄についてだけでなく沢山の事柄に対して謝意を表する意味が込められていることでしょう。「万」という文字がそれを表しているのです。
「万謝」の例文
- 弊社が創立100周年を迎えられたのは、ひとえにお客様のおかげです。万謝の念に耐えません。
- 難しい案件の数々を無事に成功裏に終わらせることができ、万謝申し上げます。
- 無地に定年を迎えることができましたのも、これまで支えてくださった皆様のおかげです。万謝申し上げます。
深謝の類語④ お詫び申し上げます
深謝には感謝と謝罪の意味がありますが、類語の「お詫び申し上げます」は謝罪の時に使われます。
深謝との大きな違いは、感謝の意味は含まれていない点。ミスや失敗をして迷惑をかけた場合に、上司や目上の人に謝意を伝える時に便利です。
またスピーチやメールでもよく使われるのも、深謝とは異なりますね。目上の人により強い謝意を表すためには、「深く」や「重ねて」という言葉をつけて用います。
「お詫び申し上げます」の例文
- 予定の販売数を確保できずご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。
- スタッフのミスは上司の私の責任でございます。重ねてお詫び申し上げます。
- このたびはプロジェクトの進行が予定より遅れて損害を与えてしまいました。伏してお詫び申し上げます。
【「例文」で使われている敬語】
・「お詫び申し上げます」の正しい使い方とは?目上の人に使える丁寧な例文までご紹介!
深謝の類語⑤ 誠にありがとうございます
「誠にありがとうございます」は深謝の類語ですが、感謝の意を表す場合に使われます。
深謝と同じく深い謝意を伝えることができますが、大きな違いは会話でも使えることでしょう。メールなどでも気軽に使えますね。
深謝よりも一般的なフレーズなので、ビジネスシーンでは上司や目上に対して直接感謝を述べる時に使います。
日常会話では「ありがとうございます」ですが、誠にをつけることで敬語表現になります。
「誠にありがとうございます」の例文
- いつも我が社の製品をお買い上げいただき、誠にありがとうございます。
- 平素より格別なご愛顧をいただき社員一同感謝しております。誠にありがとうございます。
- おかげさまで案件を無事に終えることができました。誠にありがとうございます。
【「例文」で使われている敬語】
・「平素」の正しい使い方とは?言い換えできる類義語までご紹介します
「深謝」は、のし書きにも使える
「深謝」は深い感謝や謝罪などを表す敬語の表現です。
感謝や誠意を示すために相手方に贈答品を持参することがありますが、のし紙には「深謝」という言葉が記されます。
ただし、のしというのは慶事に使うものなので謝罪の時には使いません。
感謝の意を表したい時には贈答品ののし紙に「深謝」を記入し、謝罪の場合はのしのないのし紙を使用します。気をつけたいのは謝罪の意味で使う場合ですね。
「深謝」を使うのはかなり重い表現になるので、かえって相手を恐縮させてしまう恐れがあります。お詫びの度合いによって使うのがよいでしょう。
「深謝」をのし書きに使う場合の例文
- 貴社へ多大なるご負担をおかけしましたことを深謝申し上げます。
- 平素より当店をご贔屓にしていただきまして深謝申し上げます。
- 今回の案件につきまして期待を裏切る結果になりましたこと、担当責任者として深謝いたします。
【参考記事】「御社」と「貴社」の使い方とは?電話で使うのはどっちなの?▽
「深謝」の英語表現
- thank somebody warmly(感謝いたします)
- make a sincere apology(謝罪いたします)
- I appreclate it(感謝しています)
- thank you very much(心から感謝してます)
- I'm sorry for(申し訳ありません)
- we apologize for(について謝罪いたします)
英語で「深謝」にあたる言い方は、感謝しているや謝罪するという言い回しになります。
最もよく使われる感謝の言葉は「thank you very much」、謝罪の言葉は「I'm sorry for」ですね。
気軽に使えるのが特徴ですが、スピーチなどではもう少し丁寧な「I appreclate it」や「we apologize for」がふさわしいでしょう。
「深謝」を使う時は、シチュエーションに注意して。
ビジネスでは色々なトラブルが発生します。また多くの人の協力によって成功することもあるでしょう。
その時の対応の仕方によっては将来に影響することも。ここで紹介した「深謝」の使い方や例文をテンプレートとして憶えておくと、感謝の意を伝えたい時や誠意を示して謝罪したい時に便利です。
贈答品におけるのし紙の書き方なども説明しましたので、実生活で生かしていただけると幸いです。
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