"心ばかり"の意味/使い方。贈り物の丁寧な例文&類語|ビジネス敬語ガイド

"心ばかり"の意味/使い方。贈り物の丁寧な例文&類語|ビジネス敬語ガイド

長谷川大輔 2019.09.10
大したものではないが...。という意味を持つ表現、心ばかり。贈り物に使う場合が多く、のしに使えるか気になる人も多いはず。今回は、心ばかりの意味から正しい使い方、贈り物やビジネスで使える例文、注意点、言い換えできる類語などを解説。のしの表書きに使う場合まで確認して!

「心ばかり」の意味とは?

心ばかりの意味とは

「心ばかり」とは、贈り物などを相手に渡す際「たいしたものではありませんが」「心がこもっているだけのものですが」と、相手に対して自分をへり下って表現する敬語表現です

「心ばかり」は漢字で「心許り」と書き、「許り」には「~だけ・~のみ」という意味があるため「心だけ、心のみ」という意味になります

そのため、決して高価なものやプレミアのある代物ではありませんが、気持ちのこもっている贈り物です、と自分の立場をへり下って表現することが可能です。


ビジネスシーンでの「心ばかり」の正しい使い方

心ばかりの正しい使い方

「心ばかり」は、主に相手に何かを手渡すときに使う敬語です。ただ贈り物を渡すだけでなく、そこに気持ちが込もっていることを示せるため、香典やお祝いなどを手渡すときに用いることが多いです。

口頭で使うのはもちろんですが、直接手渡しができない場合には、贈り物と一緒に挨拶文を添えると相手に誠実な姿勢を伝えられるため、シーンに限らず積極的に活用しましょう!


「心ばかり」という表現は目上にも使えるのか。

心ばかりは目上に使える

「心ばかり」の意味からも分かるように自分の立場をへり下って言う謙譲表現となるため、上司や目上の人にも使用できます

「自分の贈り物はたいしたものではありませんが、受け取ってください」と敬意を払って使用できる言葉です

逆に、上司や目上の人など相手から贈り物をもらったときに「心ばかりのものをありがとうございます」と使ってしまうと失礼にあたるため、あくまでも自分が贈り物を渡すときにしか使えないため注意しましょう。


【心ばかりの使い方】贈り物やビジネスで使える丁寧な例文

使い方① 心ばかりですが、

心ばかり使い方①心ばかりですが、

「心ばかりですが」は「たいしたものではありませんが」「心がこもっているだけのものですが」という意味がある敬語表現です

「受け取ってください」などの前につけることで、クッション言葉となり、自分をへり下って表現できます。

ビジネスシーンでは、目上の人や取引先の人、お客様などにお菓子などのお祝いや贈り物を贈る使うことが多いです。

多用するとわざとらしく聞こえてしまう場合もあるため、ここぞというときにだけ使うようにしましょう。


「心ばかりですが、」を使った例文

「心ばかりですが、」を使った例文
  • 先日はありがとうございました。心ばかりですが、どうぞ召し上がってください。
  • 心ばかりですが、どうぞ皆様でお召し上がりくださいませ。
  • 心ばかりですが、お収め頂きありがとうございます。今後とも末永くお付き合いのほどお願い申し上げます。
  • 心ばかりですが、どうぞ気兼ねなく笑納ください。
  • 心ばかりですが、お気に召していただければ幸いです。

「心ばかりですが」は例文のように、お菓子やお金などを目上の人に渡すときに用いることが多いです。

「たいしたものではありませんが」と一言添えることで、贈り物を手渡ししやすくなります。そのため、「心ばかりですが」に続く文章では、相手に受け取ってほしいという気持ちを伝えましょう

話し言葉だけでなく、贈り物を贈るときに一言添える手紙に用いる言葉のテンプレートとしても便利です。したがって、お中元やお歳暮などを送る機会にもよく使われる敬語表現です


使い方② 心ばかりの

つまらないものですがの類語 心ばかりの

「心ばかり」に助詞の「の」をつけることで連体表現として副詞のような使い方ができます

そのため、「心ばかりの」の後に「贈り物」や「おもてなし」など相手に渡すものを続けることで「たいしたおもてなしではありませんが」「気持ちがこもっているだけの贈り物ではありますが」という意味になります。

自分をへり下って表現することができ、控えめな印象を与えることが可能です。ビジネスシーンでは、目上の人や社外の人に贈り物を贈るときや、パーティーなどもてなしをするとに使う機会が多いです


「心ばかりの」を使った例文

「心ばかりの」を使った例文
  • 心ばかりの品ですが、どうぞご笑納くださいませ。
  • 平素よりお世話になっております。心ばかりの品で恐縮ですが、どうぞお受け取りください。
  • 心ばかりのおもてなしですが、お楽しみいただければ幸いです。
  • 心ばかりの贈り物ですが、気に召していただければ幸いです。
  • 先日は、ありがとうございました。心ばかりの贈り物で恐縮ですが、どうぞお納めください。
  • 心ばかりの贈り物ですが、皆様でお召し上がりくださいませ。

「心ばかりの」は例文のように、「心ばかりの贈り物」や「心ばかりの贈り品」などと続けて贈り物を贈るときに使うことが多いです

お金やお菓子などを渡すときも「お納めください」と言前に「心ばかりの贈り物ですが」と添えることで、自分をへり下った表現にできます。相手に無礼な印象を与えないため、贈り物を渡すときのテンプレートとして覚えておきましょう。

また、例文のように「心ばかりのおもてなし」という表現をすることで、物だけでなく催事やパーティーなど幅広いシーンで使用できます。


使い方③ 心ばかりではございますが

心ばかりの使い方③心ばかりではございますが

「ございます」は「です」の丁寧な表現です。そのため、「心ばかりですが」をより丁寧な敬語表現にしたい場合には「心ばかりではございますが」を使います

意味は「心ばかりですが」と同じで「たいしたものではありませんが」「気持ちばかりですが」という謙遜の気持ちをこめることが可能です。

話し言葉としては少々堅苦しい印象を与えてしまうため、ビジネスシーンでは贈り物を贈るときに添える手紙やお礼のメールなどの書き言葉として使うことが一般的です。


「心ばかりではございますが」を使った例文

「心ばかりではございますが」を使った例文
  • 日頃の感謝を込めて、粗品を贈らせていただきました。心ばかりではございますが、どうぞお納めください。
  • 心ばかりではございますが、ご笑納いただけますと幸いです。
  • 先日、家族で旅行に行って参りました。心ばかりではございますが、皆様で召し上がってください。
  • 心ばかりではございますが、お受け取りくださいませ。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
  • 心ばかりではございますが、気兼ねなくご笑納くださいませ。

「心ばかりではございますが」の文例を見てみると、贈り物を贈るときに添えるかしこまった一言という印象を受けます。

「心ばかりですが」よりも丁寧な言い回しなので、お歳暮やお中元などの贈り物に添える書き言葉として使われることが多いです

ビジネスシーンでは取引先や目上の人に配慮の気持ちを込めて添えるテンプレートとして覚えておくと便利です。


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