ファンクショナルトレーニングとは?怪我を予防できる効果的なやり方を解説
ファンクショナルトレーニングとは?
ファンクショナルトレーニングとは、身体を機能的に動かすことを目的としてトレーニングすること。
特別なメニューがあるわけではなく概念を指す為、「5大原則」と呼ばれるルールに基づいて行うトレーニングであれば、どれもファンクショナルトレーニングに該当すると言えます。
その「5大原則」とは、
- 重力を利用する
- 共同と分離
- キネティックチェーン
- 3面運動
- 力の吸収と発揮
の5つ。ここから、「5大原則」のそれぞれの要素について詳しく説明していきますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
1. 重力を利用すること
身体が重力に対応しきれないと、手足や体幹を自由に動かすのが困難に。スポーツをする時のみならず、立ち上がったり走ったりなどの日常動作に支障をきたす場合もあるでしょう。
体を機能的に動かすには、重力に負けない体作りを目指すことが大切。そのため、トレーニングにおいても、重力に抵抗しながら行う動きを取り入れる必要があります。
例えば、重力に逆らってフォームをキープする『プランク』は、全身が下に引っ張られる力を負荷として鍛えるトレーニング。このように、重力を利用することで、重力に抵抗できる体へと鍛えられるのがファンクショナルトレーニングです。
2. 共同と分離
身体の関節には、骨盤や腰椎などの可動しにくい部分と、股関節や胸椎などの大きく可動できる部分の2種類があります。
動いて欲しい関節と、固定したい関節がそれぞれ別の役割を果たすよう分離させ、そして同時に動かし共同させることで、身体はスムーズに動かせるようになります。
例えば足を上げる動作では、骨盤を固定され、股関節が自由に動くのが理想的。しかし、骨盤が安定していないと、股関節が動来にくくなり、足を上げるのが困難になってしまいます。
よって、運動パフォーマンスを上げる為には、可動させる関節と可動させない関節を別々に動かせるよう、ファンクショナルトレーニングによって鍛えることが重要です。
3. 運動連鎖(キネティックチェーン)
身体の筋肉は全て繋がっており、一つの動きをするだけで様々な筋肉が同時に働きます。
ただ走るだけでもふくらはぎや太もも、股関節周りの筋肉と多くの筋肉が使われ、全てきちんと働いていないと最大の力は発揮されません。また、どこかの筋肉が働いていないと、他の部位に負担がかかってしまいます。
反対に、繋がっている筋肉をそれぞれきちんと動かせていれば、より機能的に身体を動かせます。スポーツをする時や日常生活での動作に活かされるトレーニングを行う為には、様々な筋肉を同時に動かして鍛えるファンクショナルトレーニングが有効です。
4. 三面運動
人間の身体には、矢状面、前額面、水平面と3種類の動き方があります。歩く、走るなどの単純な動作でも、前後や左右、ひねりなど様々な動きが複雑に組み合わさることで成り立っています。
そのため、より機能的に体を動かす為には、矢状面、前額面、水平面と3方向へ動かせる身体を作ることが大切。通常の筋トレでも運動能力はアップできますが、どれか一方向のみに動かして鍛える場合がほとんどなので、偏りが出てしまいます。
一方ファンクショナルトレーニングでは、3方向全てに対応できるよう鍛えられるので、運動能力を上げるトレーニングとして適していると言えるでしょう。
5. 力の吸収と発揮
ジャンプをする時、しゃがむ動作を行うことで、より高く飛ぶことができるというように、身体に加わる力を発揮するためには、その動作を行う前に力を吸収する必要があります。
つまり、力を発揮する時の動作のみを鍛えても、パフォーマンスを最大に発揮するのは難しいということ。
ファンクショナルトレーニングでは、力を吸収する動作と発揮する動作を一緒に強化できるよう鍛えられるので、よりパフォーマンスを上げるのに効果的です。
ファンクショナルトレーニングの効果|取り組むことでどんなメリットがある?
ここからは、ファンクショナルトレーニングの効果についてご紹介していきます。
普段からスポーツをする習慣のない人や、ダイエットを目的としてトレーニングしたい人にとって嬉しい効果もご紹介していきますので、ファンクショナルトレーニングに興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね。
ファンクショナルトレーニングの効果1. 種目に合わせてパフォーマンスが向上する
身体を動かす為には、筋トレで鍛えることが重要です。しかし、スポーツとは関係ない鍛え方だと、トレーニングの効果が最大限に活かされないことも。
ファンクショナルトレーニングを行えば、身体をスムーズに動かすための筋肉が鍛えられます。さらに、ジャンプ力や瞬発力など、スポーツに必要な動きの中で強化できるので、種目に合わせてパフォーマンスをアップできます。
運動能力が上がれば、スポーツでより良い結果を残すことに繋がるのはもちろん、思い通りに身体を動かせて、日常動作も楽になる効果が期待できますよ。
ファンクショナルトレーニングの効果2. 姿勢の改善に役立つ
年齢を重ねたり、運動不足が続いてしまうと、姿勢は乱れがちに。しかし、ただ意識するだけではなかなか姿勢は改善されません。
ファンクショナルトレーニングを取り入れることで、身体本来の機能的な動きを身につければ、自然と姿勢が改善されます。正しい姿勢をキープする為の筋肉や動かし方が身につき、立ち姿や座った姿を美しく見せられますよ。
さらに、姿勢が改善されれば腰痛や肩こりの解消にも繋がるため、猫背や反り腰など悪い姿勢が習慣になっている人は、ファンクショナルトレーニングを取り入れてみて損ないでしょう。
ファンクショナルトレーニングの効果3. 怪我をしっかりと予防する
筋肉や関節に負荷が大きくかかるスポーツは、常に怪我の危険と隣り合わせ。どんなに気をつけていたとしても、思わぬ怪我に繋がる恐れがあります。
身体をスムーズに動かせるよう鍛えるファンクショナルトレーニングは、筋肉や関節への負担を軽減する効果が期待できます。身体に無理のない動き方が身につき、怪我を事前に予防できますよ。
スポーツをする時だけでなく、日常生活でも腰痛などの怪我をする恐れがあるので、ファンクショナルトレーニングを行うことで身体への負担を減らし、怪我を回避することが大切です。
ファンクショナルトレーニングの効果4. 全身をバランス良く鍛えられる
部分的に筋肉を鍛えるなら、一般的な筋トレも有効。しかし、スポーツや日常動作で様々な筋肉が使われる為、一部の筋肉のみ鍛えるだけでは不十分なこともあります。
全身の筋肉を鍛えることを目的とするファンクショナルトレーニングは、筋肉の鍛え方に偏りが少ないのがメリット。上半身や下半身、体幹など、身体を動かすときに使われる筋肉をバランスよく鍛えられますよ。
満遍なく鍛えられれば身体の歪みが改善されたり、身体のラインも美しく見せられたりなど嬉しい効果が多数あるので、身体全体を鍛えたい人はぜひファンクショナルトレーニングを取り入れてみましょう。
ファンクショナルトレーニングの効果5. 高いダイエット効果
脂肪の燃焼を促すためには、基礎代謝を上げることが必要不可欠。通常の筋トレでも筋肉量を増やせれば代謝がアップしますが、一度に使われる筋肉が少ないため、一番効率の良い方法とは言えません。
ファンクショナルトレーニングでは、自分自身の体重に必要な筋肉を鍛えられるため、自然と基礎代謝がアップし、痩せやすく太りにくい体になっていきます。
さらに、食事制限も加えれば、誰でも痩せやすく太りにくい体に。より着実にダイエットを成功させたり、より早く結果を出したりすることに繋がりますよ。
ファンクショナルトレーニングメニュー例|自宅&ジムで出来る筋トレとは?
ここからは、ファンクショナルトレーニングのメニュー例をご紹介していきます。
自宅で取り組めるメニューと、ジムで行う器具を使ったメニューとを分けてご紹介していきますので、ぜひ自分に合った鍛え方を探してみてくださいね。
自宅で出来る手軽なファンクショナルトレーニング
ここからは、自宅で手軽にできるファンクショナルトレーニングをご紹介していきます。
運動が苦手な人や、高齢者、女性でも取り組みやすいメニューもピックアップしたので、ぜひ自宅で気軽にチャレンジしてみてくださいね。
1. 両手背面反らし
うつ伏せの状態で背中を反らせて取り組む、『両手背面反らし』。
重力を利用することで、背筋や腕、脚の裏側、お尻など様々な筋肉をバランスよく鍛えられます。運動が苦手な人や高齢者でもできる簡単なトレーニングなので、ぜひ自宅で気軽にチャレンジしてみてくださいね。
ただし、素早く行うと勢いがつき、運動能力をアップさせる効果が低くなってしまいます。そのため、ゆっくりとした動作で、全身の動きを意識しながら取り組むことが大切です。
トレーニングの正しいやり方
- うつ伏せに寝転がった状態でスタート
- 両膝を伸ばしたまま、かかとを上げ、足の指先のみ床につける
- 肘を曲げ、両手を耳の横に置く
- (3)の時、手のひらは床にぴったりとくっつける
- 手のひらで床を押し、上体をゆっくりと起こす
- 手を床から離して、左右の肩甲骨と肘を、身体の中心に向かって寄せる
- 両手を前に突き出し、肘を伸ばす
- (7)の時、肘で耳を挟むようにして行う
- (6)のポジションの戻る
- (6)〜(9)の動きを10回繰り返す
- ゆっくりと上体を床に降ろし、終了
『両手背面反らし』を行う目安は、10回×1〜2セット。大きく息を吸って大きく吐くよう、呼吸に合わせて取り組むみましょう。
トレーニングのコツ
- 腕を伸ばす時に息を吐き、腕を曲げる時に息を吸う
- ゆっくりとした動作で行い、全身の筋肉を意識しながら取り組む
- 肩甲骨と肩甲骨をしっかりと引き寄せるよう意識する
- 腕を伸ばす時、肘を耳にくっつけるよう意識して取り組む
- 両膝を常に伸ばした状態で行う
『両手背面反らし』を行う時は、両膝を伸ばしたまま取り組むのがポイント。膝が緩んでしまうとお尻や脚回りの筋肉が働きにくくなり、下半身にかかる負荷が小さくなってしまいます。
上半身を大きく動かすトレーニングなので、ついつい下半身への意識が薄れてしまいがちですが、全身をバランスよく鍛えられなくなってしまうので、膝のフォームまで意識して取り組みましょう。
2. 腰持ち上げ
『腰持ち上げ』は、四つん這いの姿勢から、腰を持ち上げたり降ろしたりして取り組むエクササイズ。
腕や体幹の筋肉も鍛えられますが、特に下半身を機能的に動かすトレーニングとして効果的です。ファンクショナルトレーニングの主な目的である、スポーツのパフォーマンスを向上させるのに効果的なので、サッカーやバスケなどでより良い結果を狙いたい方はぜひ取り入れてみてくださいね。
四つん這いで膝をついた時の状態よりも、手足をやや狭くしたポジションで行うのがコツ。上手く腰を持ち上げやすくなるので、取り組む際はぜひ試してみてくださいね。
トレーニングの正しいやり方
- 四つん這いの姿勢でスタートする
- 両手と両膝のそれぞれの間隔を、やや狭くする
- かかとを持ち上げ、つま先のみ床につける
- かかとを持ち上げた状態のまま、ゆっくりとし膝を伸ばし、お尻を天井に向かって持ち上げる
- そのまま5秒キープする
- ゆっくりと膝を曲げ、(3)のポジションに戻る
- (4)〜(6)の動きを10回繰り返す
- 終了
『腰持ち上げ』を行う目安は、5秒キープ×10回。腕と脚の筋肉が働いているのを感じながら、ゆっくりと取り組みましょう。
トレーニングのコツ
- ゆっくりと膝を曲げ伸ばしするよう、意識して取り組む
- 常にかかとを床から浮かせた状態で取り組む
- 腰を持ち上げる時、お尻を天井に向かって突き出すようなイメージで行う
- 膝を伸ばす時にゆっくりと息を吐き、曲げる時に息を吸うよう、呼吸を意識する
『腰持ち上げ』において最も大切なのは、かかとを常に浮かせた状態で行うこと。かかとを上げたまま取り組むことで、より太ももの裏側と前側、ふくらはぎの筋肉が効果的に鍛えられます。
反対にかかとを床につけて行ってしまうと、下半身の筋肉が緩んでしまうので注意。ゆっくりとした動作で行い、正しいフォームとやり方でできているかチェックしながら取り組みましょう。
3. 腕伸ばし
三面に向かって上半身、下半身を動かすことで、腹斜筋やインナーマッスルなどの体幹を効率よく鍛えられる『腕伸ばし』。
さらに、腰や背中周り、胸の筋肉の緊張を緩める動作もあり、怪我の防止や姿勢改善などの効果が期待できます。デスクワークや立ちっぱなしが多い方は、ぜひ積極的に取り入れてみましょう。
『腕伸ばし』を行う時は、常に手の先に目線を配るよう意識して取り組むのがポイント。自分の体重が負荷となり、よりたくさんの筋肉が刺激されやすくなるので、ぜひ意識してみてくださいね。
トレーニングの正しいやり方
- 四つん這いの姿勢でスタートする
- 背中を真っ直ぐにする
- 左手を右側に向かってスライドさせ、上半身を右にひねる
- (3)の時、左の手のひらは天井に向けたままスライドさせる
- 左の肩を床につけ、お尻を天井に向かって突き上げる
- ゆっくりと左腕と上半身を戻す
- 左手を、左側から天井に向かって伸ばし、胸を大きく開く
- (7)の時、右手と右膝に重心を乗せ、バランスをとる
- (3)〜(8)の動きを、10回繰り返す
- 反対側も同様に行う
- 終了
『腕伸ばし』を行う目安は、左右10回ずつ×1セット。腕と上半身を大きく動かすよう、意識しながら取り組みましょう。
トレーニングのコツ
- 目線は、常に指先に向けたまま取り組む
- 腕をクロスさせて上半身をひねる時、お尻を天井に向かって高く突き上げるよう意識する
- 転倒してしまわないよう、ゆっくりとした動作を意識して行う
- 指先を遠くに伸ばすよう意識しながら取り組む
- 常に、骨盤が膝の真上の位置に来るよう意識する
『腕伸ばし』を行う上で最も大切なのは、指先を遠くに伸ばすよう意識すること。指を遠くに伸ばすと腕や胸、背中の筋肉がしっかりと伸び、筋肉を刺激する効果が高まります。
腕をクロスさせる時は壁に向かって、胸を開く時は天井に向かって指を近づけるよう行うのがコツ。取り組む回数が少なくても良いので、正しいやり方で行うことが大切です。
4. 身体開き
足を前後に開き上半身を回転させる、共同と分離の動きを取り入れた『身体開き』は、体幹と太ももの強化に効果的なトレーニング。
先にご紹介した『腕伸ばし』と類似していますが、不安定な体制で行うことでバランス力も鍛えられ、怪我の予防や運動能力を上げる効果がより一層アップします。ハードなスポーツにも挑戦してみたいという方は、ぜひ取り入れてみてくださいね。
器具なしで手軽に取り組めるトレーニングですが、正しいフォームで意識して行わないと筋トレ効果は下がってしまいます。特に手と足の位置、目線を意識しながら取り組みましょう。
トレーニングの正しいやり方
- 四つん這いの姿勢をとる
- 両手を肩幅に開く
- 手を床につけたまま左足を一歩前に出し、左手の左側に足を置く
- 左腕を天井に向かって伸ばし、上半身を左回転させる
- (4)の時、視線を左手の指先に向ける
- そのまま5秒キープ
- 四つん這いの姿勢に戻る
- 右足を一歩前に踏み出し、反対側も同様に行う
- (3)〜(8)の動きを、左右交互に5回ずつ繰り返す
- 終了
『身体開き』を行う目安は、5秒キープ×左右交互に5回ずつ。焦らず、ゆっくりとした動作を意識しながら取り組みましょう。
トレーニングのコツ
- 安定した呼吸を意識しながら取り組む
- 骨盤が後ろに引けないよう、膝の真上の位置をキープする
- 腕を上げた時、視線は上げた方の手の指先へと向ける
- 指先を天井に近づけるよう、腕をしっかりと伸ばす
- 腕のみを動かすのではなく、胸を開くよう意識して行う
『身体伸ばし』を行う際は、胸をしっかりと開くよう意識するのがポイント。腕のみを動かしてしまうと、体幹や下半身の筋肉があまり働かず、運動能力をアップさせる効果が低くなってしまいます。
右腕を上げる時は左の肩が真下に、左腕を上げる時は右の肩が真下に向いていれば、正しいフォームが取れている証拠。視線を指先に向ける分、目で確認しにくい為、体がどう動いているかよく感じながら取り組むことが大切です。
5. 2点支持バランス
『2点支持バランス』は、手足を左右交互に動かして行う、やや上級者向けのエクササイズ。
共同と分離の原則を活かす事で、全身を機能的に動かせるようトレーニングできます。また、体の重心が安定し、腕や足を動かすスポーツのパフォーマンスを上げる効果も期待できるので、サッカーやゴルフ、野球などの運動をよくする方はぜひ試してみてくださいね。
転倒する危険を避ける為、できればヨガマットの上で行うのがおすすめ。また、バランスを取りにくい場合は椅子や壁に片手をつき、身体を支えながら取り組むなど、怪我をしてしまわないよう注意しましょう。
トレーニングの正しいやり方
- 四つん這いの姿勢ととる
- かかとを持ち上げ、つま先を立てる
- 腰を上に持ち上げる
- (3)の時、かかとは床から少し浮かせ、膝を軽く曲げておく 5 左膝を90°に曲げ、太ももがお尻と一直線上に並ぶよう、脚を持ち上げる
- 右手を床から離す
- 右足と左手でバランスを取りながら、そのまま5秒キープ
- 右手と左足を床に降ろし、反対側も同様に行う
- (5)〜(8)の動きを、左右交互にそれぞれ5回ずつ繰り返す
- 終了
『2点支持バランス』を行う目安は、5秒キープ×左右交互に5回ずつ。バランスが崩れてしまう場合は取り組む回数を減らし、無理のない範囲で行いましょう。
トレーニングのコツ
- 安定した呼吸を意識しながら取り組む
- かかとを軽く持ち上げた状態のまま行う
- 膝とお尻が一直線上に並ぶよう、太ももをしっかりと持ち上げる
- 床につけている手と足に力を入れ、バランスを取りながら行う
- 背中をまっすぐにしたまま取り組むよう意識する
『2点支持バランス』をより効果的に行うには、かかとを軽く持ち上げた状態をキープすることが重要です。
かかとを床につけてしまうと体の重心が安定してしまい、足腰の筋肉を鍛えたり、バランス力を強化したりする効果が薄くなってしまいます。
重心をコントロールするのが難しい場合は、取り組む回数を減らす、椅子に掴まりながら取り組むなどで難易度を調整し、正しいフォームで行うことを優先しましょう。
ジムで出来る効果的なファンクショナルトレーニング
ここからは、ジムで取り組めるファンクショナルトレーニングをご紹介します。
アスリートも取り入れるような、トレーニング器具を利用した本格的なメニューもご紹介していきますので、ジムに通う習慣のある方はぜひ挑戦してみてくださいね。
1. メディシンボールプッシュアップ
人気トレーニング器具、メディシンボールの上で腕立て伏せを行う『メディシンボールプッシュアップ』。
器具なしで行うよりも重力による負荷が大きく、バランス力も必要とされるトレーニングで、パフォーマンスを向上させるのに効果的です。野球やバスケ、サッカーやゴルフなど様々なスポーツに適応できるので、ジムに行った際はぜひ取り入れてみましょう。
ただし、やや難易度が高い為、バランスをとるのが難しいことも。その場合は、取り組む回数を減らしたり、膝をついて行ったりなど、難易度を調節して取り組んでみてくださいね。
トレーニングの正しいやり方
- メディシンボールを床に置き、うつ伏せの状態でスタート
- かかとを持ち上げ、つま先のみ床につける
- 両足を、肩幅よりもやや広い位置に置く
- ボールの上に両手を乗せ、両腕を伸ばし、上体を起こす
- 頭の先からかかとまでが一直線になるよう、背中を真っ直ぐにする
- 背中と骨盤を真っ直ぐに保ったまま、両腕を曲げ、胸をボールに近づける
- 両腕を伸ばし、(5)のポジションに戻る
- (6)〜(7)の動きを10回繰り返す
- 右手を床の上に、左手をボールの上に置き、(6)〜(7)と同様の動きを10回繰り返す
- 左手を床の上に、右手をボールの上に置き、(6)〜(7)と同様の動きを10回繰り返す
- 終了
『メディシンボールプッシュアップ』を行う目安は、両手を乗せたポジション、片手を乗せたポジションで各10回×1セット。ハードなトレーニングなので、最初は少ない回数で始め、慣れてきたら徐々に増やすのがおすすめです。
トレーニングのコツ
- 頭の先からかかとまでのラインが、真っ直ぐになるよう意識して取り組む
- 手でボールをしっかりと掴み、ぐらつかないよう注意しながら行う
- 肘を曲げる時に息を吐き、腕を伸ばす時に息を吸うように、呼吸を意識して取り組む
- 腕のみではなく、太ももや腹筋も意識しながら行う
『メディシンボールプッシュアップ』を行う時は、背中を真っ直ぐにした状態で取り組むのがポイント。
背中が丸まったり、骨盤が前傾してしまうと、体幹や下半身の筋肉が刺激されず、トレーニング効果が低くなってしまいます。
また、背中が反ってしまうと腰に負担がかかり、腰痛を引き起こす可能性も。初心者の方は特にフォームが乱れやすいので、できれば鏡でチェックしながら慎重に取り組みましょう。
2. ケトルベルスイング
ハンドルが付いたボール状の重り、ケトルベルを使ってスクワットをする『ケトルベルスイング』。
下半身から体幹、上半身、腕へと力を連動させることで、体を機能的に動かせるよう全身を鍛えられます。
重さ12kgのケトルベルを使うのがおすすめですが、きつい場合は軽くするなど、無理のない範囲で取り組みましょう。また、重りを大きく振り上げる時に、勢いで行ってしまいやすいので注意。しっかり使っている筋肉を意識して取り組むことが重要です。
トレーニングの正しいやり方
- ケトルベルを握り、姿勢を真っ直ぐにして立つ
- 足を腰幅よりも大きく開き、つま先を外側に向ける
- 横から見て太ももが床と平行になるまで、腰を下げる
- (3)の時、膝がつま先よりも前に出ないよう、お尻を後ろに引く
- 両膝を伸ばし、直立姿勢に戻る
- (5)の動作を行う時、ケトルベルを持った腕を、肩の高さまで振り上げる
- (3)〜(6)の動きを40秒間繰り返す
- インターバル(約1分)
- あと1セット行う
- 終了
『ケトルベルスイング』を行う目安は、40秒間×2セット。腰を下ろす時に息を吐き、立ち上がる時に息を吸うように、呼吸を利用して取り組みましょう。
トレーニングのコツ
- 背中が丸まったり反ったりしないよう、背筋を真っ直ぐにして行う
- 肩がすくまないよう注意しながら取り組む
- つま先が膝よりも前に出ないよう、お尻を後ろに突き出す
- 振り上げた腕を、肩の高さよりも高く持ち上げないよう注意する
『ケトルベルスイング』を行う時は、背筋を真っ直ぐにして取り組むことが大切。
背中が丸まったり反ったりしてしまうと、腰に負担がかかり、痛めてしまう可能性があります。
通常のスクワットよりも負荷をかけている分、特に背筋を真っ直ぐにキープすることが難しいので注意が必要です。腹筋に力を入れながら行うと、正しいフォームを保ちやすくなるので、ぜひ意識してみてくださいね。
【参考記事】ケトルベルスイングの詳しいやり方を解説!▽
3. ViPRスラスター
『ViPRスラスター』は、ファンクショナルトレーニングに多く取り入れられている筒状の器具、バイパーを使ったエクササイズ。
体とバイパーにかかる重力を利用することで、脚や太もも、お尻や腕などを効果的、かつバランスよく鍛えられます。運動パフォーマンスをアップさせる効果が期待できるので、アスリートはもちろん、スポーツ好きな一般の人からも人気を集めていますよ。
バイパーには重さの種類がいくつかある為、自分に合った重さを選んで取り組んでくださいね。
トレーニングの正しいやり方
- 背筋を真っ直ぐにして立つ
- 両足を、腰幅よりも広くする
- バイパーを横にして持ち、肘を曲げて目の前に構える
- 膝がつま先よりも前に出ないよう注意しながら、腰を下ろす
- 太もものラインが床と平行になるまで、腰を下ろしていく
- 両膝を伸ばして立ち上がり、同時にバイパーを持った腕を頭上に掲げる
- (6)の時、両腕が伸びるまで高くバイパーを持ち上げる
- (4)〜(7)の動きを30秒間繰り返す
- 終了
『ViPRスラスター』を行う目安は、30秒間×1セット。8kgの重さが目安ですが、無理のない範囲で取り組める重さをチョイスしましょう。
トレーニングのコツ
- つま先が膝から前に出ないよう注意しながら行う
- 腕を伸ばす時に勢いをつけず、腕の筋肉を意識して取り組む
- 背中が丸まったり反ったりしないよう、背筋を真っ直ぐにキープして行う
- 腰を下げる時に息を吐き、立ち上がる時に息を吸う
- 目線を真っ直ぐ正面に向けたまま取り組む
『ViPRスラスター』では、目線を真っ直ぐ正面に向けたまま取り組むことが大切。
目線を下げてしまうと背中が丸まりやすくなり、腰に負担をかけてしまう可能性があります。
特に、腰を下げていく時に目線が下がりやすいので注意が必要。慣れるまでは、鏡の前に立って自分の姿を見ながら行い、正しいフォーム意識して取り組みましょう。
4. ViPRアッパーカット
『ViPRアッパーカット』は、バイパーを持ちながら、ボクシングの動きであるアッパーカットと、下半身の強化に効果的なランジを同時に行うトレーニング。
前後、左右、回転と三面に向かって体を動かすことで、筋力とバランスコントロール力をアップさせると人気を集めています。サッカーやゴルフ、野球など様々なスポーツのパフォーマンス向上、怪我の防止効果が期待できるので、ジムに行った際はぜひ試してみてくださいね。
使う筋肉とフォームを意識して行うことがポイント。スピードにこだわらず、丁寧に取り組みましょう。
トレーニングの正しいやり方
- バイパーを横向きに持ち、背筋を真っ直ぐにして立つ
- 足を肩幅に広げる
- 右足を一歩前に出して腰を落とし、バイパーを顔の高さまで振り上げる
- (3)の時、左手が前、右手が後ろになるようバイパーを縦に向け、右耳のすぐ横に持ってくる
- 右足を戻し、バイパーを持った腕を下ろして(2)のポジションに戻る
- 左足を一歩前に出し、反対側も同様に行う
- (3)〜(6)の動きを、左右交互に50秒間繰り返す
- 終了
『ViPRアッパーカット』を行う目安は、左右交互に50秒間×1セット。バイパーの重さは8kgが目安ですが、重たすぎず軽すぎず、自分に合った重さをチョイスして取り組んでくださいね。
トレーニングのコツ
- 腰を深くまで落とすよう意識して取り組む
- バイパーの端と端が正面、真後ろに向くまで、着実に縦に向ける
- 背中が丸まったり反ったりしないよう、背筋を真っ直ぐに保ったまま取り組む
- バイパーを持ち上げる時、肘を肩の高さまで持ち上げるよう意識する
『ViPRアッパーカット』では、腰を深くまで落とすよう意識することがポイント。
バイパーの上げ下げをしていると、どうしても上半身の動きに集中してしまいがちですが、腰を深く落とさないと下半身を鍛える効果が下がってしまいます。
慣れないうちは、鏡でフォームをチェックしながら行うのがおすすめ。また、器具なしでランジエクササイズを練習してから行うと、正しいやり方で取り組みやすくなるので、初心者の方はぜひ試してみてくださいね。
5. ロープトレーニング
長いロープの重みを利用して鍛える『ロープトレーニング』。
下半身から体幹、上半身へと力を連動させて行うことで、スポーツのパフォーマンスを上げたり、日常動作をスムーズに行ったりする効果が期待できます。そのため、アスリートだけでなく、普段スポーツをあまりしない一般の人からも注目を集めていますよ。
女性や高齢者、子供が行う場合は負荷が大きすぎる場合もあるので、きつい時はロープ1本で行う、取り組む時間を短くするなど、負荷を調節して取り組みましょう。
トレーニングの正しいやり方
- 腰幅よりも広く足を開き、姿勢を真っ直ぐにして立つ
- 両手でロープの端を掴む
- お尻を後ろに突き出すようにして、腰を下げる
- 両膝を伸ばして立ち上がるのと同時に、ロープを持った手を胸の前まで持ち上げる
- (4)の時、両肘を軽く曲げ、ロープが床で波打つように自然と動かす
- (3)〜(5)の動きを、約20〜30回繰り返す
- お尻を後ろに突き出すように、腰を下げる
- そのまま、両手を左右交互に上下させ、リズミカルにロープを波打たせる
- (8)の時、両肘を曲げたまま行う
- (8)の動きを、約10〜20回繰り返す
- 終了
『ロープトレーニング』は、両手で上下させる動きを20〜30回、左右交互に手を動かす動きを10〜20回行うのが目安。安定した呼吸を続けながら取り組みましょう。
トレーニングのコツ
- 腕だけを動かさず、下半身の筋肉も意識して取り組む
- 常に呼吸を継続しながら行う
- ロープの重みを利用して、自然な動きを意識しながら行う
- 上半身がブレないよう、腹筋を意識して取り組む
- さらに負荷をかけて鍛えたい場合は、両手でロープを波打たせる時に、体の左側、右側へと左右交互にロープを動かす
『ロープトレーニング』を行う時は、腕のみを動かさないように注意が必要です。
ロープを上下させる時に腕だけを動かしてしまうと、全身を機能的に動かすことが醍醐味である、ファンクショナルトレーニングの効果が発揮されなくなってしまいます。
太ももやお尻など、下半身も一緒に動かすよう意識することが大切。初めのうちはゆっくりと行い、正しいやり方を身につけておきましょう。
ファンクショナルトレーニングで動ける身体を作り上げよう!
ファンクショナルトレーニングを取り入れれば、より最大限の力を発揮できる身体へと近づけられます。
スポーツパフォーマンスの向上だけでなく、姿勢改善や高いダイエット効果など、様々な嬉しい効果が期待できるので、スポーツをしない人でも取り入れてみて損はありません。
ぜひ、ご紹介したメニューを参考にしながら自宅やジムでのトレーニングに取り入れ、よりアクティブに動ける身体を手に入れてみてくださいね。
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