“官僚”とはどんな仕事?気になる平均年収とキャリア官僚になる方法を紹介
勝ち組なイメージがある「官僚」について徹底解説!
よくニュースで耳にする「官僚」とは、一体どのような職業なのでしょうか。霞が関で働いているエリートというイメージがありますが、実際には官僚がどのように採用され、どのような仕事をしているのかは、あまり知られていませんよね。
そこで今回は、官僚という職業に焦点をあてて、気になる仕事内容、年収、官僚になる方法をご紹介します。
また、官僚という仕事のメリットや採用試験の詳細についても解説するので、官僚を目指したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
前提として、官僚とは?
日本国憲法では国の権力を、国会、内閣、裁判所の三つに分け、互いの均衡と抑制を保つ「三権分立」が定められています。
三権分立の行政権を担う内閣の下で、行政機関の中枢となるのが内閣府、外務省、法務省などの1府11省2庁からなる中央省庁です。
一般的に官僚とは、中央省庁で働いている国家公務員のこと。普段は、国家の予算や法案の策定に携わる仕事をしています。
「官僚」と「政治家」の違いについて
官僚と政治家はよく混同されますが、根本的に全く違う存在です。
政治家とは国民の投票によって選ばれた国民の代表者。具体的には衆議院、参議院の両院の国会議員や、地方議会の議員のことを指し、三権分立のうち立法権を担っています。
一方の官僚とは、国家公務員なため終身雇用。衆議院議員なら任期は4年、参議院議員は6年という任期のある政治家とは違った安定した身分です。
官僚の中でも分かれる「キャリア」と「ノンキャリア」の違いについて
官僚の中にも、「キャリア」と「ノンキャリア」があります。民間企業の総合職と一般職の違いに似ており、採用試験から始まり、仕事内容や出世のスピード、出世の限度にも影響します。
ここからは、キャリア官僚とノンキャリア官僚の違いについて、分かりやすく解説します。
キャリアとは?
キャリアと呼ばれる官僚とは、国家公務員採用総合職試験に合格した国家公務員を指します。
司法試験や公認会計士試験に並ぶ難関の試験で、合格者の出身大学は東京大学が最多。続いて、京都大学、早稲田大学など、難関大学出身者が多いのが特徴です。
つまり、キャリア官僚とは、難関大学出身で難易度の高い試験を合格し、中央省庁に採用された、エリート中のエリート公務員。
将来の幹部構成として出世も早く、優秀な人は各省庁の審議官、事務次官、財務官などまで上り詰めることが可能です。
ノンキャリアとは?
一方、ノンキャリアと呼ばれる官僚とは、国家公務員一般職試験を合格し中央省庁に採用されている公務員です。
国家公務員採用一般職試験は高卒者でも受けることができます。各省庁では主に事務処理などの業務を担当する公務員です。
キャリア官僚に比べると出世も遅く、本省の係長、課長補佐を経て、最終的には課長クラスまでが一般的です。
どんなイメージが強い?「官僚」に対する世間からの印象とは
キャリア、ノンキャリアの官僚の違いを説明しましたが、官僚と聞くとどのようなイメージを抱く人が多いのでしょうか。
ここからは、キャリア・ノンキャリアに関わらず、官僚に対する世間一般の印象について詳しく解説します。
印象① 頭が良くてエリートそう
官僚と聞くと、霞が関を颯爽と歩く背広姿の男性を思い浮かべる人が多いよう。高学歴で頭が良く、仕事もできる優秀な男性のイメージです。
確かにキャリア官僚の出身大学は東京大学を筆頭にした難関大学ばかり。さらに国家公務員総合職試験は大学院卒者試験でも3倍以上、大卒程度試験では約15倍という狭き門なので、非常に難易度が高く、優秀な人でなければ官僚にはなれません。
実際に、頭が良くて選ばれた人しかなれないため、事実に基づいたイメージと言えるでしょう。
印象② お金持ちの人が多そう
安定した職業として人気の高い公務員ですが、さらに国家公務員である官僚となるとお金持ちというイメージを持っている人が多いよう。高学歴で難関の試験を通ったエリート中のエリートだから、当然お給料も良いだろうと、世間一般には思われています。
一般的なサラリーマンや地方公務員に比べると、安定した身分で高給取りのお金持ちという印象を受けるようです。
印象③ 正直、どんな仕事なのかいまいち分からない
テレビや新聞で頻繁に名前や顔を見ることの多い政治家と違い、官僚はあまり公の場に出てくることはありません。
霞が関のオフィスで働くエリート、国を支える大切な職業という印象はあるものの、実際に日々どんな仕事をしているのか分からないという人が多いよう。
担当する省庁により仕事内容は様々で、職位や役職名も民間企業とは異なるため、どんなポジションでどんな仕事をしているのか、一般の人には分かりにくいようです。
種類が多い?官僚性の役職とは
中央省庁はトップダウンのヒエラルキーである官僚制で成り立っており、実に多くの役職があります。
各省庁の頂点に立つのは国務大臣、その下に副大臣、大臣政務官が続きます。この三役は国会議員の中から内閣総理大臣によって任命される政治任用職です。
大臣政務官の下になるのが事務次官で、省内での官僚の最高位。
事務次官の下には、外局長官、官房長、官房長、局長、部長、局次長、課長、課長補佐、室長、企画官・専門官、係長、主任と続きます。一般的に局長以上の役職にある官僚を高級官僚と呼びますよ。
ただし、省庁などによって役職や仕事内容は異なる
1府11省2庁からなる中央省庁は、それぞれ複雑な組織と機構で成り立っており、職位、役職名、仕事内容などは省庁によって変わってきます。また総合職や一般職とは別に、スペシャリスト的な技能を必要とする専門職もあります。
自分の行きたい省庁が決まっているなら、その省庁の組織図や役職、仕事内容を事前に調べておくことが大切です。
実際にどんな仕事なの?「官僚」の仕事内容
三権分立の行政権を担う内閣の下には、行政事務を担当する1府11省2庁の行政機関があります。官僚はこの中央省庁で働く国家公務員ですが、国家の予算や法案の策定に携わる仕事をしています。
官僚の基本的な仕事は定められた法律に従って、実際の行政を進めていくことです。
具体的には法案の作成、予算案の作成、政策の企画や施策、各省庁の取り扱う重要な案件の指揮や監督を行っています。
激務の割に少ない?気になる「官僚」の平均年収や給料とは
初任給は総合職の大学院卒者で月額約26万円。大卒程度では約23万円。ノンキャリアとされる一般職では、大卒程度では約22万円、高卒者は約18万円となっています。
平均年収は係員の約360万円から始まり、係長で約500万円、課長で約1,200万円、局長で約1,800万円とされています。官僚のトップである事務次官になると、年収は約2,300万円。
キャリア官僚として事務次官まで上りつめると、退職金は約5,000万円から6,000万円とされており、生涯年収は約5億円となります。
一般的なサラリーマンよりは高い年収でも、会社経営者や民間企業のトップと比べると見劣りするかもしれません。難易度が高く激務の割には少ないという見方もありますよ。
魅力は何?「官僚」になると得られるメリット
安定した職業として人気の高い公務員ですが、その中でも国家公務員である官僚という仕事には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、民間企業や地方公務員ではなく、国家公務員の官僚として働く魅力を具体的に解説します。
メリット1. キャリア官僚なら政策案を決めるのに携われる
官僚の中でもキャリア官僚ともなると、国全体を動かす仕事ができます。各省庁のトップは政治任用職ですが、官僚の場合は任期や政局に左右されることなく、国家の政策決定に長期に渡って関与していくことができます。
国家全体を動かす責任の大きな仕事をしたいという人には、官僚は魅力的な職業です。民間企業や地方公務員ではなかなか叶えられない、やりがいのある仕事と言えるでしょう。
メリット2. 社会的地位が高く、福利厚生も充実している
国家公務員は社会的な地位が非常に高く、犯罪を犯すなど重大な過失がない限り職を失うこともない安定した職業です。
また、福利厚生も充実しており、扶養手当、住宅手当、通勤手当などの生活補助給的手当、広域異動手当や特地勤務手当といった地域給的手当など、給与の他に与えられる手当があります。
また、産休や育休などの制度も整っているのも、官僚を目指す女性にとっては魅力の一つでしょう。実際、女性官僚は年々増えており、国家公務員総合試験の合格者のうちの3割弱は女性もいます。
メリット3. 出世することで給料アップが見込める
民間企業と同様に、官僚の世界も出世レースは厳しいもの。しかし、キャリア官僚として着実にステップアップしていくと高い給料を望めます。
初任給では民間企業や地方公務員と同程度ですが、40代前半で課長へと昇進すると年収は約1,200万円。
同年代のサラリーマンの平均年収が約500万円前後とされているので、官僚として出世をしていけば高い水準の給料を得られます。
「官僚」になりたい!実際に官僚になる方法とは
国全体を動かすエリート職である官僚。社会的地位も高くやりがいのある仕事を担える魅力的な職業ですが、実際に官僚になるためにはどうしたら良いのでしょうか。
ここからは官僚のなり方を、採用試験の種類や受験資格、採用内定までの過程など、詳しくご紹介していきます。
なり方1. 国家公務員試験に合格する
キャリア官僚になるためには、まず国家公務員採用試験を受験し、合格する必要があります。
国家公務員採用試験には複数の種類があり、主なものは総合職試験、一般職試験、専門職試験の3つ。総合職試験はキャリア官僚、一般職試験はノンキャリア官僚、そして専門職試験は特定の行政分野で専門知識を有する係員のための採用試験です。
また、民間企業などの実務経験者のための中途採用試験もあります。
「国家公務員採用総合職試験」は 大きく2種類に分けられる
キャリア官僚になるための国家公務員採用総合職試験は、院卒者試験と大卒程度試験の2つの採用試験に分かれています。
院卒者試験は、大学院修士課程か専門職大学院の過程を修了した人、および修了する見込みのある人が受験できます。法務区分では、司法試験に合格した人が対象となります。
大卒程度試験は、21歳以上30歳未満で大学卒業および卒業見込みの人が受験できます。
種類1. 「院卒者試験」
院卒者試験には第一次試験と第二次試験の二段階で行われます。第一次試験は多肢選択式で、基礎能力試験と専門試験があります。専門試験は行政、人間科学、工学、数理科学・物理・地球科などの9種類から選択できます。
第一試験に合格した者は第二次試験に進み、記述式の専門試験、政策課題討議試験、人物試験、英語試験を受けます。
院卒者試験の採用は試験区分ごとに決められており、全体で約285人(平成30年度)が採用されます。倍率はそれぞれの試験区分で約2倍から5倍となっています。
種類2. 「大卒程度試験」
大卒程度試験も同様に、多肢選択式の基礎能力試験と専門試験の第一次試験と第二次試験の二段階で行われます。専門試験は、政治・国際、法律、経済、教養などの11の区分があります。
第二次試験は記述式の専門試験、政策論文試験、人物試験、英語試験があります。
採用人数は全体で約420人(平成30年度)。倍率はそれぞれの試験区分で約6倍から約18倍で、難易度の非常に高い試験です。
なり方2. 官庁訪問をして内定をもらう
国家公務員総合職試験に合格しても即採用されるわけではありません。合格者は試験区分ごとに、3年間有効の採用候補者名簿に記載されます。
採用候補者は希望する省庁へ官庁訪問。各省庁の担当面接官より面接を受け、各省庁への適性が認められて初めて採用内定となります。そして晴れて官庁への採用となるのです。
「官僚」になるなら入学すべき?官僚に多い出身大学とは
国家公務員総合職試験の受験資格に必要な学歴は、院卒と大学程度卒としかありません。
しかし、実際の合格者の出身大学を見てみると、第1位は断トツで東京大学です。毎年300人以上の合格者を出しており、国家公務員総合職試験合格者の約20%にもなります。
第2位以降には京都、早稲田、慶應義塾、東北、大阪、北海、九州、中央、一ツ橋などの一流大学が続きます。
トップ10校で全体の合格者の6割以上を占めており、官僚になりたいなら東大を筆頭にした国内の難関大学に入学するべきと言えるでしょう。
官僚を目指している人は大学受験の時から意識しておきましょう。
官僚とは、国家の行政業務を担う重要な職業です。
高学歴者が多く難易度の高い採用試験を通らなければなれず、激務であることも少なくありませんが、国全体を動かす仕事ができるやりがいのある職業でもあります。福利厚生も充実しており、最近では男性だけでなく女性の官僚も増えてきています。
安定した職業として人気の高い公務員の中でも、官僚はエリート中のエリート。公務員を目指している人は、公務員の最高峰である官僚をも視野に入れてみてください。
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