背筋に効果的な腕立て伏せメニュー|背中の筋肉を鍛える筋トレ方法とは?

織田琢也 2022.07.01
腕立て伏せは大胸筋や腕を鍛える種目と思われがちですが、広背筋などの背中の筋肉にも効かせられます。広背筋は肩甲骨周りの筋肉なので、肩甲骨を寄せるように腕立て伏せを行えば、広背筋も刺激できます。記事では、腕立て伏せで広背筋を鍛えるポイントとおすすめのメニューを紹介します。

そもそも背筋(背中の筋肉)は、広背筋以外にもたくさんある

背筋と言っても背中には多くの筋肉ががあり、どの筋トレをするかによって鍛えられる部位が異なります。

  • 僧帽筋(そうぼうきん)…首や肩から背中上部の筋肉
  • 広背筋(こうはいきん)/大円筋(だいえんきん)…脇の下から腰辺りの脇腹付近の筋肉
  • 脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)…背中から腰まで、背骨を挟むように中央にある筋肉

しかし、これら背中全体の筋肉も鍛えられるのが腕立て伏せです。

腕立て伏せは腕の筋肉だけでなく、体の筋肉も鍛えられるもの。自宅でできる筋トレとしては簡単で結果が出やすいメニューの一つになります。

これら背中の筋肉を鍛えることで、姿勢改善、肩こりや腰痛の予防、基礎代謝の向上などが期待できます。

中でも広背筋はくびれを作るための筋肉なので、痩せたい方は鍛えたほうが良い筋肉。

背中を鍛える筋トレは、自宅でもできる腕立て伏せで十分鍛えられるので、これからご紹介するトレーニングメニューを試してみてください。


背筋に効果的な腕立て伏せメニュー|背中を鍛えるトレーニング方法とは?

広背筋に効かせる腕立て伏せのメニュー

腕立て伏せと一口に言っても、その種類は豊富にあります。そして広背筋に大きな刺激を与えられる腕立て伏せもあるのです。

ここからは、広背筋を鍛えられる腕立て伏せを紹介します。ぜひメニューに取り入れて、大胸筋と広背筋を効率よく鍛えてください。


効果:★★☆|ワイドプッシュアップ

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ワイドプッシュアップ
  • 効果:★★☆
  • 難易度:★★☆
  • 鍛えられる部位:広背筋/大胸筋

ワイドプッシュアップとは、肩幅の1.5倍ほどに腕を広げて行う腕立て伏せ。腕の幅が広がることで、大胸筋に大きな刺激が加わります。

ワイドプッシュアップで広背筋に効かせたいのなら、手の平を外側に向けて行いましょう。上体を下げ切るタイミングで、肩甲骨を寄せれば、広背筋に大きな刺激を与えられます

ポイントは、頭からつま先まで一直線にすること。ワイドプッシュアップは腕の幅を広げるほど、強度が高まります。体を一直線に保てる腕幅で行うようにしましょう。


トレーニングの正しいやり方

  1. 手を肩幅の1.5倍ほどに開き、外側に向けて床につける
  2. 両足はくっつけて、体のラインを一直線にする
  3. そのままの状態で、肩甲骨を寄せるように、ゆっくりと上体を下げる
  4. 胸が床すれすれまで近づいたところで2~3秒キープ
  5. それから床を押すように、勢いよく上体を上げる
  6. これを数回繰り返す

ワイドプッシュアップの目安は、10~15回×3セットです。セット間には90秒ほどの休憩を入れましょう。

【参考記事】ワイドプッシュアップのコツはこちらでチェック


効果:★★☆|リバースプッシュアップ

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リバースプッシュアップ
  • 効果:★★☆
  • 難易度:★☆☆
  • 鍛えられる部位:広背筋/上腕三頭筋

リバースプッシュアップとは、椅子や台などを使って行う逆向きの腕立て伏せ。主に肩や上腕三頭筋、そして広背筋を鍛えられます。

リバースプッシュアップもまた、手の置き場所に気を付けましょう。肩幅もしくは狭めに置くと、上腕三頭筋に効きます。一方、肩幅よりも少し広めに手を置くと、広背筋に大きな刺激を与えられますよ

リバースプッシュアップを行う際も、手をやや外側に向けて、肩甲骨の動きを意識しながら行いましょう。


トレーニングの正しいやり方

  1. 椅子や台などを用意する
  2. 手幅は肩幅よりもやや広めで、手を外側に向けて椅子を掴む
  3. 足を前に伸ばして、背中を真っすぐにする
  4. 息を吐きながら、ゆっくりと肘を曲げる
  5. その際、肩甲骨を中央に寄せる意識を持つ
  6. 肘が90度になったら2~3秒キープ
  7. ゆっくりと肘を伸ばしていく

リバースプッシュアップの目安は、10~15回×3セットです。余裕がある方は、足も椅子などにのせると負荷が高まります。

【参考記事】リバースプッシュアップのコツはこちらでチェック


効果:★★★|ヒンズープッシュアップ

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ヒンズープッシュアップ
  • 効果:★★★
  • 難易度:★★★
  • 鍛えられる部位:広背筋/大胸筋

ヒンズープッシュアップは沈み込んだ動きを取り入れた高強度の腕立て伏せです。プロレスラーがよく行うので、レスラープッシュアップとも呼ばれます。

ヒンズープッシュアップは、大胸筋の上部・中部・下部を一度に鍛えることが可能です。さらに体を反らして元の状態に戻るときに、広背筋に刺激が加わります。つまり胸と腕、背中を効率よく鍛えられる万能腕立て伏せです。

負荷を高めたいのなら、体を反らしたあと、逆再生をするように同じラインを通ってスタートポジションに戻りましょう。


トレーニングの正しいやり方

  1. 手は肩幅に、足は肩幅よりもやや広げる
  2. お尻の位置を高くするように後ろに引く
  3. 頭が床すれすれを通るように上体を沈める
  4. そのまま浮き上がるように体を前にそり上げる
  5. 背骨を動かすのを意識しながらスタートポジションへ戻る
  6. さらなる負荷をかける場合は、再び沈み浮きしながらスタートポジションへ戻る

ヒンズープッシュアップの目安は、10回×3セットです。負荷が高いので、十分な休憩を取ってから次セットに取り組みましょう。

【参考記事】ヒンズープッシュアップのコツはこちらでチェック


効果:★★☆|ナロープッシュアップ

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ナロープッシュアップ
  • 効果:★★☆
  • 難易度:★★★
  • 鍛えられる部位:広背筋/上腕三頭筋/大胸筋

ナロープッシュアップは手幅を狭めて行う腕立て伏せです。手幅を狭めるほど、強度は増します。

ナロープッシュアップのポイントは、ゆっくりと時間をかけて行うこと。手幅を狭めることで、常に肩甲骨が寄った状態になります。時間をかけて行うことで、広背筋に大きな負荷をたっぷりかけられるようになるのです。

ナロープッシュアップでは広背筋のほか、大胸筋の中央や上腕三頭筋を鍛えられます。強度が高いため、腰が曲がらないように気を付けましょう。


トレーニングの正しいやり方

  1. 両手を肩幅よりも狭い位置に置き、両足はくっつける
  2. 体のラインを一直線に保ちながら、ゆっくりと上体を下す
  3. その際、肩甲骨を中心に寄せるように意識する
  4. 体が床とすれすれになるまで下したら、2~3秒キープ
  5. 床を押すように、勢いよく体を持ち上げる
  6. これを数回繰り返す

ナロープッシュアップの目安は、10~15回×3セットです。インターバルは60~90秒ほどにしましょう。

【参考記事】ナロープッシュアップのコツはこちらでチェック


効果:★★★|バックプッシュアップ

バックプッシュアップのやり方


バックプッシュアップ
  • 効果:★★★
  • 難易度:★★★
  • 鍛えられる部位:広背筋/大胸筋

バックプッシュアップとは、両手をあばらより下に置いて行う腕立て伏せです。

両手の位置を下げることで、肩甲骨がよく動くようになります。したがって、広背筋を鍛えるのに最適な腕立て伏せです。また通常の腕立て伏せよりも、大きな負荷を大胸筋にかけられます。

バックプッシュアップのポイントは、肩甲骨を内側に寄せること。手を外側に向けて、肩甲骨を絞るように内側へ寄せましょう。そうすることで、他の腕立て伏せでは与えられない、強力な刺激を広背筋にかけられます。


トレーニングの正しいやり方

  1. あばらの下あたりに両手を置く
  2. 両手は少し外側に向けて、両足は閉じたまま伸ばす
  3. 頭からつま先のラインを一直線に保ったまま、肘をゆっくりと曲げる
  4. その際、肩甲骨を内側に動かすことを意識する
  5. 床とすれすれになるまで体を落としたら、そのまま2~3秒キープ
  6. 床を押し上げて、スタートポジションへ戻る

バックプッシュアップの目安は、10回×3セットです。高負荷なので、インターバルは1分以上取ってください。


効果:★★★|アイソメトリックスプッシュアップ

アイソメトリックスプッシュアップのやり方


アイソメトリックスプッシュアップ
  • 効果:★★★
  • 難易度:★★★
  • 鍛えられる部位:広背筋/大胸筋/上腕三頭筋

アイソメトリックスプッシュアップとは、肘を曲げた状態で長時間キープする腕立て伏せ。今回紹介したどの腕立て伏せでも行えます。

アイソメトリックスでは、最大の力が発揮された状態をキープするため、筋肥大に期待可能です。

アイソメトリックスプッシュアップのポイントは、呼吸を止めないことです。静止している間は、3秒吸って3秒吐くのリズムを意識しましょう。また静止トレーニングだからこそ、肩甲骨を寄せるのを忘れてはいけません。


トレーニングの正しいやり方

  1. 両手を肩幅よりも広げ、手を外側に向ける(可能ならワイドプッシュアップの姿勢)
  2. 頭からつま先のラインを一直線にしたまま、肘をゆっくりと曲げる
  3. 上体と床がすれすれになったところで、肩甲骨をぎゅっと寄せる
  4. そのままの状態で30秒キープ
  5. キープ中は3秒吸って3秒吐くのを忘れない
  6. 元の姿勢に戻る

アイソメトリックスプッシュアップの目安は、30秒×3セットです。最後の追い込み種目として行うといいでしょう。


効果:★★☆|インクラインプッシュアップ

インクラインプッシュアップのやり方


インクラインプッシュアップ
  • 効果:★★☆
  • 難易度:★☆☆
  • 鍛えられる部位:広背筋/大胸筋/上腕三頭筋

インクラインプッシュアップとは、椅子や台などに手をついて行う腕立て伏せです。通常の腕立て伏せよりも軽い負荷のため、入門者におすすめの種目となっています。

インクラインプッシュアップでは、斜め下方向から体を押し上げることになるので、大胸筋下部や広背筋下部に刺激を与えられるのです。ポイントは体を下げるときはもちろん、上げるときも肩甲骨を寄せることです。

高負荷で行いたいのなら、台を低くしましょう。反対に台を高くすると、負荷を下げられます。


トレーニングの正しいやり方

  1. 台や椅子などを用意する
  2. 肩幅よりやや広めに手を置き、足を後ろに伸ばす
  3. 手の真上に肘がくるようにし、肩甲骨を寄せる
  4. 体のラインを一直線、肩甲骨の寄せを保ちながら肘を曲げる
  5. 体を下すときは、息を吐きながらゆっくりと
  6. 肘が90度に曲がったところで、2秒キープ
  7. 肩甲骨を寄せたまま、身体を持ち上げる

インクラインプッシュアップの目安は、10~15回×3セットです。無理に数をこなすのではなく、正しいフォームで限界まで行うようにしましょう。

【参考記事】インクラインプッシュアップのコツはこちらでチェック


効果:★★★|デクラインプッシュアップ

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デクラインプッシュアップ
  • 効果:★★★
  • 難易度:★☆☆
  • 鍛えられる部位:広背筋/大胸筋

デクラインプッシュアップとは、椅子や台に足を置いて行う腕立て伏せです。足を上げることで、通常の腕立て伏せよりも大きな負荷がかかり、主に広背筋や大胸筋上部などに効果的。

デクラインプッシュアップのポイントは、腰を少し引くこと。デクラインプッシュアップ中に、お腹が前に落ちてしまうと、刺激が逃げてしまいます。したがって、腰をほんの少し引く意識で行うのがおすすめです。

広背筋に効かすのなら、手幅は肩幅よりも少し広くし、手を外側に向けるといいでしょう。


トレーニングの正しいやり方

  1. 高さのある台や椅子に足を置く
  2. 手幅は肩幅よりも少し広げ、手を外側に向ける
  3. 体のラインを一直線に保ち、肩甲骨を寄せる
  4. そのままゆっくりと肘を曲げる
  5. きつくてフォームが崩れそうになったら、腰を少し引く
  6. 床とすれすれになったところで、2秒キープ
  7. 床を押すように、勢いよく上体を持ち上げる

デクラインプッシュアップの目安は、10回×3セットです。90秒ほどのインターバルを取りながら行いましょう。

【参考記事】デクラインプッシュアップのコツはこちらでチェック


広背筋に効かせる腕立て伏せのコツ|どうすれば背筋も鍛えられる?

広背筋に効かせる腕立て伏せのコツ

腕立て伏せは、複数の筋肉と関節を同時に動かせる種目です。つまり腕立て伏せでは、メインの大胸筋や上腕三頭筋のほか、広背筋に効かせることができます。

ここからは、広背筋に効かせる腕立て伏せのポイントを解説します。


1. 肩甲骨を寄せる動きを意識して行う

肩甲骨を寄せて腕立て伏せをすると広背筋に効く

広背筋は肩甲骨の周りについている背中の大きな筋肉です。したがって肩甲骨を動かすことで、広背筋は鍛えられます。

例えば、ラットプルダウンなどの背中の種目では、肩甲骨を動かす意識が大事なのです。肩甲骨の動きを意識すれば、腕立て伏せでも広背筋を鍛えられます。上体を下げたとき、肩甲骨をぎゅっと寄せるようにしましょう

肩甲骨を寄せて下げるのは、正しい腕立て伏せのフォームに欠かせない条件。広背筋はもちろん、可動域が広がることで大胸筋にも大きな負荷をかけられますよ。


2. 腰を曲げたり反らしたりしない

広背筋に効かせるために腕立て伏せをするときは腰を反らさないようにする

正しい腕立て伏せのフォームとは、腹筋に力が入って体のラインが一直線になったものです。腰を曲げたりそったりしてはいけません。

腰の曲がった腕立て伏せでは、負荷が逃げてしまいます。そのため、広背筋に刺激がかかりません。自重トレーニングではかけられる負荷に限界があるので、いかに正しいフォームで大きな負荷をかけられるかがカギとなります

また腰を曲げたりそったりした腕立て伏せは、腰痛の原因になるので注意してください。


3. 手を外側に向けて行う

腕立て伏せに広背筋に効かせるには手を外側に向ける

通常の腕立て伏せは、手を内側に約45度向けて行います。しかし、広背筋を鍛えたいのなら、手を外側に向けて行いましょう。そうすることで、肩甲骨を寄せやすくなり、広背筋を十分に刺激できるのです

手を外側に向けるメリットはもう1つあり、手首への負担が軽減されること。手を内側に向け、脇を閉じた状態で腕立て伏せを行うと、大胸筋に効きます。しかし手首への負担が大きく、手首を痛める可能性があるので無理のないように行うこと。

広背筋を鍛えながら、手首を守りたいのなら、手はやや外側に向けるようにしましょう。


4. 体が水平になるように肘を動かす

広背筋に効く腕立て伏せのコツ

肘だけ曲げてしまって体が折れたり、頭のほうが先に下がってしまって斜めになったり、肘の動かし方によってはバランスが取れないような姿勢になってしまいます。

体が一本の棒のように同じ高さを保ったまま上下するように肘を動かしましょう。


5. 体を戻すときに腕をしっかりと伸ばす

広背筋に効く腕立て伏せのコツ5

しっかりと腕の曲げ伸ばし雨をすることで、肩甲骨が開いたり閉じたりして動きが加わるので、広背筋にしっかり効かせることができます。

しんどいから、たくさんの回数をこなしたいから、という理由で途中で止めてしまったり小さい動きで腕だけを動かすと、効果的な腕立て伏せができません。

しっかりと肩甲骨を動かして鍛えるためにも、戻すときに腕をしっかりと伸ばしきるように意識しましょう。


広背筋は、腕立て伏せでも鍛えられる。

腕立て伏せで広背筋を鍛えよう

自重トレの代表格である腕立て伏せでは、大胸筋や上腕三頭筋のほか、広背筋にも刺激を与えられます。

広背筋は肩甲骨についているので、肩甲骨を動かせば広背筋を鍛えられます。

今回は広背筋に効く腕立て伏せも紹介しました。ぜひ参考にして、効率よく大胸筋と広背筋を鍛え、逆三角形の格好いい体を作ってください。

【参考記事】はこちら▽

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